授業づくりを支援するWebページの改善・開発と活用

秋田市立川尻小学校

 

1.企画実施の目的

学校の地域環境を生かし,子供たち一人一人の違い(既有体験・興味関心・問題意識・学習スタイル等)に応じた支援活動を可能とするため,LANやインターネットといったネットワーク環境を活用しながら,2で示すようなWebページを開発する。この後,このWebページの活用の在り方を工夫しながら授業改善・活動改善を進めていく。

 

2.実施内容と方法

Web上で以下の(1)(2)のようなデータベースを開発し,3〜6年の「かしわっ子学習」(当校の「総合的な学習の時間」の呼称),生活科,社会科,理科,及びクラブ活動を対象として,これを活用した学習指導の在り方を工夫・改善するとともに,データベース機能の有効性と改善点を明らかにする。なお,データベース開発は, Word,Excel,Access,一太郎,ホームページビルダーVer6,Acrobat4.0J等を用い,LAN環境を活用して行った。

 (1) 指導活動を支援するデータベースの改善・開発

1)     指導活動支援データベース……年間指導計画,単元指導計画,単位時間展開案,指導資料等の登録・検索に活用。

2)     「ふるさと先生」データベース……「ふるさと先生」の専門分野や保持資料の確認,実践事例の登録・検索に活用。

3)     児童理解支援データベース……子供たちの学校における行動・活動の様子の把握に活用。

(2)   学習活動を支援するデータベースの改善・開発

1)     学習成果データベース……学習成果(調査活動のまとめ,観察・実験結果,造形作品等)の登録・検索に活用。

2)     学習素材データベース……地域の自然,歴史,文化,社会施設等のデータの登録・検索に活用。

(3)   (1),(2)を活用した授業や活動,実践交流の在り方の改善・開発

 子供やメディアの特性を押さえた支援活動の在り方を工夫しながらWebページや実践交流の在り方の改善に努めている。

 

3.実施経緯

改善・開発したデータベースを実際に授業や活動で使用しながら,その効果の如何や改善点を明確にしてきた。

(1)      「指導活動を支援するデータベースの改善・開発」について

1)     指導活動支援データベース

学習過程を構想したり,学習支援資料を作成したりする際に活用した。

2)     「ふるさと先生」データベース

子供たちが「必要な時」に,「必要な内容(話,実演,資料等)」を,「必要とするメディア形態」で取得するように,学習過程の在り方を工夫してきた。

3)     児童理解支援データベース

当該児童の行動や性格的な特性を把握して具体的な対応をすべき時に活用。

(2)      「学習活動を支援するデータベースの改善・開発」について

1)     学習成果データベース

長期休業前の指導(教師),自由研究において,追究方法の修正や,まとめ方の決定等に活用(児童)してきた。

2)     学習素材データベース

 データを取り出したり,不足のデータを自分たちで取ってきて登録したりする際に活用。

(3)      (1),(2)を活用した授業や活動の実施とそれに基づくWebページ及び実践交流の在り方の改善・開発」について

 

4.企画実施後の成果と課題

(1)  「指導力及び指導資産」の向上という視点から(教師側から)

1)     子供の実態や特性に即した学習活動の構想が可能となり,地域や学校の環境(自然,人材,施設等)を生かした学習や活動,子供の願い・特性に応ずる学習形態の工夫等,活動展開の工夫が効果的に行われるようになってきた。

2)     授業や活動を支援する際,打ち合わせ時間の短縮等も可能となり,ティームティーティング(TT)による指導がより日常的に行われるようになってきた。

3)     ネットワーク時代の授業づくり,学習環境づくりの在り方に関する知見及び指導力量が向上してきた。

4)     今回のデータベース開発の経験を生かして,「ふるさと教育」を基盤にした交流活動の在り方が見えてきた。

(2)  「子供の育ち」という視点から(子供側から)

1)     必要な時や場面において,ほしい情報を必要なメディア形態で取得できるため,比較したり推論したりといった活動が促進され,主体的かつ個性的な追究(追求)活動が活発になってきた。

2)     学習過程で獲得した新たな情報を適切なメディア形態でデータベース化し次なる活動に備えたり,これらを元に交流を図ったりしようとする意欲や態度,能力が伸長してきた(コンピュータリテラシー,ネットワークリテラシーの向上)。