「ネット社会の歩き方」教育指導カリキュラム及び体験ソフトの開発

 

 現在,発生している各種ネット上のトラブルなどを調査し,子供たちが少しでも被害者にならない,加害者にもならないよう,なるべくわかり易く,具体的なケースで理解できる内容とした。

 本実施テーマは,Eメールやチャット,ホームページによる情報発信,電子ショッピングなどインターネット環境による人と人のコミュニケーションや消費者行動において,他人に不愉快な思いをさせず,気持ち良く接することができるルールやマナー,そして安全にショッピングができるような知識,そしてもし問題が発生した場合,正しい行動ができるような知識が身に付けられるような内容を目標とした。

 但し,ネット社会そのものが新しい社会であり,情報通信技術も日々変化・進歩しており,どの範囲を,どのような教材で,どのような学習方法で子供たちが学習したら効果がでるのか,今回開発した成果物で評価・検討し,より学習効果のある次の段階へと進めることが重要と考える。

Eメールの使い方と実践

メーリングリストの実践

Webメールの実践

BBSの実践

チャットの実践

Webブラウジングの実践                             

オンラインショッピングの実践                            

オンラインオークションの実践                            

 

計画段階ではインターネット環境の活用能力の向上やオークション,電子ショッピングの方法や気を付けるべき事柄を学習するための教材作成が目標であった。それを,インターネット社会で賢い消費者行動が取れるよう早い時期から学習できるような教材を多く作成することとした。

 その理由は,今現実にネット社会で起きている問題であり,早急に学習すべき事柄であることが委員全員の意見として一致したためである。

インターネットの安全な利用 

 いろいろな場面で,様々な形で個人情報が他人に知られる危険性があること,ウイルスなどにより使用しているパソコンが破壊されたり,知らないうちに友達にウイルスを送りつけたりしないよう,どのような注意をしなければいけないかをテーマとして作成した。また,その作成した教材を利用した授業を行うために参考となる,学習指導資料を作成した。

 同時に教師が関連資料をネット上で効率良く集められるよう,リンク集を作成した。

 情報提示範囲が従来のスケールとは大きく異なることによる影響や,情報が電子データであるため,オリジナル情報と100%同じ内容が扱えることで知的所有権の問題など,情報通信技術の特性からくる注意点を理解するための教材を作成した。

 インターネットショッピングなどネット上で物品の購入や情報サービスの受ける場合,どのような注意が必要か,もし問題が発生した場合,どのような対応をすべきか。また,個人間での取引での注意点などを理解するための教材を作成した。 

 検討委員会でも意見の出た仮想オンラインショッピング体験サイトも作成した。このサイトを利用して実際にショッピングをしながら,安心してショッピングできるサイトはどのようなサイトか,どのような点を注意して注文したら良いのか,失敗を体験しながら学べるサイトである。

 そして,学校内サーバーにこれら作成したソフトウェアをインストールしてインターネットに接続せずに利用できることもできるような構造とした。

 

学習ユニット圧縮ファイル

 それぞれの学習ユニットはネット社会で発生しているトラブルやその発生原因をアニメション・ムービーで再現し,何故問題となるのか,そして問題が発生した後の対処方法について,学習することを目的とした教材である。

 アンケート画面での個人情報の入力やホームページ上での個人情報の掲載を扱う。

 海外のオンラインショッピングサイトでは,日本の法律で輸入できない商品を扱っていることがあり,注文する場合の注意点を知る。

 それぞれのショッピングサイトは,実際に発生している事例を参考にアニメーションで再現し,問題点の解説や対処方法を表示する。

 電脳商店街はサーバーアプリケーションプログラムであり,このプログラムをダウンロードし,学校内サーバーにインストール可能なファイルも準備した。

 代金を受け取って,雲隠れということがある。表示項目の確認,前払い(銀行振込/郵便振替)や代金引換(郵便局/宅配便)などは信用できる店の場合にのみ利用することや,被害にあった場合の対処方法を知る。

