子ども用ホームページの作成

 

 子どもたちが主体的に参加できるオンラインの広場の活用は,数々の教育実践報告において,その有用性が述べられている。今後,日本全国で全ての学校がインターネットに接続され,さらにすべての教室からの利用が可能になる頃には,総合的学習や情報関連の授業において,子どもの広場の活用ニーズが大いに高まると予想される。今後,学校間交流等を実現するオンラインの仕組みが多数用意される必要がある。

 子ども向けの広場的な性質をもつホームページないしネットワークサービスは内外にいくつも存在するが,活発に利用されているものは数少ない。子どもたちの家庭からの活用をターゲットとしたサービスにはいくつか活発な事例があるが,種々の学校における事情を十分考慮して,学校からの教師や子どもたちの積極的な参加を実現できている広場はほとんどない。

 本企画では,本格的な全国版のオンラインの子どもの広場の構築・運用を目指し,必要な調査,試作,実験を行った。実践未経験の学校でも参加できる敷き居の低さを実現することを当初からの狙いとした。

 本企画は,全国4万校の子どもたち全てが参加できる広場のありかたの考案を目指したものではあるが,その受け皿となる日本を代表する決定版のオンライン広場のサービスの構築実験をすることではない。そもそも日本に一つだけ全ての子どもたちが参加するコミュニティを作るという着想には無理がある。よく理解しておかねばならないポイントは,オンラインの広場が,人と人が出会い,親しくなり,そこにかかわる人々によるコミュニティ形成の場であるという性質である。そしてオンラインのコミュニティを作るには,そこでの活動を活性化させるための参加者に関しての適正な規模を考慮しなくてはならない。つまり,4万校全てを一つの枠組みに所属させるというのは,オンラインのコミュニティとしては規模が大きすぎる。 さらに,日本に一つしか子どもたちのためのオンラインのコミュニティしかない,という状況は,あまりに画一的過ぎる展開である。むしろ,全国規模ないし地域単位等で,多種多様なものが多数用意されるのが望ましい。そうなれば,学校は参加するオンラインのコミュニティを柔軟に選択できる。目的や用途に応じて,多様な学びの機会を見つけだすことができるであろう。

 本企画の当面の目標は,試作・実験するシステムをデモンストレーションしたり,参加体験を重ねながら,子どもの広場の有用性や構築・運用ノウハウをより多くの教育関係者に理解してもらうことである。そして最終的な目標として実現を期待するのは,本活動を理解し経験した方々が中心となって,新しい,別の子どもの広場の構築に力を注ぎ,全国各地に数十,数百の個性的なオンラインの学びの広場が次々に構築されてゆく運動に結びつくような展開である。 

システム試作ならびにモデル校実験と並行して,子ども用のホームページに関する実態調査を行い,インターネット上において提供されているオンラインの広場の構築及び運用に関する要件抽出を行った。調査の結果は,別途「調査報告書」にとりまとめられている。さらに,試作システムの活用のための利用者手引きを作成した。ガイドブックは,学校の教職員向けのものと,児童・生徒向けのものをそれぞれ作成し,「利用者手引き」としてとりまとめた。

 学校におけるインターネットの活用形態をグローバル・コミュニティ・ローカルの3局面に分類し,そのうちのコミュニティ的な活動に焦点をあてながらインターネット上における子どもの広場の有用性を述べる。

 これまでにいくつもの学校において多様なインターネット活用実践が繰り広げられてきた。ホームページを利用した調べ学習,学校ホームページを通じた情報発信,電子会議室やテレビ会議などを用いた学校間交流,家庭と学校とのメールでの連絡など,さまざまな形態の実践が試みられてきた。そして今後も総合的学習や情報関連授業などにおける新しい活用の仕方が多数提案されることになるであろう。

インターネットを活用した実践事例を整理するために,企業等でよく使われるインターネット技術の以下の3つの利用形態に分けて考えてみることにしたい。

 いくつもの企業においては,グローバルなネットワークとしてのインターネット技術の活用サービスのことをインターネットと呼んで,他と区別することがある。企業内に閉じたローカルなネットワークをイントラネットと呼び,さらに取引先や顧客などを含めたビジネスのやりとりを支援するネットワークの仕組みをエキストラネットと呼ぶことがある。いずれもインターネット関連技術をベースにしているという共通点があるが,その利用目的も,活用内容も,参加主体のグルーピングも異なる。

