Eスクエア(e2)・プロジェクト 成果発表会
学校ボランティアの組織作りを支援する地域イントラネットの整備
倉敷市立万寿東小学校 尾島正敏
masuhied@city.kurashiki.okayama.jp
http://www.city.kurashiki.okayama.jp/emschool/masuhiED/index.htm
http://mweb.jrslines.co.jp/keyakinet/
キーワード: イントラネット 地域 小学校 ボランティア リサイクル
1. 学校ボランティアを意識した地域イントラネットの構築
子どもたちはコンピュータに慣れてくると,表現道具として鉛筆やノート代わりにコンピュータを使うようになってくる。この段階まで進んでくると自分たちが表現した作品を発表する場や,作品に対する反応を期待し始める。発表する場としてクラスでのプレゼンテーションなども考えられるが,学校内で知っている人の反応だけでなく,それ以外の人たちの反応を強く欲しがり始める。インターネットのホームページは,上記の子どもたちのニーズに対応するのに適した場所なのだが,タイムリーな反応を期待することはなかなか難しい。
そこで,子どもたちの作品に対する反応が欲しいときに即応できるメールボランティア的な立場の人たちが必要となってきた。学校の様子を地域や保護者によりよく理解してもらう目的も含めて,地域イントラネットを立ち上げることにした。
2. 実践
(1) 本校の教育活動の中心をなすものについて
- 開校以来の伝統 「勤労生産学習を柱とした教育活動」
- 本校の教育目標の中のめざす児童像 「考える子 働く子 助け合う子 元気な子」

図1 稲刈り |

図2 ひな祭り集会 |
(2) 学校ボランティアの必要性
- PTAの全面協力
- 子どもたちが栽培したもち米で柏もち・草もちを作ったり,年末に行う「もちつき会」では,もちつき会の準備など多く部分を保護者の方がバックアップしてくださっている。今後の「総合的な学習の時間」の活動を考えると,さらに保護者や地域の方々の援助なしには,学習の展開ができないのではないかと考えている。
(3) コンピュータを使って学習を進める子どもたち
- 教育機器の利用について
- 本校は,以前より教育機器の利用には積極的に取り組んでおり,デジカメ等の導入は比較的早くから始まっていた。子どもたちは,生活科や社会科の校外学習にデジカメを持って出かけ,コンピュータに取り込んで,プリントアウトしたり,ワープロの中に貼り付けたりして,活用している。
- 子どもたちの不満について
- コンピュータ学習に熱心に取り組んでくれているが,友達どうしのプレゼンテーションや学級内や校内の掲示板を使っての情報の発表や掲示だけでは満足せず,コンピュータを使って表現した作品に対する多方面からの反応を欲しがるようになってきた。
(4) 地域イントラネットを立ち上げるにあたって
- ねらい
- ホームページを利用して,子どもたちの作品を公開し,地域の方々や保護者からタイムリーな反応をいただくことを第一のねらいとし,メールボランティアや学校ボランティアの活動を紹介したり,活動への参加を呼びかけたり,学校の行事の様子などをホームページで紹介することにより,学校の様子をよりよく理解してもらうことを第二のねらいとして考えた。
- ホームページの構成
- 子どもたちの学校での学習活動の足跡をそのまま紹介するコーナーも設け,その上に「学校からのお知らせ ・ おたより ・ イベント広場 ・ 写真 ・ フリートーク ・ その他」の6つのカテゴリーで構成した掲示板のコーナーの2つから構成することにした。
表現ツールとして四国ラインズ社製の「イントラバケツ」を子どもたちが使っている関係で,四国ラインズ社のサーバーの中にホームページを置かせてもらうことにした。

図3 けやきねっとのトップページ |

図4 お知らせのコーナーより |
- 運用の仕方
- 「けやきねっと」は,子どもの作品,子どもたちの肖像権などに配慮して,学区に住んでいる保護者や地域の方々に参加を募集して立ち上げることにした。。したがって,参加者は学校側できちんと把握している。また,ホームページにはパスワードを設けて,不必要な情報の流失を避けるように配慮した。
(5) 地域や保護者に対する啓蒙活動について
- 保護者,地域向けのコンピュータの教室の開催
日頃の子どもたちとの会話から,かなりの家庭がインターネット接続していることは察していたが,いざ地域限定のイントラネットを立ち上げるとなると不安があった。また,保護者の間に不公平感を抱いてもらうと困るので,事前の説明を参観日や懇談会を利用して行った。また,保護者への啓蒙を進める中で,夜間を利用しての「パソコン教室」を7月から9月にかけて5回開催した。毎回,20名を越える保護者の方の参加をいただき,予想以上の関心の高さにビックリさせられた。
(6) 地域イントラネットを利用した学習について
- 小学校第3学年 総合的な学習の時間
プロジェクト名 「チャレンジ!! リサイクル」(全30時間)
3. 成果と課題
子どもたちは,当初自分の作品がホームページに掲載されることだけでも,喜びを感じていた。さらに,自分たちの考えた質問などにタイムリーな反応があることに対して,驚きとともに喜びがあったようだ。
しかし,これは教師のサイドの周到なお膳立てと保護者や地域の方々の協力があればこそ可能なことである。地域イントラネットに参加していただいた保護者の方々が,毎日ホームページを見てくださっているわけではない。タイムリーな反応が欲しいときには,電話やFAXを使って事前にお願いをしておくことなどの周到な準備が必要となってきた。
また,現在は参加者が50名を超えているが,メール等で敏感に反応していただける家庭の数はごくわずかである。ホームページの持ち方,提供する情報の内容,メーリングリストを活用した保護者や地域の方々との連携のありようなど,目の前には課題が山積している。