・この店舗は商品が届かず,住所,電話番号などが表示されていない。

・配達中の破損や,最初から壊れている商品を売る店も考えられるので,表示項目,支払い方法,返品条件などの確認をとおして対処方法を知る。

・注文時の入力ミスや業者のミスで,届いた数量が発注者の考えていたのと違っているケースがある。注文画面のハードコピーを残しておくことや,返品についての契約内容を確認することを知る。

・この店舗の注文画面では,プログラムで故意に注文数量を変えて表示する。生徒がそれに気付いて修正した場合,商品到着画面では生徒におほめの絵が表示され,気付かない場合,沢山の商品が届く。

 当サイトのテーマは,インターネットの利活用が学校のみならず家庭でも急速に普及し,かつ,携帯電話など端末の多様化が進行する現状を踏まえて,生活安全教育(消費者教育)やネットワークモラル教育を行うものであり,扱う内容は必ずしも現行の学習指導要領には準じていない内容となっている。

 当サイトは,開発主旨において,電子商取引などの生活を豊かにする社会サービスについて賢い利用者・賢い消費者を育成することで,これらの社会サービスが健全に発展し,利活用が進むことを意図している。

学習項目を絞り,学習ユニットと電脳商店街の2種類の教材を作成することとした。

 決定した各カリキュラムの学習目標と学習内容をどのような方法で授業を進めるか,学習指導案と指導に必要な教材の概要をメーリングリスト上で検討し,決定した。

 教材原稿を検討委員会にて作成し,開発グループがその原稿に従い,Flashムービーファイル,及びCGIプログラムを作成した。

 教材を公開用Webサイトへ登録,及び教材を学校内LAN環境のWebサーバーにインストールする仕組みを作成する。

 

また,授業実践成果のまとめをもとに,改善点をまとめた。

(1)検討委員会の決定 本開発テーマの主旨に従い,項目毎にカリキュラム等を検討,作成していただくメンバーを小学校,中学校の教師を中心に,決定されたか。

(2)指導案の設計 各カリキュラム毎に指導案と教材の概要が明確になったか。また,実践するためのネットワーク環境が明確になったか。

(3)システム構築マニュアルの開発 指導案に従った内容で授業のためのシステム環境や操作方法がアニュアルに従って構築できるか。

(4)授業実践校の募集 開発された教材,指導案を用いて本テーマの授業実践校を募集し,決定されたか。

(5)授業実践 授業実践校にて本テーマの開発成果で授業を実践し,その成果が結果として纏められたか。

 

実践授業を行った学校

大津市立瀬田小学校

山梨大学教育人間科学部付属中学校

清泉女学院中等高等学校

松坂市立中部中学校

山梨大学教育人間科学部付属小学校

慶應義塾幼稚舎

早稲田大学高等学院

広島市立鈴張小学校

千葉大学教育学部付属中学校

 

授業の導入部分では,インターネットを使って起こっている様々な社会問題や詐欺行為について話し合った。小学生なので具体的な事件や事例はそれほど詳しく知らなかったが,児童名簿を聞き出す電話などが実際によくかかってくるので個人情報の保護についてはどの子も関心が高かった。

 当サイトのテーマは,インターネットの利活用が学校のみならず家庭でも急速に普及し,かつ,携帯電話など端末の多様化が進行する現状を踏まえて,生活安全教育(消費者教育)やネットワークモラル教育を行うものであり,扱う内容は必ずしも現行の学習指導要領には準じていない内容となっている。

 消費者教育の一つであり,教材の内容については関連業界への配慮も必要である。そのため,開発途中で一般公開し,i-ethics(情報倫理メーリングリスト)やその他の教育関連のメーリングリストで開発したコンテンツに関して意見を求めた。

 当サイトは,開発主旨において,電子商取引などの生活を豊かにする社会サービスについて賢い利用者・賢い消費者を育成することで,これらの社会サービスが健全に発展し,利活用が進むことを意図している。

 生活安全教育の観点から消費者保護の立場での内容が中心となりがちであるが,同時にプラス面についても扱っているので,教育学習の場面においても,マイナスの面だけでなくプラス面についてもバランスよく扱う。 

 インターネットを活用した先進的な授業を実践している現場の教師の意見をもとに,インターネット社会向け消費者教育のための新しい学校教育用コンテンツの開発という考えで取り組んだ。