お金と現代社会

福島県双葉郡広野町立広野中学校

 

1.概要

総合的な学習の時間における教材作成や授業運営(生徒たちとのコミュニケーションを含む)を外部参加者との協力体制の下に実現した。また,学習テーマを「お金と現代社会」とし,身近でありながらもその意味・本質をじっくり考えることの少ない「お金」をめぐる事柄について学習した(お金の成り立ちと仕組,株式,為替,会社の成り立ち等)。さらに,“学生対抗円ダービー”や“STOCKリーグ”など多くの学生が参加している学習の場を積極的に活用し,学習成果を学内外で相互に評価しあう機会を多く設けた。なお,以上の活動を全面的に支えるものとして,インターネット上の協同的学び合いの場を“バーチャル・クラス”と位置づけた。

 

2.実施内容

2.1.企画のポイント
■ネットワーク・インフラや情報機器の新たな活用方法

■学習テーマにおける新規性:お金と現代社会

■学習形態としての新規性:グループ・ワークを中心とし,多様な他者のあり方を認め,共に学び合える環境を実現


2.2.対象および実施期間

福島県広野町立広野中学校3年生(総合的な学習の時間における本コース選択者15名)
  実施期間:2001年度1学期および2学期 総合的な学習の時間(毎週金曜日5時限目)

 

2.3.実施体制

広野中学校校長および社会科担当教員を中心とした教員の参加・協力。さらに慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科の大学院生による下記二つのプロジェクトから,学習テーマの選定,授業方法・環境整備の企画立案,実践参加を含めた全面的な協力を得た。

Mag21プロジェクト』指導教員:斎藤信男(慶應義塾大学 大学院 政策・メディア研究科長(旧))

『モービル広域ネットワークプロジェクト』指導教員:村井純(慶應義塾大学 環境情報学部 教授)

 

2.4.指導方法

基本的な学習スタイルは生徒の自主的なグループ学習であるが,授業には担当教諭の他グループ毎に大学院生あるいは大学生がメンターとして参加した。

 

2.5.学習内容

一学期は三グループ構成(1)「日本のお金と歴史」2)「会社と株とお金」3)「為替」)で基礎事項の学習とグループ毎の成果発表を行った。為替班は円ダービー[a]260チーム中32位,中学生のみでは5位という成績を得ている。二学期はグループ毎にSTOCKリーグ[b]へのエントリーを果たし,株式の基礎事項を学び,ポートフォリオを作成,実際に投資活動を行った。なお,学習の全過程において,ネットワーク環境の利用方法を理解し,効果的に活用することを学んだ。

 

3.評価

 総合的な学習の時間における外部参加者との協力体制が,教材作成のみならず授業の運営や生徒とのやり取りを含めて新たな視点を与えてくれることがわかった。しかし,企画実施におけるコミュニケーション・コストが高くつくという点は今後,考慮すべき点である。

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a全国学生対抗円ダービー:日本経済新聞社主催の円ドルレート予測によるコンテスト。

bバーチャル株式投資,ポートフォリオ・コンテストなどの体験を通して経済を学ぶ。日本経済新聞社主催。