学外インターネット利用情報共有構築実験

慶應義塾普通部

 

  100校プロジェクトなど先進的なプロジェクトでは,様々な利用法が提案されてきており,メールやWEBの掲示板,Cu-SeeMeNetmeetingなどを利用した学校間交流や,調べ学習などの情報検索や協調学習などのプロジェクトベースのインターネット利用中心に提案されている。しかし,プロジェクトベースの取り組みは,いくつかの問題があり,生徒が問題解決の手続きを学んだり,生徒のモチベーションを高めるには有効であるが,授業時間の中でプロジェクト活動を実施する時間の確保や,生徒が学ぶ学習指導要領の範囲の内容を扱いにくいという問題がある。

 日本のように学習指導要領で学習する学年や内容が定まっていると,プロジェクトが学習範囲を超えてしまうために制限されることなど起こる。

 この中,本プロジェクトでは普段の授業について,文部科学省のデジタルコンテンツのプロジェクトとリンクしながら,学習指導要領に沿った授業で使えるコンテンツの開発をおこない,それにコミュニケーションツールの利用を考えた数学デジタルコンテンツ(DMC)を開発した。これによってデジタルコミュニケーションをとることができるようになったので,いつでも(学校の授業以外の時間),どこでも(教室以外の場所),インターネットの利用環境があるところで利用することができ,従来の生徒―教師のコミュニケーションに加えて,共通の学習指導内容について教員同士でのコミュニケーションや教員と保護者のコミュニケーションを図ることができる。コミュニケーションツールは,コンテンツを入れ替えることによってどの教科でも利用することができ,生徒が授業に欠席した場合,従来はなかなかその内容を知ることはできにくかったが,欠席した生徒のキャッチアップすることができる。また,学校活動の保護者への情報開示のアンケートをとることで,学校はどのような情報を保護者に示すことを期待されているかの調査をおこなった。

 まだ,開発のコンテンツが一部しかないという問題もあるが,学習指導要領に沿ったインターネットを授業で利用するという新しい方向性は良いことが確認され,今後,家庭からも授業用のコンテンツを学習することができると,教師間のコミュニケーションや不登校の生徒に対しても授業を提供ができ,インターネットについても普段の学習に利用できるようになった。