高齢者を対象としたインターネット研修

高齢者研修実行委員会

名古屋市立西陵西陵商業高等学校 

 

 本校では,地域との連携,生涯学習の立場から平成5年度より学校開放講座を実施している。平成8年度からは,高齢者(50歳以上)向けのインターネット講座を夏季休業中に行い,本年度まで4年間継続している。高齢者を対象とした目的は,年齢とともに外出する機会や意欲が少なくなる人たちに対して,自宅にいながら積極的にコミュニケーションできるインターネットの可能性を紹介することにあった。例年,受講者の3分の1は,パソコンの初心者であるが,目的意識を持って熱心に受講され,電子メールの送受信,WEB検索,ホームページ作成の基本操作を4日間で習得している。この講座を通じて,インターネットは,ビジネスのツールとして活用するだけでなく,人々の生涯の生活を豊かにする様々な可能性を秘めていることを学んだ。また,学校開放講座に対する地域社会の関心は高く,各講座の定員(30名〜40名)に対して10倍近い申込みを受けている。

 平成5年度に本校が学校開放講座を試行実施した後,現在では,名古屋市立の全ての専門高校(商業・工業)がそれぞれの学校の特色を活かした講座を実施している。これは,理科教育及び産業教育審議会答申や本市の産業教育審議会答申において,学校の地域開放の役割が明記されたことも要因となっている。各講座の応募数は,毎年増加しており,受講者の求める講習内容のレベルも高くなっている。高齢者向けのインターネット入門講座も4年目を向かえ,前ページのアンケート結果のように指導内容や進め方など受講者の要求に答えることができるようになってきた。但し,職場や家庭でパソコンやインターネットが普及した現在,受講者によって利用目的や到達目標が異なり,内容やレベル(初級中級上級)に応じた講座も求められている。一方,教員にとって通常の仕事の他に1週間,夜間勤務することは大きな負担となり,開講数の増加も難しいのが実状である。学校開放について,ハード面(施設設備)の貸与については,各市町村で明確な条例や規則が設けられているが,人的な面(勤務)の条件整備は不十分であると思う。少子化と高齢化が進む今日,こうした課題について調査研究しながら,学校の機能を地域の高齢者や社会人に最大限提供できるよう検討していきたい。