Eスクエア(e2)・プロジェクト 成果発表会

親子コンピュータ教室で広げよう地域の情報化

− コンピュータ教室で広げる学校・家庭のコミュニケーション −

兵庫県神崎郡福崎町立福崎小学校 松本 正樹
http://www.hyogo-edu.yashiro.hyogo.jp/~fukusaki-es

キーワード: 小学校,情報化,地域交流,学校家庭間交流


1. はじめに

 本校では,平成10年度ネットワークコンピュータが導入され,コンピュータを使った学習が推進されている。子どもたちのコンピュータに対する意欲的な取り組みは,新しい学習として保護者の関心の高いところであり,また子どもたちの家庭での大きな話題となるところである。しかし,本校のホームページ開設にともなう家庭調査では,コンピュータを所有し,インターネットにアクセスできる家庭は1割しかなかった。子どもたちの情報の発信を,家庭で受け止めてもらうにはまだまだ時間を必要としている。
 そこで本校では,学校のコンピュータを使い保護者と共に子どもたちがコンピュータにふれる時間を作ってきた。学校ホームページに親子教室で作成したページを発信していくと,親子の情報発信として,地域の交流にもつながり,学校を中心とした情報化があたたかい親子交流から大きな広がりへと期待できるものである。家庭から学校へのつながりは,今までの学校から家庭だけの一方向性から,双方向の交流へと広がり,地域の情報化は,日々前進していくだろう。

2. 実 践

(1) 内 容

 学校のネットワークコンピュータを使い,希望する親子のコンピュータ教室を開催する。一昨年度実施内容を基礎にして親子の交流と情報発信を行う。家庭での情報化に向けて,コンピュータの準備ができない家庭へノートパソコンを交代で持って帰り,作成したホームページを閲覧しながら,インターネットを体験する。そして,福崎小学校ホームページに交流掲示板を作成し,書き込みをしてもらいながら地域交流を推進する。

 1) 昨年度実施内容
・コンピュータって何? ・Windows95の基本
・インターネットと福小ホームページ・子どもたちの使っているソフト体験
・メール体験

 2) 本年度実施予定内容
・デジタルカメラでなかよしこよし
・世界に発信しよう なかよし親子

 3) 実施予定日
毎月1回第3土曜日 午後1時30分〜3時まで

 4) 対象 
希望する1年生から6年生の児童と保護者

 5) 学校機器利用環境
・ネットワークコンピュータ20台  ・デジタルカメラ8台
・利用ソフトウェア:一太郎,画像処理ソフトウェアVIX(フリーウェア),フロントページ

(2) 推進計画 

 1) 参加希望親子の募集
 全児童に親子コンピュータ教室参加の案内を配布し,希望家庭より申し込みを受け付ける。低学年 児童家庭よりグループに分け,月1回の実施日に割り振り連絡をする。

 2) 親子コンピュータ教室開催
 指導者は,教師があたる。参加者には,学校ホームページ掲載可能な方に承諾書を記入してもらう。また,コンピュータの貸し出し申し込みも受け付ける。

 3) 学校ホームページ掲載
 承諾いただいた作品を実施日ごとにまとめて,ホームページへ掲載する。

 4) ホームページに地域交流掲示板を作成し,地域からの発信を求める。

(3) 親子コンピュータ教室

 1年生から6年生までの子どもたちと父母が参加した。本校のPTA会員数350のうち90組の参加があった。4分1の参加である。参加児童数は兄弟姉妹で134人の参加である。

 ねらい


図1 なかよしページ作成中の親子

(4) 貸し出しコンピュータ 

 親子コンピュータ教室の参加者を中心にノートタイプコンピュータを貸し出した。親子で作成したページへアクセスすることを目的に,家庭でインターネットを体験してもらうことにした。30家族より貸し出しの申し込みがあった。

 ねらい

3. 成果と課題

 親子コンピュータ教室への参加の意欲は,出席率(95%)にも大きくあらわれている。多くの参加希望で,1家族1回だけの参加しか実践できなかったことがたいへん心残りである。父母に操作の方法を教えるときの自信いっぱいの子どもたちの表情と,子どもたちから教えてもらっている父母の満足した表情から,充実したコンピュータ教室となったことと思われる。保護者だけのコンピュータ教室では,これだけ多くの参加者がなかっただろう。子どもたちのコンピュータに対する思いが保護者に伝わった教室だった。親子の協同作業,それも今までの立場を逆転した作業は,新しい親子の対話を生んだ。地域掲示板に書き込まれた「娘のコンピュータの扱いが依然よりも上達しているのに驚きました。メデイアルームでの学習の様子をよくはなしてくれます。そのにこにこ顔から楽しさが伝わってきます。」から想像できる。
 また,コンピュータを持ち帰った家庭からも,インターネットやコンピュータを使うことを通してあたたかい家庭の雰囲気が伝わるような感想が寄せられた。
 Webを使った学校からの情報発信は,最新のものが求められる。学校からの発信がまずは生きていることが大切なように感じた。
 学校通信・学年通信などをWeb上での発信の内容としても家庭が求める情報とはいえない。パソコンを初めて使いインターネットのアクセスを体験した家庭から情報を集めた。

 学校ホームページにどんなことが情報として発信されれば,継続して見てみたいですか? 

 学校から一方的な情報の発信では,家庭から返ってくる情報を期待することはむずかしい。なかよし親子のページという参加した方々には共通の内容を発信しても,定期的なアクセスがあることは少ない。
 子どもたちの教育は,学校・地域・家庭が連携していくことが求められている。今回のインターネットを使った交流には,連携の大切さを感じる部分が多く見られた。これからますます情報化される社会に,心の交流を架け橋とした連携教育を情報のキャッチボールとして積み上げていきたい。