知的障害学級で行う総合的な学習におけるインターネットの活用および情緒障害の遠隔教育

三芳町立三芳中学校  

 

1.総合学習におけるインターネット利用

 知的障害を持つ生徒が総合的な学習の時間にインターネットを活用して調べ学習を行うことで学習の道具としての活用し,豊かな学びを実現しようと考えた。

(1)本学級の総合的な学習における進路学習

 インターネットは,知的障害の生徒にとって苦手な漢字の多い活字だらけの教科書と同様に活用が難しいイメージがある。そのため,ホームページ読み上げソフトや,ホームページふりがなソフトなどを用意してインターネットを活用した。活字は多いが画像も多いという楽しい情報源であっために,一人で情報を集められるようになってきた。体験的な学習と併用することで学習効果が上がった。上級学校調べではホームページを掲載していない学校が多く,あまりインターネットが活用できなかったため,本学級の上級学校調べのまとめをホームページに掲載し,他校でも役立てられるようにした。職場実習後に出したお礼のメールに社長さんが感激して謝辞をいただいた。メールは新鮮な心を新鮮なうちに相手に届けることができることがわかった。

(2)通常学級の総合的な学習の時間に参加する生徒の学習内容

 東武伊勢崎線の車両の種類,特徴,走行路線などを書籍,インターネット等で調べた。インターネットには,時刻表,歴史,路線図,発車ベル音などがあり,それをダウンロードし,さらに現地まで出かけて撮った写真と書籍で調べた情報をパワーポイントに書き込んだ。パワーポイントは約10時間かけて作成し,学年発表の時間に一人で操作しながら発表した。

 総合的な学習の時間におけるインターネットの利用は調べ学習という苦手な学習での使用であったが,子供の成長が多く見られるという予想以上の効果があった。

2.情緒障害の生徒の遠隔教育に対する指導の可能性を広げる。

  学校に適応することが難しい心因性の情緒障害の生徒が,心理不安などから集団参加場面を回避することが多いため,CCDカメラで学校行事を撮影し,リアルタイムの映像を見ることで集団の活動場面に参加する意識が持てるようにしたいと考えた。また,学校に登校できない状態が続いた時にE-mailによる教育相談を実施したり,ホームページに学習するページを用意し,家庭学習ができるようにした。

 アクシデントにに見舞われたが,少しずつ軌道に乗り始めた。インターネットに接続していない家庭が多いため携帯電話からアクセスできるようにした。各家庭のニーズに応じたシステムを考え,途中の計画を変更しながら本校の実態に応じた方法を模索していった。儀式行事への参加はライブ中継を実施する前に解決したが,次の課題である交流給食の対応策としてネットミーティング給食へと切り替えることでネットの活用の幅が広がった。取り組み始めた課題であるが,新しい出会いが期待できる方法である。精神的な負担が少ないことは教育相談的な配慮を要する生徒に向いていると思えた。