俳句プロジェクト

横浜市立大口台小学校

 

 一昨年度は「絵のリレー」の学校企画を行った。デザイナーの方に最初の絵を描いてい ただき,その絵の「形・色・テーマ」など気にいったところをイメージのもとにして自分の絵を描きあげ,インターネットで送り合った。小学生だけでなく高校生や専門家の方々との絵の交流を通じて,それぞれの絵のよさを感じ合ったり,自分たちのよさに気付いていったりした。この企画により,インターネットが他者の立場や考え方とふれあうチャンスを多くし,様々な価値観を学ぶ場となったと感じている。  

 そこで,今年度は,日本で生まれた文化である俳句に挑戦したいと考えた。本年度のプロジェクトは,一昨年度のコンセプトを継承しつつ,さらに参加する人や地域を増やし,継続して俳句作りを行なうことにより,地域による季節感の違いや人による感じ方の違い,さらには自分自身や地域を振り返り,よさを感じることができるようにし,それを表現に生かせるようにしたいと考えたのである。  

 本年度の成果としては,次のようなことを報告したい。

 まずは,同じ体験から出発したいと考えたので,「俳句日記」をつけることで,自分達の表現力の弱さに気付かせた。さらに,国語学習を通じて「言葉」には微妙なニュアンスの違いがあることや,人によって「言葉」をどのような場面で使うかが違っているということに気付かせた。

 それらの気付きをもとに,生活の様子や学校生活で見つけたり感じたりすることは,みんな違うことを確認し,それを「俳句」の表現に生かしてみようということで,秋の俳句作りに取り組んだ。しかし,ただ作るだけでは長続きしないと感じた教師は,本校が5年前から参加しているインターネットを活用した学校間交流プロジェクトの「メディアキッズ」で作った俳句を発表しようと考え,子どもたちに提案した。子どもたちは,今までも「ソフトクリエータプロジェクト」や「去札幌雪まつりプロジェクト」で「メディアキッズ」を活用したり,「アニメとゲームの部屋」などは休み時間に個人的にアクセスしたりしていてなじみがあるため,すぐにやってみようということになった。神奈川県の宮が瀬小学校・和歌山大学附属小学校・ 福井県春江小学校・札幌新川高校などとの交流を通して,様々な学びが見られた。

 例えば,高校生から送られてきた「絵手紙」から,「俳画」を思い付いてそれを近隣にある盲学校の理療祭で発表させていただいたり,はじめのうちは本校の子どもたちからの「俳句を見てください」という発信が多かったのが,だんだん他校の子どもたちも作って発信するようになり,そこで知り合った子がメディアキッズのイベントの「札幌雪まつりの雪像作り」で出会うということも起こり,さらにメディアキッズでの交流が盛り上がったりした。また,季節の様子の違いなどにふれたメールのやり取りも見られた。子どもたちが,休み時間などのちょっとした時間の中で送るには,15文字という分量も適当であったようで,メディアキッズ上では9月から1月の間に,約100通のメールのやりとりが行なわれた。

 このように,インターネットが,俳句を作る時に「読み手」を意識して作るという意欲や発想をかきたてる場になっただけでなく,「夏→秋→冬→春」と継続していく俳句を作っていく刺激ともなったことが伺われる。

 今後は,日本に古くからある文化としての俳句そのものにも,興味をもつ子どもたちも出てくるであろう。そういう子どもたちには,インターネットを通じて俳人や俳句を愛する人々との交流などが実現できればと考えている。 また,俳句は日本のみではなく,海外の俳句人口は4百万人と言われているので,国際的な俳句の交流も行いたいと考えている。