Eスクエア(e2)・プロジェクト 成果発表会

Millennium Tea Partyをしよう

− お茶をテーマにイギリスの子どもたちと交流しよう −

大阪府松原市立布忍小学校 幸 隆之
nunose@matsubara.e-kokoro.ed.jp
http://www.e-kokoro.ed.jp/matsubara/nunose/

キーワード: 総合的な学習,国際理解,インタ−ネット,テレビ会議


1. はじめに

ホームページ
図1 ホームページ

 本校では97年度2学期にパソコンが導入された。職員の手作業で職員室をはじめ特別教室,5・6年生の各教室をネットワークでつなぎ,ホームページについても97年度中に立ち上げた。(図1) このように手作りでの環境の整備を進めながら,私たちはこれまで取り組みを進めてきた総合学習“ぬのしょう,タウン・ワークス”や教科学習と情報教育をどのように結ぶのか,中学校区の情報教育の推進を研究課題として取り組みを進めてきた。
 今年度,本校は,先進的教育用ネットワークモデル地域事業のモデル校指定を受け,本校にその地域ネットワークセンター(e-Kokoro Media Center) が設置された。WLLと光ファイバによる最先端のインターネット環境を活用しこれまでの取り組みに加えて,交流・共同学習をより推進して行くことを今年度の大きな課題として取り組みを進めてきた。
 私たちは,このようなインターネット環境とネットワークを活用し,実際の人との出会い,「こころ」と「テクノロジー」をどのように融合させるかを大きなテーマに取り組みを進めていきたいと考えている。

2. Millennium Tea Partyをしよう

(1) 1,2学期の流れ

5年生、国際理解を中心にした流れ
図2 5年生、国際理解を中心にした流れ

 本校では,学年ごとに年間のテーマを設定し総合学習「ぬのしょう,タウン・ワークス」に取り組んでいる。5年生では「国際理解と自分史」を年間のテーマに「わくわくワールド」とネーミングし取り組みを進めてきた。図2はその大まかな流れである。子どもたち自らがタウン(地域) に出かけワーク(活動) する事を大事にしながら取り組みを進めてきた。子どもたちは今まで知らなかった多くのことに出会った。その中で感じた疑問についてインターネットを活用したり,多くのボランティアや外国の方々に直接会って質問したりお話を聞く機会を得た。10か国,30人に及ぶ外国の方々との出会いを通して,子どもたちは身近に外国の文化や習慣に触れることができた。日本との違いに気付き,初めて知る外国の生活の姿と自分たちの持っていたイメージの違いに驚いた子ども達。しかし,何より子ども達の心を動かしたものは,自分の国に誇りと夢を持って生きているその方々の生き方や家族に対する思いだった。出会いの感動と夢を持って生きることの大切さを子ども達一人ひとりが胸に刻んでいた。

(2) 取り組みのねらい

 このような取り組みをもとにして,今回,NHK 学校放送番組「地球食べ物大百科」をもとにしながら,「食」中でも世界各国で飲まれているお茶をテーマに,イギリスの学校とのテレビ会議システムを使っての交流を目的に取り組みを進めた。そのねらいとして以下の2点を設定した。

1) 日英両国の「お茶」をテーマに互いにホームページを使って発信したり,E-mail,ビデオレター等のメディアを使 いながら交流を進め,イギリスの学校とテレビ会議をもつことによって児童間の交流を深める。また,英国の文化 に触れるだけでなく,自分たちの国の文化や人に改めて触れ自分自身を再認識できる取り組みにする。

2) 1,2学期の多くの方々とので出会いを基盤にしながら,インターネットや取材活動,体験活動を通して収集した 情報を活用しホームページにまとめ発信したりTV会議を行うことを通して,情報活用力や表現力を育てる。

