デジタルポートフォリオ評価の実践とそれに連続したデジタルコンテンツの作成

つくば市立竹園東中学校 

 

 新教育課程では,「自ら学ぶ力の育成」が大きな柱となっている。この学ぶ力の育成には,授業の構成の工夫と共に,評価の工夫も重要であると考える。

 評価について新教育課程では,「児童生徒が自らの学習を振り返り,新たな自分の目標や課題を持って学習を進めていけるような評価を行うこと」が求められている。また,総合的な学習の時間の評価については,「試験の成績によって数値的に評価することはせず,活動や学習の過程,報告書や作品,発表や討論に見られる学習の状況や成果などについて,児童生徒のよい点,学習に対する意欲や態度,進歩の状況を踏まえて適切に評価すること」が求められている。

 そのような状況の中で,本校では,ポートフォリオに,デジタルデータを生かした,デジタルポートフォリオを取り入れた。なぜなら,デジタルデータは,「保管に場所を取らず,整理が容易であるだけでなく,ネットワークサーバーに保存すれば,校内のどのパソコンからも利用することができるし,データを組み合わせたり,順番を変えたり,加工するのが容易になる。」という利点があるからである。

 本校におけるデジタルポートフォリオは,「グループウェアを活用し,各自がデジタルデータを校内のネットワークサーバーに保存し,それらを加工して,交流のための資料やプレゼンテーションの資料を作成する活動」を主にしている。

  本年度,第1学年では,総合的な学習にこのデジタルポートフォリオ評価を取り入れ,実践した。 年度の途中の中間発表会と最終発表会の2回のプレゼンテーション機会を作った。その発表会のプレゼンテーションの資料を作成するために,グループウェアを活用して,本校の生徒はもちろん,他校の生徒や専門家,地域の人々と交流しながら自己課題の追求をした。この交流で受けた,多数の方からのアドバイスや評価を生かして,追求を深め,発表会のためのプレゼンテーションの資料作り,つまり,ポートフォリオ作りが進められた。

 発表会では,その資料を使った発表がされ,資料の内容やプレゼンテーションの出来映えについて観点を持って,自己評価や相互評価を行い,学習が振り返られた。

 教師は,活動中や発表後に生徒と学習相談を行い,学習の進め方について支援すると共に,ポートフォリオの評価や生徒の意欲・思いの評価を行った。

 以上のように,デジタルポートフォリオを実施することにより,発表会に至るまでの活動の目的意識が高まった。また,自己評価や相互評価が,曖昧な判断や表現ではなく,基準を持って,評価できるようになった。それにあわせて,生徒の活動に対する教師の役割が整理され,評価も確実に行えるようになった。

 しかし,今年度は初めての取り組みであったため,基準作りが不十分だったり,教師の役割が十分に果たせなかったりした。今後は,基準を活動の最初から,生徒に明確に示せるように準備し,活動の流れや教師の役割を明確にし,生徒により確かな見通しを持たせられるような,教師や生徒へのマニュアル作りをしたいと考えている。

 また,保護者による活動参加を促すように,保護者と教師・生徒による学びのためのメーリングリストを整備し,地域掲示板を稼働したいと考えている。