誰もが指導できるIT学習
大津市立平野小学校
本校は,100校プロジェクト,新100校プロジェクトに引き続き,先進的ネットワークモデル事業に参画し,専用線による様々なかたちのインターネットの教育利用を図ってきた。5年間の研究によって,情報収集,発信,交流等考えられる実践を開発し,各学年のカリキュラムに位置づけることができた。
一方で,実際の指導に当たる教師のメディアリテラシーの違いによって,指導に差異が生じてきたのも事実である。
コンピュータを使った授業が,学校内・学年内で差が生じることは,将来,生きていく力として必須になる子どもたちにとって不幸なことである。まして,それが,教師のリテラシーによるものであるならばなおさらである。
早急に,教師誰もが指導できるIT学習授業プランを作成して,基礎スキルとして情報活用能力を子どもたちに身につけさせていくべきだと考えた。
年度当初の校内の会議で,総合的な学習の時間(一,二年は生活科)に各学年10時間程度,IT学習の時間を設定することを了承され,本格実施された。
授業プランの作成に当たっては,まず,教師にとって使いやすいものであるように,実施時期や使用ソフト,授業の進め方(発問や指示),到達度目標,ワークシートなど具体的な項目を掲げた。
また,一年から六年までのカリキュラムを考えていく中で,学年間の系統性には十分に注意を払い,リテラシーの高まりが目に見えてわかるように単元構成を考えた。
情報活用能力は,実践力,科学的理解,参画する態度の三本の柱から育成されるべきものである。本校で取り組むIT学習も,デジタル情報のハンドリングを中心に据えるものの,メディアを選択できる力や「人」との豊かな関わりを求める力を意識して単元構成を考え,単なるコンピュータ操作の向上を図る活動に陥らないようにした。
六年生の総合的な学習の時間に実施した「歴史史跡ガイドブックをつくろう」の単元は,デジタル画像や動画の使用,HP制作,メールによる交流,著作権の学習など,そうしたIT学習の集大成として取り組み,児童のリテラシーの高まりを見ることができた。
多くの学校では,学級担任自らがコンピュータを使った学習を一人で指導していかなくてはいけない。何時間もの研修会を行ってもその不安は消えないものであるが,このプランの作成によって,授業の見通しが立ち,教師自身の情報教育への意識が高まったことも大きな成果であった。