障害を持った子どもたちの交流を深めるための電子メール利用

茅野市立玉川小学校 

 

同じ学区にある茅野市立東部中学校の知的障害児学級「若草学級」とは,例年,秋の焼き芋交流など,年に2回ほどの交流を行ってきた。若草学級の子どもたちは,全員本校の卒業生であり,6年生のYくんとはとても仲良しである。そこで,この関係をさらに深めるとともに,本校知的障害児学級「玉川学級」に在籍する,4年生・2年生・1年生の友だちへと関係を広めることで,将来,同じ地域に住む仲間として,助け合える関係が生まれるきっかけになるのではないかと考えた。

 しかし,例年のように年2回の活動だけでは友だちとの結びつきを深めていくのは難しいと思われるので,より継続的な活動を位置づける必要がある。そこで,今年は交流会の回数を3回とし,さらに,電子メールを用いることで,お互いの意識が途切れることなく,交流を継続させることができるのではないかと考えた。

 この交流とは別に長野県の南部に位置する飯田市の山本小学校から,知的障害児学級「花の木学級」の子どもさんとの交流を呼びかけられた。まったく知らない子どもたちの関わり合いに,コンピュータは有効に利用できるかを,子どもたちの姿から検証してみたいと考えた。

そこで,今回の実践では次の場面で電子メールや電子掲示板(メーリングリスト)を利用してみた。

・交流会の打ち合わせの場面

・身近でおきた出来事の情報交換を行う場面

 

 授業の成果としては,次の点が上げられる。

・知的障害を持った子どもたちにとって,電子メールは有効な情報伝達手段として使える。たとえば,自分の都合のよいときに用件を伝えたり,受けたりすることができるので時間を束縛されない。データが保存されているので,自分が理解できるペースで読み返すことができる。写真を取り入れられるので,より具体的に用件を伝えたり,受けたりすることができる。

字を書くことに時間のかかる子どもでも,文章表現の学習機会を与えることができる。

・交流会と電子メールをともに行うことは,子どもたちの意識を持続する上で有効である。

写真で楽しいできごとを振り返ると,子どもたちの文章量は飛躍的に伸び「書きたい」「伝えたい」という意欲へとつながっていった。

 

・相手を意識することで人を思いやったり自分のこだわりを押さえたりする気持ちが芽生えてきた。

・電子メールを振り返ることは,子どもたちの育ちや変化を振り返る窓口になる。

今後の課題としては,将来的に子どもたちがコミュニケーションをとる手段の一つとして,電子メールの活用が考えられるが,学校用のソフトから,市販されているソフトへどのようにシフトしていくのがよいか。障害をもった子どもたちのための「情報モラル」をどのように位置づけていったらよいか。問題に巻き込まれたときの対処法など伝えていく必要があるように思う。