WBT(Web Based Training)システムを利用した学力評価システムの構築

大津市立瀬田小学校 

 

 現在の学校現場は,コンピュータが順次導入され,インターネットなどの情報インフラも整備されつつある状況にある。今,学校現場で求められるのは,教育利用コンテンツとその活用に対するノウハウである。本企画は,児童の評価という日常の教育活動をIT化する試みある。

 WBT(Web Based Training)とは,主に企業や大学で企業研修や遠隔教育などで用いられている教育・研修システムで,WEBのインターフェイスを用いて,知識ベースの学習情報を提供し,評価を行うものである。小学校においては,知識や技能の獲得には,教師や児童間のにぎやかなコミュニケーションがどうしても必要で,知識を子どもたちに付与するという点ではWBTは教師が教室でおこなう一斉学習以上の意味を持たないと考えられる。WBTが一斉授業の補完をすることはあっても,一斉授業に取って代わることはない,ということである。

しかし,WBTには大変優れた面がある。それは,そのデータ処理の速さと正確さである。この良さを活かした評価システムの構築が小学校の現場で有効に活用できると考えられる。従来,小学校における知識ベースの評価は主に紙メディアと教師の手作業で行われてきた。放課後の職員室では,教師が机に向かって採点をしている姿が多く見られる。しかし,単純な採点や集計作業に教員のマンパワーを振り向けるのは効率的ではない。そのような単純作業はシステムで処理をして,児童との面談指導や作文の添削,評価システムで得られたデータを元にした今後の指導方略の立案や授業評価など,教師でしかできない創造的な仕事に教員のマンパワーを使う時代が来ようとしている。また,市販テストを購入する場合,年間3000円程度の保護者負担を強いていることにも注目したい。児童数600人の中規模校で年間150万円以上の出費である。評価システムが構築されると,これらの保護者負担を必要としなくなり経済的な視点からもWBTの評価システムは優位性があるといえる。

本校では,富士通の「インターネットナビウェアー」を用いて,5年生の算数で実際に児童を評価するためのシステムを構築し,実際の授業で利用した。