発想法の育成Webプロジェクト

学校法人高橋学園 千葉学芸高等学校

 

学校教育における調べ学習や総合的な学習の重要性は増していくであろう。そこで調べたものをどのように活用し,発展させていくか,さらにはどのように生徒自身に考えさせていくかということは重要な課題である。

そこで,本企画では,創造性の開発を支援するようなWeb教材の開発,および学校教育への適応可能性について報告する。

内容としては,最初に物事を抽象化,モデル化することから物事の本質を捉えることを学習する。そのために,異なった物の中にある等価な物を探すという教材を作成した。次に模倣から創造への発展について考えさせる。視点を変えることで模倣ではなく創造としての発展があること,また,歴史的な発展はその連続であったことにも言及する。最後に身近な発明を取り上げ,TRIZの手法の有効性および,その他の事例についても考えさせる。TRIZとは発明のヒントを与えるためのツールであり,様々な解釈・各人の感性によっても生み出されるものが違ってくることを理解させる。

成果は以下の通りである。

・形態の相似性については,もともと直感的理解がなされていたようであるが,機能性との関連性については理解がされていなかったといえる。しかし,授業後では形態性と機能性の面での関連性について思考することができるようになり,形態の抽象化および等価性の発見について効果が見られたようである。

・視点の変化について効果は上げられたと考えられる。しかし,中には模倣と創造が反対の関係にあると考え,同じものとしては認識できないという少数意見もあった。

TRIZを利用してみようという興味を持った生徒が半数以上いた。その反面,理解できなかった,面倒くさいという理由で利用しようと思わない生徒もいた。

・創造性の育成に関して効果を上げられたと考えられる。特に,「等価性の発見」および「視点の変化」では大きな効果を上げ,各人が何らかの意識をもてたようである。

TRIZの利用では新製品という題材を取り上げた。発明や新製品にはかなりの生徒が興味をもっているが,その必要性や,改良の根拠を深く考えようとしない傾向がある。生徒に問題解決の一手法としてTRIZを用いるメリットを認識させ,創造的に考える習慣をつけさせることで,今後さらなる教育効果が期待できる。