 同様な利用形態の分類を学校における実践にあてはめて考えると,次のようなシステム的な特徴を持つものとして理解できる。

 そして実際に,それぞれのタイプの活用実践が行われている。我々が普段,単にインターネットの活用実践とよんで一括りに議論している実践事例は,上記の3つの形態にあてはめると,いくつかはイントラネットの,いくつかはエキストラネットとしてのインターネット技術の活用である。

なお,上記は厳密な実践事例の分析に基づく結論ではなくて,説明のための便宜的な分類である。個々の活用実践によっては複数にまたがるケースもあるし,解釈によって別の分類枠に納められることもありうだろう。いずれにせよ,学校におけるインターネット技術の活用実践においては,異なる形態の活用が実際になされている。

 一方でグローバルなネットワークとしてのインターネットの活用においては,学習成果の上がった事例がいくつも報告されているものの,他方でこのタイプのインターネットの活用場面にの有害情報への懸念が集中しているのも事実である。世界中の不特定多数の人々と情報のやりとりができる,というインターネットの優れた特徴が,学校にとっては,有害情報への懸念を高めることにつながっている。このグローバルな双方向ネットワークとしてのインターネットの活用場面において,すなわち一般公開されたホームページへのアクセス,不特定多数向けの情報発信や,特定できない人との電子メールの交換やチャットの利用などにおいて,有害情報への対処法の実施を検討すべきである。

 とりわけ学校においては,異なる学校同士の積極的な交流の場としての「学校間ネットワーク」の活用が極めて有効である。全国の学校の子どもたちや教師が参加するネットワークは,有害情報の観点から言うとローカルなネットワークと同様に安全である。かつローカルな場面で練習をした子どもたちにとって,次の学びのステップ,すなわち「協働学習」の場を用意する。他にも,ネットワーク社会に生きていく子どもたちにとって欠かせない重要なリテラシーの多くを学校間交流ネットワークを通じて獲得することができる。

 日本全国を見渡せば,インターネットを活用した学校間交流プロジェクトである「メディアキッズ」(URL=http://www.mediakids.or.jp/)のような先行事例はあるものの,オンライン・コミュニティの活用は,まだ途についたばかりである。しかし全ての学校へのインターネットの接続が徐々に達成されてゆくにつれ,また新しい学習指導要領により情報教育の実施が必須カリキュラムとして位置付けされてゆくにつれ,学校間交流を実現するためのネットワーク型学習環境の必要性が高まってきている。

 各自治体単位で,ないしNPO的な組織が,地域ないし全国規模の学校間交流のためのオンライン上の広場を用意し,そこでの活発な交流実践をサポートするための仕組み作りに尽力する必要があるだろう。そして学校側も,豊かな実践を繰り広げられるように,オンラインコミュニティへのかかわりを前向きに検討すべきである。

 インターネットにおける子ども向けの広場性を有するサイトは,けして膨大な数に達しているわけではなく,むしろ教育で活用可能な子どもたちにとっての受動的なコンテンツと比べると数は非常に少ない。

 

利用者手引き −教職員向け−

目次

ようこそ!子どものひろばへ

「子どものひろば」の世界へ

 先生自身が参加したい/先生同士が相談しあいたい

■「作戦ゾーン」

■「チャットもできるよ!」

■「先生のためのリンク」

 子どもたちを自由に参加させたい

■であいゾーン

 授業や共同学習に役立てたい

■「まなびゾーン」

 教師として

 

利用者手引き −児童・生徒向け−

目次

探検をはじめる前に

いろいろなへやをのぞいてみよう!

 友だちが書いたメールが読みたい!

 送ってくれた絵や写真がみたい!

 まなびゾーン

 であいゾーン

メールを送ってみよう!

「であいゾーン」の中の「自己紹介」の部屋をひらこう

「新規メッセージ」をひらこう

 タイトルを書こう

 本文を書くよ

 いよいよ送信だ

いろいろためしてみよう!

 絵をおくってみよう

 返事をだそう

 きまった人にメールをだしてみよう

さあ,みんなでかんがえよう!

 自分の学校名や名前をかく

 パソコンのむこうには人がいる

 相手も返事をまっている

 自分の気持ちは子どもひろばで教えてあげる

 メールのどこの文章に返事をかいたのかな?

 送っていいものと,送っていけないもの

 タイトル[]を工夫しよう