みんなで作ろう! 百科事典ネットワーク

北海道赤井川村立都小学校 

 

1.        「どの様な企画であるのか」

 「個」による主体的な学習活動が中心となる「総合的な学習」では,学習テーマや学習活動がばらばらになり,児童間で共有化することや学年間で積み重ねることが難しい。また,本校は全校児童14名の小規模へき地校であり,児童は同学年の子どもたちと共に学習する機会をほとんど持っていない。

 インターネットは公開性,双方向性に大きな特徴がある。本企画は,インターネット上で複数の学校が協力して「百科事典」を作る。形成される「百科事典ネットワーク」が学習の共有化・積み重ねを果たすと同時に,複数の協力校と同時に学習を進める学習過程が,小規模へき地校の問題の解決につながると考えた。

2.        「どの様に実施したか」

 本校では,36年生の総合的な学習の時間を年間105時間設定し,学習段階を「見つける,調べる,まとめる,伝える,ふりかえる」の5段階に分けて実施した。

 「見つける,調べる」段階では,調べるテーマを「ふるさと」と設定し,実際に地域に出かけ,稲作の農家の工夫や地域の史跡等を見つけ,インターネットや地域の人に聞くなどして調べた。「まとめる」段階では,それぞれの児童が調べたことを百科事典の形式のテンプレートにまとめ,学校のホームページにアップし,公開した。「伝える」段階では,百科事典リンクのためのホームページ「100ka-net」を創設し,広く参加協力校を求めた。同じ百科事典作りを行っている「沖縄県名護市立名護小学校」とメールやテレビ電話会議での交流を進めた。また参観日や学芸会に学校ホームページを活用した発表を行い,保護者や地域に学習の様子を伝えた。「ふりかえる」段階では,学習過程を振り返りながら名護小学校と交流した結果,「百科事典作りの秘訣」をまとめた。

3.        「その結果はどの様であったか」

児童が学校ホームページに公開した百科事典データは70を超え,内容も稲の成長,地域の史跡,昔の生活用品,昆虫,植物等についてなど多岐に渡っている。

 他校の百科事典のデータをリンクする「100ka-net」は,協力校がなかなか見つからず,公開が12月と遅れてしまった。現在では,本校,愛知県半田市立亀崎小学校,宮崎県宮崎市立本郷小学校,鹿児島県大島郡瀬戸内町立古仁屋小学校とリンクし,また稚内の個人の方が参加している。しかし,百科事典としての形式がそろっているものは,まだまだ少なく,今後の継続的な取り組みと働きかけが必要である。

 本校の児童は,普段同学年の子どもたちと触れ合うこと機会がほとんどなかったため,名護小学校との交流を通して,大きく世界を広げた。メールやテレビ電話会議の取り組みを緊張しながらも積極的に取組む姿が見られた。