Eスクエア(e2)・プロジェクト 成果発表会

インターネットやTV会議システム利用による学校間交流

− 屋久島の気象観測を通して −

屋久町立岳南中学校  山内 耕治
上屋久町立宮浦中学校 永留  貢
上屋久町立金岳中学校 内 祥一郎


キーワード: 中学校,天気,理科,気象観測,TV会議,インターネット,電子メール,学校間交流


1. はじめに

参加校
図1 参加校

 この研究は,屋久島の三中学校が,気象現象の観測方法や定期的な観測システムの確立を目指すとともに,その過程において電子メールやインターネットなどコンピュータ操作の技術の向上,TV会議システムなどを用いて他校との交流をはかったものである。
 それぞれの地域の気象観測データを,校内・地域ネットワーク上で共有することにより,ほかの地域の気象現象について情報を入手することができた。これにより屋久島の気象現象が,地域により微妙に違うことなどが分っている。さらに,その要因を追求しようとする意欲も生まれてきた。
 また,報告会や意見発表会を行うことにより,コンピュータの利用が活発に行われた。電子メールやTV会議システムを用いた情報交換,情報収集,情報の発信などを行う力が身につき,各校間の交流をいっそう促進するのに役だった。

2. 屋久島地区情報教育研究会ネットワーク

 参加した3校は,宮浦中学校・永留 貢 教諭が管理する地域ネットワーク・屋久島情報教育研究会ネットワークで結ばれている。電子メールやwebの活用ができるとともにTV会議システムを備えており,これらを用いた学校間交流が可能である。

ネットワーク図
図2 ネットワーク図

3. 気象観測の実際

・各学校で,2年生を中心とするプロジェクトチームを編成した。
・観測項目  天気,気温湿度,気圧,風向,風速,雨の酸性度,雨量

4. 観測データの処理,管理 〜データの収集からそのweb化まで〜

観測データ管理
図3 観測データ管理

 各学校では,1) データの計測とファイルへの記録 2) データ送信 が行われる。
 管理者である宮浦中学校では,3) データの処理 4) データのweb化の作業が行われ,以下のファイルが作成される。

A.各学校の観測データファイル
B.観測データのグラフファイル 
C.観測データの学校間比較データファイル
D.学校間比較データのグラフファイル
これらのデータは,web上から表示・ダウンロードできるようにしてあり,各学校ではこれを基に,屋久島の気象現象について考察し,質問や情報交換を行う。

5. 気象データおよびネットワークの活用

(1) 気象データの収集・編集・解析・送信を行う活動により,コンピュータ操作の技術向上を目指す自主的な姿が昼休みや放課後見られた。
(2) 学校間TV会議
  各学校に設置されているTV電話(NTT Phoenixmini)を使って,気象観測に関する質問,報告会を行った。
(3) 報告会・意見交換会
   実際に顔を合わせ,観測方法やデータの考察をプレゼンテーションした。

収集・編集・解析・送信
図4 収集・編集・解析・送信
テレビ会議
図5 テレビ会議
プレゼンテーション
図6 プレゼンテーション

(4) 授業での活用
   気象観測で得られたデータを使って,2年生理科の授業で活用した。

6. 研究の成果

(1)屋久島内の気象データの定期的な観測システムを構築することができた。
(2)身近な気象データが得られるという点で,生徒およびその指導に当たる教師の関心が向上した。
(3)基本的な気象観測の方法が身につき,身近な気象現象とデータを関連付けて考えることができるようになった。
(4)3校のデータを比較検討し,屋久島の気象現象が微妙に違うことがわかり,その要因を追求しようとする意欲が生徒や教師に出てきた。
(5)生徒が,身近な自然現象を定期的,長期的に観測することにより,継続力や自分の役割に対する責任感がついてきた。
(6)生徒も,教師も,コンピュータに関する興味が高まり,インターネットを用いた情報交換,情報収集,情報の発信など,コンピュータ操作技術が身についてきた。
(7)インターネットやTV会議システムを用いて,屋久島以外の地域の仲間とも交流をはかりたいという気持ちが出てきた。

*この研究で,気象現象という理科の側面とコンピュータ技術という情報に関する2つの側面で大きな成果をあげることができたと考えている。今後,さらにデータを蓄積し,他校との交流を深めるとともに,教師おいては,授業での活用をはかっていきたい。