小さな声を聞き取ろうプロジェクト

テレクラス・インターナショナルジャパン

 

 父兄,地域の方々への発表会,さらにはいくつかの学校による発表会を行うことによって生徒たちは達成感を得るとともに,他の意見を聞くことによって自分たちの身の回りを再認識することになる。

「小さな声を聞き取ろう」プロジェクトは自分の身の回りの「小さな声」を拾い上げ,まとめて国内多地点テレビ会議で全国に発信すると共に,海外相手校との交流を図ることにより,考え方,生活習慣などの違いを理解,認め合い,自分たちの町を今後どのように住みよくするか考えるひとつの材料にしようというものである。

 テレクラス・インターナショナル・ジャパンはテレビ会議を用いた国際交流活動のコーディネータを15年あまり行ってきたのだが,今回テレクラスがコーディネートした別のテレビ会議に参加した5つの中学校から,「もう一度やりたい!」との声があがり,今回のプロジェクトが発足することとなった。

 昨今の福祉に関する関心の高さから乙武洋匡氏の著書「五体不満足」の本をシンボルに,「福祉」をテーマとし,まず国内の5中学校が電子メールや電子掲示板,テレビ会議を通して,自分たちの調査・体験計画について情報交換をし,交流をはかった。

 その後,それぞれの学校に異なった国の海外相手校を決め,「五体不満足」の英語版を郵送して読んでもらってから,日常的にメールや掲示板で自分たちが行っている調査について知らせ合い,日本と外国の相違点を自ら体験できるようにした。

 それをもとに,今度はテレビ会議を行い,さらに自分たちの調査した地元の福祉の現状を報告するとともに相手校との違いを認識し,さらなる調査の方向性を話し合った。

 最後に国内多地点テレビ会議を行い,海外とのテレビ会議の報告や地域学習の報告をし,自分たちの考え方の変化を述べ合った。その後今後の活動へ向けてプロジェクト宣言文を作った。

 また,先生方はボイスメールを使っての海外との交流や,ネットミーティングの他に新たなインターネットテレビ会議ソフトivisitを参加校内でテスト・体験するなど,お互いに情報交換を行ないながら,新たな情報機器にもチャレンジした。

 第二回国内他地点テレビ会議で「このプロジェクト学習を通して,考え方が変わりましたか」とアンケートをとったところ,調査前は障害を持つ人達に対して「かわいそう」「自分がなったらいや」といった否定的な考えの生徒が多かったのに対して,調査後は障害を持つ人達も自分たちと同じ人間,人は誰でも皆支えが必要,一緒に暮らすために自分に何ができるか考えようという肯定的な意見が大半を占めた。

 プロジェクト型学習の場合,プロジェクトに参加する生徒・先生だけで行うのではなく,周りの生徒や先生を巻き込むことによって,協力を得ると共に,自分達はすごいことをやっているのだという充実感を得ることができた。