特殊教育諸学校間の情報教育に関する共同学習

宮城県立西多賀養護学校

 

 特殊教育諸学校に在籍する児童・生徒は,それぞれの障害に基づく種々の困難を改善・克服するために必要な知識,技能,態度及び習慣を養うことを目標に学校教育が進められている。

 本実践では,特殊教育諸学校間での情報通信機器や情報通信ネットワークを活用した教育活動をとおして,積極的に社会参加及び社会自立するための知識,技能,態度及び習慣を養うことを支援したいと考えた(1)

 高等部では23年生を対象に,幅広い経験をとおして卒業後の生活について考える一助とするために進路体験学習を実施しており,さらに今年度からは総合的な学習の時間も設けた。

 23年生の進路体験学習で行う現地調査活動についてE-mailを活用させて意見交換を行わせる。

 調査活動は総合的な学習の時間(1単位)に行い,プレゼンテーションやホームページ作成は文書処理(3単位)の時間に行う。

 文書の作成や活動計画の立案に必要となる情報収集は,インターネットを活用させて調べさせ,計画の発表にはプレゼンテーションソフトを活用させる。

 そこで,4単位の情報処理の2単位分は教科の学習内容について学習し,残りの2単位分をインターネットの検索やE-mail,ホームページ作成等の情報通信ネットワークの基礎的な学習として展開していくことにした。

 企画の段階では,調査活動を2回実施する予定だったが,授業時間等の設定や他の行事との調整で,11月に1回しか実施できなかったことは残念だった。10月にはホームページも概ね完成させ,メーリングリストによる意見交換を行う予定だったが,年度末までずれ込んでしまった。

 しかし,総合的な学習の時間を活用して進路について考えさせる時間が確保できたことや,進路体験学習の事前調査を十分に行えたことは有意義だったと考える。特に,事前調査で得られた多くの情報から,各自が必要な情報を整理し,調査活動のポイントとなるチェック表を工夫して作成できたことは,これまでにない成果だったと言える。また,調査活動でも,デジタルカメラを活用することで,正確な情報が得られ,説得力あるホームページを作成することができた。これは,当初から共同学習を実施することを伝えたことが,第三者から客観的な評価がされるという意識を高め,より慎重に情報を分析し,自分のものとして再構築しようという意欲を持たせることができたのではないかと考える。