上越市立東本町小学校 田邊 道行 清水 雅之
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http://www.jorne.or.jp/~e-honcho/
キーワード: 給食,ホームページ,インターネット,栄養調べ
図1 ホームページ |
上越市立東本町小学校(児童数413名)は、これまで同和教育を学校運営の中核にし、様々な活動を行ってきている。昨年度(平成10年11月)、情報教育等の学習に活用するためコンピュータやネットワークの整備を行い、本年度より本格的に利用を始めたところである。また、本年度、当校では給食指導に関わって栄養士の専門的な知識を生かすことや自校で給食を作ることができることから、「食」に関する指導の推進することになった。
そこで、「食」に関する指導で、コンピュータをどのように活用したら良いかを研究し、実践を積み重ねた。
普段の給食の様子から,偏食や嫌いなものを残してしまう児童が多いことに気付いた。また,日常の食生活を調査しても,緑黄色野菜・無機質を進んでとる児童は少ない。児童にとって「栄養のある食事」と「好き嫌いをしないで食べること」は,分かっているようでも日常生活の中で実践しにくいものである。そこで,食と健康に関心をもち,食生活を振り返るとともに,バランスのとれた食生活を送ろうとする態度を育てたいと考えた。
たくさんある食品の一つ一つにどのような栄養があるかを児童に覚えさせるのは困難であると考え、食品名をコンピュータに打ち込むことにより,その食品がどのような栄養素をもち,さらに食事全体として栄養のバランスがどうであるかを視覚的に捉えさせるようにした。コンピュータを利用することにより,「栄養のバランスがとれている」という要件を満たした,給食のメニューを試行錯誤しながら作ることができると考えた。
さらに,児童が自らの活動の結果などをホームページにすることにより,情報を進んで発信する態度を育てたいと考え,単元を構想した。
「全校児童がコンピュータに触れる機会を増やす。」「家庭の食生活の様子を知る。」の二つの目的を一度に行うために、「生活アンケート」のCGIを作成し、実施した。マウスでクリックするだけの簡単な操作でアンケートに答えることができるため,低学年でも利用することができる。また,アンケート集約の手間が省け,結果をすぐ児童に見せることができる。 活動の様子をデジタルカメラで撮り,校内のホームページに載せておくことにより,同時に複数の児童が自らホームページを作成する際に活用することもできる。
こうして作られた児童のホームページを最終的にインターネットに公開することにより,自ら作成した情報を発信する体験を行い,多くの人から意見や感想をいただき,発信する喜びや次への活動意欲につなげていく。
図2 栄養調べ |
図3 アンケート |
図4 栄養調べ |
ア 使用機種 Apple Computer社 iMac 20台
〃 Macintosh G3 2台
イ 周辺機器 デジタルカメラ SONY MAVICA 10台
校内すべてのコンピュータをネットワーク化しており,ファイルサーバーにてファイルの管理を行い,Webサーバーにてイントラネットを行っている。今回のプロジェクトに関わる環境を次にあげる。
児童は栄養のバランスを考えながら食品を入力するのであるが,第1段階の結果を見ると「無機質」「ビタミンC」「カロチン」といった栄養素が足りないことに気づく。そして,それらの栄養素を含む食品にどのようなものがあるかを進んで教科書や資料で調べていた。調べるうちに,食品によっては,「ビタミンC」「カロチン」の両方を含むものがあることを知り,その食品をメニューの中に入れていこうとする姿も見られた。
また,一日に摂取すると良い食品数が30品目であることを学習した児童の発言から,どの児童もたくさんの食品の入った給食メニューを作ろうと努力していた。このことにより,当初,「栄養調べCGI」の入力項目を15としていたが,児童の意欲的な活動により,30品目の入力項目に変更することとなった。
以上のように、児童は自分たちでメニューを考えるための一つの道具として、コンピュータを利用したわけであるが、必要に応じて、校内Webサーバーとインターネットを使い分ける姿が見られた。
子供たちの力で,栄養のバランスがとれた,すばらしい給食メニューを作ることができたことは,新潟インターネット教育利用研究会に作成・協力していただいた「栄養調べCGI」と,学校栄養職員のアドバイスによるところが大きい。児童は,この活動を通して,イントラネットを利用する利点を知り,他の活動でもホームページを作成するときや,自分の撮った画像を発表するときなどに利用するようになった。また,休み時間にインターネットを利用したり,自宅での朝食のメニューを「栄養調べCGI」に入力して,栄養のバランスがとれているかを調べたりするなど,コンピュータを自分の生活に生かす姿や食に対する実践的な態度も育ってきた。
今回,グループでホームページを作ったが,予想以上に時間がかかったうえに,児童の活動の様子を伝えるホームページをあまり作ることができなかった。児童にどのようにしてホームページを作らせていくかが今後の課題である。
新潟インターネット教育利用研究会 「栄養調べCGI」 (http://www.nice.or.jp/eiyo/)