へき地複式校における地域ネットワークを活用した表現力の育成

坂内村立坂内小学校 

 

児童は総合的な学習の時間で坂内村について調べている。児童は教師や保護者の意見,Web上にある昨年度の児童の調査結果を参考にして課題を決定する。児童は総合的な学習の時間に課題設定,調査方法の決定,観察や調査,調査のまとめ,Webページへの登録などを行う。児童はひとり1台のパソコンを使って自分のWebページを作成し,サーバに登録する。児童の登録したWebページは閲覧できるので,教師や児童は他の児童の作成状況や調査結果を知ることができる。児童が作成したWebページは校内の審査を経て,外部から閲覧できるWebページとして登録される。児童は総合的な学習の時間だけでなく課外にも地域の方に取材したり,地域の活動に参加したりする。

児童の調べたことはWebページに登録されるので,地域の方や保護者はWebページから児童の学習の様子や調査の予定などを知ることができる。保護者や地域の方はWebページなどから児童の学習状況を知り,意見をいただいたり,あらかじめ資料を準備していただいたりする。学校は保護者の方や地域の方にあらかじめ協力していただけるようにお願いしている。

児童は,村内の全戸に接続された地域ネットワーク(100Mbps)を活用して,各家庭から学校のWebページの動画や音声のコンテンツを利用することができる。保護者も児童と同様に地域ネットワークを利用することができる。

総合的な学習の時間を中心に,学校と家庭の学習を結ぶことにより,次のことが明らかになった。

1)保護者や地域の方が学校の取り組みに関心をもち,取材に協力したり授業への参加したりしていただくことができた。そのことが児童の学習意欲を高め,児童は昨年以上の内容の調査を行い,まとめることができた。

2)児童が動画を編集し,Webページに動画を載せることで,地域の方や保護者,交流相手の学校へ動きや音を分かりやすく伝えることができた。児童はその効果がわかるにつれ,積極的に取材で動画を収集したり,編集したりするようになった。

3)児童は地域ネットワークをあたりまえのものとして使いこなすようになっている。学校での学習と家庭での学習がネットワークを通してつながっているため,課題追究の意識が連続している児童が多くなった。

上記の1)〜3)が,表現する手段を自分で選び,積極的に相手に伝えようとする児童の姿を生み出している。