ア・ラ・カルト方式による学社協働「こめのくに」
1.背景
新学習指導要領による「総合的な学習の時間」など新しい枠組みの学習や学校へのインターネット導入による多様で柔軟な学習形態の展開が目前に迫っている.インターネットの利活用は,Web教材の質と量に大きく依存するため,Web教材の制作と供給は,学習形態の新しい展開の鍵を握るものである.
Web教材は,印刷教材のような学習内容や範囲に従いパッケージ化され固定化された教材と異なり,扱う学習内容をはじめリンクによる学習情報の関連付け,マルチメディア表現等その範囲は広く,様々な制作技術が必要であり,あるテーマのもと教師や地域,専門家などが専有のパートを担い共同で企画,制作に関わり,課題自体も進展する教材を制作する必要がある。
2.目的と概要
本プロジェクトは,学校教育における新学習指導要領の実施やネットワーク,マルチメディアの活用による新しい学習形態の展開に見合う教材を学校,地域社会,専門機関等からなる学社協働体により企画し制作供給することが目的である.
稲作農業県としての特色を持つ新潟県の地域性,専門性,歴史的背景を活かし,稲作を軸にくらし,文化等を含めて探り,「総合的な学習の時間」をはじめ小学校社会科「食料生産」,中学校社会科地理「日本とその諸地域」および技術・家庭科の「食」での利用と発展学習で広領域・複合領域で利用可能なポータルサイトとしてのWeb教材「こめのくに」(http://www.nice.or.jp/kome/)を学社協働体により企画制作し公開する.
3.実施体制
本プロジェクトは,学校と各分野の専門機関を学社協働体として形成し,各専門分野の代表者により構成するプロジェクト実行委員会が全体進行を担当し,Web教材の企画特集を策定する.また,プロジェクト実行委員会は,学校で実施の実践研究案を策定する実践テーマ検討委員会を兼ねる.実施体制は,次図のようになっている.
4.活動内容「学校実践テーマ」
学校実践テーマは,参加校の指導計画等の実状に即して柔軟に実施できるようア・ラ・カルト方式で選択実施するものである.また,学校実践テーマごとにねらい,準備内容,資料Web等を解説表にまとめWeb化し情報提供をしている.学校実践テーマの成果は,Web教材の制作に反映される.策定した学校実践テーマは,次のものがある.
学校田収穫米のランク調べ. |
|
世界の主食用穀物調べと稲作成立の要因を探る. |
|
生き物調査とデータベース作成,環境との関係調べ. |
|
月ごとの稲の生長記録,定点観測カメラ. |
|
米の消費量増加の要因を探る. |
|
米所としての多面的な要因調べ. |
|
温度データ計測とうまさの関係調べ. |
|
国内外の米作りの比較. |
|
米の加工技術,精米過程調べ. |
|
図書,視聴覚資料のリスト作成. |
|
博物館による学校での出前講座. |
5.活動内容「企画特集」
稲作関係の文献資料,写真・映像資料等を取材,収集してのWeb制作である.とくに映像資料の動画配信を中心としている.企画特集の主なものには,次のものがある.
棚田を中心とする野沢恒夫氏の写真集Web化. |
|
稲作作業の8mフィルム,野嶋義騎氏. |
|
現在の稲作作業,施設設備のビデオ取材. |
|
亀田郷歴史資料館所蔵品の写真・ビデオ取材. |
|
作業,農機具,くらしの比較表. |
|
農政事務所他編資料の用語集,PDF化. |
6.Web教材「こめのくに」
Web教材「こめのくに」の全体構成は,次のようになっている.
お知らせ |
更新情報 |
検索 (サイト内情報の全文検索機能) |
|
米の国から |
メールマガジン |
||
きょうの田んぼ |
定点観測カメラ |
||
情報局 |
活動ニュース |
||
ビデオ館 |
ビデオライブラリー |
||
写真館 |
写真ライブラリー |
||
品種やうまさとねだん |
ジャンル別Webリスト |
||
農機具や農具と道具 |
|||
米作りのことばと意味 |
|||
くらしや行事と文化 |
|||
米作りに関係する機関 |
|||
米作りを科学する |
|
|
|
米作りのQ&A |
|||
お米と食(しょく) |
|||
その他 |
|||
気象ノート |
気象データ |
||
活動のまとめ |
学校関係の実践 |
||
特集 |
企画特集 |
||
トピックス |
|||
大きなつながり |
Webのイメージマップ |
||
小さなつながり |
|||
活動のヒント |
実践,活動の事例 |
||
こめのくにのこと |
学校実践テーマ解説表 |
7.まとめ
本プロジェクトは,学社協働体が策定の学校実践テーマ(実践案)を学校現場へ提供し,学社協働で取材する企画特集と参加校が実施する学校実践テーマの成果をもってWeb教材を制作した.今後も学社協働体を維持継続し,さらに必要な学習情報および課題を検討し,企画特集および改訂,新規策定の学校実践テーマを公開して,Web教材「こめのくに」の質的向上を推進する.