人権意識を高めるためのソフト開発
松山市立南中学校
プロジェクトの意図
人権・同和教育のための実践的な活動として,参加体験型学習が脚光を浴びている。これを子どもにとってより身近な活動とするため,パソコンを使ってシミュレーションできるゲームソフトを開発し,学習に利用することによって,課題解決能力や創造力,思考・判断力,表現力等の資質を養わせながら,人権意識を高める実践を試みた。この実践はまた,子どもたちの情報リテラシーの育成にもつながると考えられる。
1.実践内容
人権問題の一つである南北問題を理解するため,参加体験型学習「貿易ゲーム」をもとに,現実社会に見られる複雑多岐にわたる多くの状況を,コンピュータを使ってシミュレートできるゲームソフトを開発した。このゲームで体験できるロールプレイングを通して,相手の立場になって物事を考えさせることにより人権意識の向上を図った。また,自ら進んで学習し,真剣な論議の中でお互いの考えを練りあうことを通して,課題解決能力も養わせるようにした。制作に関しては,企画担当者,共同開発者,企画推進アドバイザー,調査協力者等の間の連携を図るため,インターネットを有効利用した。
(1) ソフト開発
○計画・プログラミング
まず,ソフト開発に必要な留意点を考えたのち,企画の対象を小学生〜高校生とし,利用場面を一般の教科,特別活動,道徳,総合的な学習の時間等と考えた。
次に選定した「貿易ゲーム」の内容を理解した上で,シミュレーションに必要な条件設定を行った。これらのソフト設計について,企画推進アドバイザーなどとも充分協議した結果,その青写真をもとに開発者にプログラミングを依頼した。
○評価・改良
本校内はもとより,他校や人権教育組織の協力者に,できあがったソフトの試用を依頼して,評価を得た。それをもとに,ソフトの改良やマニュアル作成に取り組んだ。
また,インターネット上でプロジェクトホームページを立ち上げ,ダウンロードできるしくみを作り,ソフトについてのモニター募集,アンケート実施を行っている。
(2) 教材活用
学習における指導計画や指導案を作成し,改良したソフトを用いて授業を行い,ソフト活用の利点,留意点,教育効果,反省点,これからの方向性等の結果を得た。
2.成果と課題
(1) 成果
・子どもの人権意識の向上
・人権教育のための効果的な教材の開発,教育用ゲームの可能性
・新しいスタイルの人権教育の可能性,広範囲な活用法
・プロジェクトで得た担当者自身の経験を生かした教育・啓発効果
(2) 課題
・教材の普及と効果的な利用
・総合的な学習等での活用事例の蓄積
・インターネット上での利用
・発達段階に応じた教材への改良
・企画担当者としてのコーディネート能力の育成