インターネットの教育利用を進める地域コミュニティの形成

山梨スクールネット研究会

 

 インターネットの教育利用も普及期に入り、これまでとは違って、校内にインターネットの知識を持ち、核となる教師がいない中でも、インターネットを取り入れた教育を実践していかなければならない状況も表れてくる。これらの学校がスムーズに利用環境を整え、利用技術を獲得できるよう、支援を地域として組織化していくことは、インターネットの教育利用を広める上で是非とも必要なことである。

 本研究会では、以前からこのような状況になることを予測して、後続校の支援のため、WEB教材の蓄積や技術支援のためのノウハウの蓄積を行ってきた。昨年度来、これまで以上に各学校から「インターネットの利用の方法を知りたい」、「利用環境の整備の方法について教えて欲しい」といった支援を求める声が多くなっている。そこで今年度は、これまでの活動に加えて、県内実践校の授業見学会、県外での実践事例発表会を行う事にした。この2つは、利用法を知りたいという声に応えたものである。また、「利用環境整備のノウハウの獲得は」実際に利用環境整備を経験者と一緒に行うことが最も効果的であると考え、昨年度初めて実施したボランティアによる学校へのLAN構築(ネットディ)を今年度も行うことにした。

 「Yamanashi and Korea」を作成して、2月22日に行われる県教育センターの研究発表大会で発表する。また、作成した教材は昨年までと同様に、県総合教育センターのホームページで公開される。(http://www.kai.ed.jp/webkyouzai.htm)

定例研究会・授業見学会・県外実践事例発表会

 場所  山梨県総合教育センター 情報教育センター

 この研究会の通常の活動は ysn-ml というメーリングリストにより行われている。このメーリングリストは山梨県情報教育センター内にあるメールサーバにより運用されている。今年9月に情報教育センターの「Hi-Use Net」の拠点システム更新に伴って、センターのご厚意でメーリングリストのシステムも改善していただいた。具体的には

3)ウェッブメールシステムも使用可能になり、教育センターに直接ダイアルアップせずに他のプロバイダー経由でもメールの読み書きが可能になった。

 県立農林高校のLAN拡張を平成12年2月下旬に行う予定で準備をしている。12月27日にメンバー2名が下見を行った。既に敷設してあるパソコン教室−図書室間のLANを延長して職員室、視聴覚教室、進路指導室からもインターネット及び校内ネットワークを利用できるようにする。スクールネット研究会が工事の下請けをするという形ではなく、学校の先生や生徒と一緒にLANを引けるように計画している。それは、実際の作業の中でノウハウを身につけてもらい、後々自分たちの手で校内LANの拡張ができるようにしたいからである。

 実際に人が集まるのには、人を集まり易くする必要があるが、そのために、この会では開催する研究会を県の機関である総合教育センターの特設研修会として認めて頂いて、研究会の案内文書も山梨県総合教育センターの所長名で発送されるようにしている。これは、研究会の開催が平日であっても、参加が公務出張という形で校内で認められることを意味する。さらに、この会の活動がEスクエァプロジェクトのひとつとして認めて頂けたため、CECから支援を受けていることも案内文書に書くことができ、県の機関の研修であることと合わせて、出張への理解が得やすい状況となっている。このことは、この会で研究・活動することが、単に個人的な趣味でなされるのではなく、学校の教育活動の一環であって、公務として行われるべきであるという考えに近づいた形にもなっている。

 また、人が集まりやすい企画も必要であると考え、要望の多かった教育実践の事例に触れる研究会を2回実施した。残念ながら、日程のまずさや広報の不十分さから、参加者数は通常の例会とあまり変わらなかった。9月の授業見学会では、中学校の学園祭時期と重なったことや、案内が実施日の2週間前と直前であったので既に予定が入ってしまっていること、12月の県外実践報告会では、学期末の処理で忙しい時期であったことが欠席返事のメールにも書かれていた。昨年度末の例会で今年度の実施日を早い内から決めてしまおうという意見もあったが、「必要なときに必要なことを」という方向で話がまとまり、年間の開催計画を立てなかった経緯がある。しかし、このやり方は、1回が終わらないと次回の計画が立てられず、どうしても会の案内が遅くなってしまいがちになる。来年度は、早い時期に研究会の案内ができるように、見通しを立てることと、ある回は参加できなくても別の回には参加できるように、回数多く研究会を実施していくことが課題である。また、12月の研究会の広報で試みたことであるが、市町村の教育委員会の情報教育担当指導主事を通じて傘下の学校に案内を流してもらうことも効果が上がった。来年度はこのルートの確保にも取り組みたい。