地域に根ざした学校を目指して

茨城県立岩井高等学校

 

 岩井高校では,以前から地域とのつながりを深める取り組みをある程度行ってきた。例えば,市主催のマラソン大会の直前に全校生徒による校外清掃(クリーン作戦)を行うことや,市主催の行事などに生徒が参加するなどである。

一方,100校プロジェクト(ネットワーク利用環境提供事業)によって,平成7年にインターネット利用環境が整備され,その後の新100校プロジェクト,それに続くE2プロジェクトにも参加し,国際交流と教科でのインターネット利用を中心に,実践的な取り組みを行ってきた。このような活動を通して身に付けてきた知識やスキルをもとに,インターネットを軸に地域とのつながりをより深いものにできないかと考え,次のような取り組みを行った。

(1)姉妹都市交流

岩井市の姉妹都市アメリカ・アーカンソー州・パインブラフから毎年高校生数名が岩井市を訪ね,また岩井市の高校生数名がパイブラフを訪ねるという交流活動を岩井市の姉妹都市委員会が行っている。以前から,英語部の生徒が市主催の交流パーティなどに参加するなどの関わりは持っていたが,より本校生徒とパインブラフの高校生との交流を深めるために,岩井市を訪れた高校生に本校を訪ねてもらい,授業に参加してもらい,交流を深めた。また,その高校生達と継続的な交流をするために,お互いのメールアドレスも交換した。今後,日常的な電子メールによる交流がパインブラフの高校生との間で行えるように発展させていきたい。

(2)市民講座の実施

岩井市教育委員会の依頼により,生涯学習講座「パソコン入門教室」を開催した。本校職員約10名が講師となり,8日間20時間の日程で,インターネットの利用を中心としたパソコンの利用法に関する講座とした。

(3)小中学校教職員の研修講座

岩井市の小中学校の先生方の研究会主催で,研修講座を開催した。初心者の先生方を対象として,校務でのパソコン利用として表計算ソフトの利用法と,本校の入江教諭が開発した4択問題作成ツールを利用したWeb教材の作成の研修を行った。

(4)その他の講座の実施

 岩井市商工会からの依頼によって,商工会の設備を使ってパソコン講習会も担当した。その際には,有志の生徒達がインストラクターを勤めるなど活躍した。また,県の生涯学習課の依頼によって行った12時間のIT講習会も,教職員と生徒のボランティアによって実施した。また,岩井市青年会議所の依頼によって,約3時間のホームページ作成講座も実施した。ボランティアの生徒達の活躍は講座の参加者にとてもよい印象を与えた。

このように学校の持つ施設・設備や技術・知識を地域に還元していくことは今後ますます重要になっていくものと考えられる。今回のようなインターネット関係以外にも地域に学校を開放していくことは当然考えられる。かつて学校は地域の文化の中心であったが,その地位を徐々に失ってきたように思う。しかし,今回のIT講習をはじめとして,今はその復権のチャンスであると考える。地域に学校が貢献し地域との関係が強化されることによって,地域が学校を支え,学校の教育力が高まるものと期待できる。また,新教育課程における総合的学習を実施する際に地域の協力を得ることも容易になるのではないかと考えている。