僕らは町のカメラマン

山梨大学教育人間科学部附属小学校 

 

子どもたちがテーマ追究型の学習を行っていく際にインターネットのデータベースとしての有用性についての認識を深めさせていくことや,テレビ会議システムを利用した学校間交流を体験させることにより,広範な学習フィールドにおける学習活動を実現させることをねらいとしたものである。

 今回の実践の中心となった5年生の実践においては,「環境」をテーマにした個人追究型の学習活動を展開する子どもたちに,ネットワーク上のWebページのデータ利用や他校とのテレビ会議システムを利用した学校間交流を体験させることを行った。これにより,子どもたちが自分の足で集めた学習情報に幅をもたせることや学習成果発表の場を提供するといったことが可能となった。

 本校では,5年生の6月に「自然体験教室」を実施し,体験を重視した活動を中心に学校外のフィールドにおける学習を計画している。これに,今日的な課題の一つである環境学習を絡め合わせることを案出した。これにより「社会的な存在」としての「自分」を意識し始めてきている子どもたちに,私たちの生活と私たちを取り巻いている自然との間には密接な関係があることを感得させることをねらいとした。また,このことから始めて,私たちの生活が自然や環境に大きな影響を及ぼしていることに気づかせていくこともねらいとした。

 上記のねらいを達成するために,直接体験(自然体験教室での活動や調べ学習における資料収集など)とともに,ネットワークを利用した資料収集や,他校の同学年児童との間でのテレビ会議を利用した交流などを計画の中に取り入れ,総合学習とパソコンタイム(本校の総合領域における情報教育のための時間)とを関連づけながら活動が展開できるような仕組みを用意することとした。

・自ら自然・環境に関わる課題を見いだし,その研究の過程において,他者と積極的に関わることができる。(テレビ会議システム・電子メールの利用)

・研究の成果をもとに自分の考えを持ち,それを効果的に伝え合うと共に,考えを高めていくことができる。(電子メールの利用・Webデータの作成)

 本実践では,次の場面においてコンピュータ及び情報ネットワークの利用を図った。

 自分の追究テーマに合致するデータが掲載されているWebページを検索エンジンを使用させて探しださせ,図書室の資料や自分なりの調査だけでは足りない情報を補わせた。

 今回の実践においては,宮城教育大学附属小学校の5年生との間で2回にわたるテレビ会議を実施した。これにより,自分たちだけの学習で完結させるだけでなく,校外にいる他者との対話において自分たちの学習を見つめ直す機会を提供できた。

 他校の友だち(宮城教育大学附属小学校の5年生)との間で,双方が行っている総合学習の成果を交換しあうことと,環境に対する取り組みにおける地域差について知り合うこと,さらには自分の考えを生活の中に取り入れた実践についての情報交換を行うことができた。