Eスクエア(e2)・プロジェクト 成果発表会

WWW,電子メールを活用した授業実践

− 情報モラル,著作権の学習を通して −

茨城県笠間市立笠間中学校 中学校3年・技術・家庭科 菅谷 政雄
http://www.kasama-kasama-j.ed.jp

キーワード   中学校,3年,技術・家庭科,インターネット,電子メール,著作権・肖像権


            

1. はじめに

 技術・家庭科の情報基礎領域で,今まで作品作りとして取り組んできた物は,絵本や名刺作りなどであり生徒自身の創意工夫を生かす場がかなり制約されていた。自分の個性を生かし,様々な内容で興味のある物について作品作りができないかと考え,既習領域の住居の内容をテーマに,情報基礎での学習を深めてみた。
 各グループごとのホームページ作成を題材とし,インターネットを利用して様々な分野から自分の調べたい内容に取り組み,教室の中だけの授業から,教室にいながらにして他の世界を学習していくことを進めてみた。それとともに,著作権・肖像権の学習も進めてみた。

2. 実践のねらい

(1) 内容

 活動を通して,生徒自身が生活をより豊かにするために,コンピュータを継続的に活用することができる能力を養いながら,コンピュータの構成と機能を知り,基本的な操作方法を身につけたり,コンピュータの構成やソフトウェアの機能や特徴を理解することができるようにする。さらに,自分の思いを,様々な資料や方法でホームページの作品としてまとめ発信することができるとともに,自らの課題を解決する能力と生活に生かす態度を育てる。また,他人の著作権・肖像権を無断で侵害すると法律的に罪になることを学習させ,モラルや責任の重さを感じとらせることをねらいとした。

(2) 指導計画

指 導 計 画 (11時間扱い) 留 意 点
1-4時間
生徒自身に著作権について学習を進めさせながら,いろいろなホームページから様々なデータを検索し,電子メールを使って使用許可を取りながら,資料収集をする。デジタルカメラを使って自分で資料収集をする。
・検索したホームページの資料を使用するときには,生徒個人のメールを使って製作者からデータの使用許可を取る。
・生徒が自分の家や親戚の家などをデジタルカメラを使って撮影し,実際のデータを収集する。
1-9時間
ホームページを作る。
・収集した資料をもとに,自分たちのテーマに沿ったホームページを製作する。
10-11時間
今まで自分たちが製作してきた作品を,ビデオプロジェクタを用いて紹介する。
・生徒にとっては他の友だちの作品を見ることによって様々な角度から知識を得る。

3. 実践の内容

(1) 利用環境

    1) 使用機種  NEC-PC9821Cb 20台 NEC-PC9821Xn 1台
   2) 周辺機器  液晶プロジェクター デジタルカメラ イメージスキャナ MO  
   3) 稼働環境  コンピュータ室 NEC-PC9821Cb(Windows3.1)20台 NEC-PC9821Xn(Windows95)1台
                      (128kでインターネット接続)
   4) 使用ソフト Al-mail  インターネットエクスプローラ
           Paint Shop Pro  cube for Windows Ver.2

(2) ホームページ製作について

 「快適に住まうには」というテーマのもと,グループごとに課題を決め,現地調査やインターネットの検索を用いて自分たちに必要な資料を収集する。それをもとにキューブワードやキューブペイントを用いて,画像やデータを取り込み,テーマにあったホームページに仕上げていく。完成したものは,内容を確認した後,笠間中学校のホームページから発信する。 

(3) 資料収集について

突然メールを送ります。僕は、笠間中学校の△△△です。今、僕たちの学校では住まいのホームページをつくっています。僕たちの班では、住まいの照明を調べています。インターネットで調べてみると、貴社のホームページに僕たちがほしかった内容の資料が載っていたので、誠に勝手ながらデータを使用させていただきたくメールを送りました。どうぞよろしくお願いします 笠間市立笠間中学校 △△△
使用許可願いのメール
△△様。この度は、弊社ホームページをご覧頂きまして、誠にありがとうございました。弊社のホームページ上で有効な資料につきましては、転用していただいてかまいませんので、どうぞご活用ねがいます。また、更に詳しいデータ等がご希望でありましたら、こちらより資料等も郵送できますので、ご連絡をお待ちしております。
○○○電力株式会社広報部制作グループ担当:××
使用許可のメール
カタログやデータ使用許可してくださり、有り難うございました。僕は、そのカタログやデータを使用して技術家庭の勉強に役だたせ、住居の知識をよりたかめていきたいと思います。授業でそのデータを是非、使用させていただきます。今度、ホームページを作り終えたら、また、メールをだし、アドレスを教えますので、まっていてください。僕も、何事も努力する人が必ず勝つと思うので、勉強に運動に努力して、がんばって行きたいと思います。
         笠間中学校 3年 ▲▲ ▲▲
お礼のメール
1) インターネットで検索したホームページに参考になる資料がある場合には,制作者や会社宛に電子メールを用いて使用許可を求めさせる。許可が下りた場合にはその資料を使わせてもらう。(図1)
2) 地元の住宅展示場や高齢者施設を訪問し,実際の建物の写真をデジタルカメラでとり,許可をもらってからホームページに使用させてもらう。(図2)
3) 広告やパンフレットなどから参考になる資料を選び,電子メールや手紙により使用許可を得る。

(4) 著作権の学習について

 笠間中学校では研修部が中心となり,各担任協力のもと休み時間をインターネットの体験の場としている。笠間中学校インターネットガイドラインを用いてモラルの学習や著作権・肖像権の学習を進めている。授業では技術・家庭科以外の教科でも検索などを使用するたびモラル学習を進めている。

4. まとめ

 生徒一人一人が,自分のペースに合わせて作品を作っていくことにより,興味や関心はとても強いものになった。また,生徒たちはコンピュータのみならず,インターネットの多方面における可能性に気づき,学習し,活用して自分なりの作品を仕上げていた。本校の全校あげてインターネット活用に取り組む成果が出たといえよう。
 ガイドラインの学習では,著作権や肖像権などの権利に気づき,他人のデータを利用する場合のルールを守ることの大切さを学んだ。電子メールの活用では,目上の人に対する言葉遣いや礼儀などを学んだ。メール交換を通して,大人の優しさや社会の仕組みについても学ぶことができた。資料を使わせていただいた制作者・会社に対しては,生徒の作品をネットワーク上に発表した後で,お礼と作品紹介の電子メールを送るよう指導し,そのような実践ができた。今後の活動でもそのつながりを大切にしていきたいと考える。
 今後は技術科と家庭科の授業の組み合わせばかりではなく,様々な教科の組み合わせにより,さらに生徒の要望に応じた課題解決学習を発展させていきたい。そのために,教科間の教師の理解と協力,さらに教師の力量のベースアップを図る必要があると感じた。校内研修を計画的に進め,実践していきたいと考える。

資料を頂いた作品
図1 資料を頂いた作品
デジタルカメラを用いた作品
図2 デジタルカメラを用いた作品