ネットワークを利用した障害を持つ子どもたちの活動分析システムの試み

福井大学教育地域科学部附属養護学校

 

 本校のような知的障害の養護学校に限らず,特殊教育諸学校,さらには幼児教育をも含めた教育界全般で今必要なものは,現在整備されつつあり,今後より高性能化する情報基盤に対応し,現場のニーズにマッチする既成の実践にとらわれない新たな実践利用事例を模索することではないかと考えた。

 特殊教育諸学校に於いては,1対1で支援を必要とする子どもたちも存在し,教員が,場面に応じて指導したり,支援したり仲間として一緒に活動する中で,活動の全体像や子どもたち一人ひとり全員を見ることは難しいのが実状である。

 具体的な成果目標としては,ネットワークカメラを固定し,活動を録画することで活動場面の中での子どもたちの位置を数量化し,位置の変化を分析することにより,環境設定による子どもたちの活動への参加のしかたや,相互のかかわりの中で,どのような行動により,活動が生まれるかを見いだしていきたい。

 集団への参加から,子どもたちの学びをみるために,撮影された静止画を用い,子どもの位置をパソコンの画面上に置いた透明なシートに記入した後,逆にそのシートに記されたマークの箇所をグラフィックソフト(画像XY座標調査)で撮影画像に記入していくことで,集団への参加状況(活動の軌跡)を見てみている。

 ネットワークカメラによる活動記録・分析への試みは,大筋であれば,素早く活動を把握できたり,カメラをパソコンから遠隔操作できたり,操作に慣れれば,画像を手早くプリントしたり,撮影画像をそのままソフトを用い分析できたり,撮影画像をLANを利用し複数のパソコンで共有できたりすることが可能な点でお手軽な防犯もしくは監視カメラとは異なる利点があると考える。

 今後も大容量化するハードディスクなど高性能化するパソコンの学校での整備および校内LANを中心とするネットワーク環境整備が進むと考えられるが,ネットワークカメラも情報家電の一つとして低価格化かつ高性能化すれば,学校現場でのネットワーク利用方法の一つになり得るのではないかと考えている。