「小学校低学年・中学年でのインターネットの理解と活用を深める」マルチメディア作品作り

東京都中央区立阪本小学校 

 

 本実践は,高度通信情報時代に対応する能力の育成を目指し,インターネットの基本的概念の理解を助ける意図でなされている。

 今日の学校でのインターネットの利用は,情報の収集であったり,電子メールによる交流であったり,ホームページによる,発信であったりするが,いずれもインターネットの基本的概念が把握されていてこそ効果が期待できるものである。このインターネットの基本的概念の形成のために,インタラクティブなマルチメディア題材を設定し,小学校低・中学年でのインターネットの理解と活用を深める実践を行った。

 リンク,HTML の構造や,ウェブのサーバに読みにいくことなどを,作品作りを通して体験的に理解できる。

 この体験を経ることにより,高学年でのインターネット活用能力や,情報モラルなどの「影」の部分への指導も生きてくる。

○国語,音楽,図工の3教科にまたがる横断的教材の『総合的な学習』時間での活用。

○デジタルカメラ,シンセサイザーなどを含めて,コンピュータを核とするデジタルメディアの活用。

 第一には,これらの諸条件を小学校低・中学年から開始することにより,メディアリテラシーの基礎的な力が育ち,高学年での活用能力の基礎となる。

 しかし,各々のデータのフォーマットの違いを理解することは難しく,データの受け渡しの技術的指導に終わってしまった。

 HTML化は,二次的に他のウェブサイトへの関心を高め,コンテンツやデザインへの興味を持たせた。インターネット時代の新しいメディアリテラシーの一歩である。

 第二には,マルチメディア教材としたが,画像(図工)物語(国語)BGM(音楽)の制作環境が統一されず,ひいては制作にあたる時間の配分も充分ではなかった。今後の『総合的な学習』の時間配分なども検討する必要がある。ただし,時間配分などについては,学校規模などの諸条件を考慮する必要があろう。

 インターネット社会も既存の社会と同じモラルが支配していることを認識しなくてはならない。現実の悪はインターネットのサイバー社会にも存在する。小学校段階では,外部に出る情報管理も含め,受け取る情報のコンテンツから,コンピュータウイルスへの対処まで,大人の側の認識と技術力が問われる。今後インターネット上でのマーケット行為が盛んになると,子どもたちが商取引上での責任を負う年令まで,大人がどのように関わるのかも検討されなければならない。