(3) 本取り組みの概要

1,「お茶をテーマにイギリスと交流しよう」
1) イギリスとの交流に向けてNHK番組「地球食べ物大百科」を見よう。
2) イギリスの紅茶やティーパーティー,日本のお茶や茶道について調べよう。そのために自分の課題を設定しよう。
2,「2つの国の茶について調べよう」
1) 6つのコースに分かれてインターネットを使って調べよう。
・お茶の歴史について調べよう。  ・お茶の種類について調べよう。
・お茶の効用について調べよう。  ・お茶の作り方や入れ方について調べよう。
・お茶の道具について調べよう。  ・お茶といっしょに食べるお菓子について調べよう。
2) 福寿苑のおばあちゃんに茶道を教えてもらおう。
 茶道の体験と作法や道具のことについて知る。
3) スリランカの方や紅茶の専門家に出会って紅茶のことについて教えてもらおう。
ロイヤルミルクティーの作り方を教えてもらい簡単なティーパーティーの開催をし,その中で紅茶について話を聞き学習を深める。
児童の作成したwebページ
図3 児童の作成したwebページ
3,「調べたことをグループでまとめ,ホームページで発信しよう」
1) 調べたことをグループごとにラフスケッチにまとめよう。
2) ホームページ作成ソフトを使ってページをまとめていこう。
(http://www.e-kokoro.ed.jp/matsubara/
nunose/tea/teaindex.htm
)

質問風景
図4 質問風景
4,「イギリスの方から,イギリスについて教えてもらおう」
1) イギリスについて調べよう。
2) 実際にあって話を聞こう,質問しよう。
5,「ホームパーティーやお茶の会を計画しよう」
1) 「お茶」「紅茶」それぞれのお菓子のオリジナルレシピとティーパーティールーム作りに向けて計画を立てよう。
・「お茶会」と「ティーパーティー」の2つのコース設定をし,それぞれについて以下のグループを選択し計画を練る。・ティーレシピ班 ・ティーフードレシピ班
・ティールーム設計班 ・ティーパーティー企画班
2) イギリスとのテレビ会議に向けてパーティールーム,お菓子作りをしよう。

6,「おめでとう2000年,ティーパーティーをイギリスの学校とテレビ会議を通じて行おう」
1) Robin Hood JI (NC) Schoolと事前の打ち合わせを行う
・e-mailを使って連絡を取り合う。・TV会議システムを使って事前の打ち合わせを行う。(2/10)
2) TV会議システムを使って,Tea Partyに向けての子ども達の出会いの場と教師間の打ち合わせを行う。(2/16) (図5,6)
3) 5の流れを並行して取り組みながら,児童間のe-mailやホームページを使っての交流を進める。茶道の道具については可能な物は,イギリスに郵送する。
4) Millennium Tea Partyを行おう。
・相互に相手の国のティーパーティーを行う。
・茶道については,ゲストティーチャーを迎え,実際の様子を見ていただく。
・イギリスのフォーマルなティーパーティーの様子については,ビデオで様子を伝えてもらう。
・互いの感想を交流し会う。
事前打ち合わせ
図5 事前打ち合わせ
TV会議
図6 TV会議

3. 成果と課題

 年間を通して国際理解を大きなテーマにして取り組みを進めてきたこの1年であった。交流相手校を探したり,取り組みの計画の不備もあって大きな山場であるテレビ会議によるイギリスとの交流は,3月の上旬ということになり,取り組み途中での報告となってしまった。しかし,これまでの取り組みを振り返って,子どもたちにとって良かったと思えたことの1点目は,やはり多くの外国の方々と出会うことができたことであったと思う。子どもたちは,出会いを通じてその国の文化に触れ,出会った方々の生き方に触れることで感じた感動や発見を共有していくことができた。そして,この感動や発見を伝えたい,さらに調べたい,交流したいという子どもたちの意欲的な姿勢につながっていった。
 2点目として,この子どもたちの学習に際してインターネットをはじめとするネットワーク環境,パソコンをはじめとする情報機器の有用性が改めて確認できたことであったと思う。子どもたちはインターネットを使って情報を検索収集し,それらと体験から学んだことを再構成しWEBを通し発信し交流する過程において,多くのことを学び初めてのことにも挑戦をしてきた。このような2点のことをまとめる取り組みとして現在イギリスの小学校とのテレビ会議による交流の準備を進めている。多くの方々の支援の中で交流校もRobin Hood JI (NC) Schoolに決まり子どもたちもより意欲的に取り組みを進めている。

Robin Hood JI (NC) Schoolのホームページ
図7 Robin Hood JI (NC) Schoolのホームページ
http://atschool.eduweb.co.uk/robinh/index.html
本校Tea Partyの英語ページ
図8 本校Tea Partyの英語ページ
http://www.e-kokoro.ed.jp/matsubara/nunose/tea/
engindex.htm