Eスクエア(e2)・プロジェクト 成果発表会

データベースを基礎にした動的ホームページ開設にむけて

− 環境情報の発信 −

山梨県立韮崎工業高等学校 小沢 久
shirae-tutomu@tym.ed.jp
 
キーワード: 環境,大気汚染,二酸化窒素,イントラネット


1. はじめに

 本校はくくり募集のため生徒は学科を区別せずに入学し,1年から2年への進級時に学科を選択する。そこで環境化学科への理解を深める一助として校内イントラネット上に環境にかかわるホームページを開設し,生徒に環境意識を訴えかけたいと考えている。また,本校環境化学科は山梨県の高校改革に伴って甲府地区の工業高校から学区の異なる本校へと移転してきたため地域の理解度も小さく,環境化学科がどんな学科か知ってもらう必要がある。このためには今まで行なってきた学校訪問や学校要覧の配布,中学生一日体験入学だけでは不十分でありさらに学校の内容をアピールしていく必要がある。そこで近年特に関心が高まっている環境問題について取り上げて,さまざまな内容について生徒とともに考えて作成し,環境について校外へアピールしていきたいと考えている。校内の他の学科の生徒および校外の小中学生や一般の人たちに透明性のある(外からみえる)学科となるよう,イントラネット・インターネットを有効に利用したいと考えている。

2. 実践内容

職員による奉仕作業
図1 職員による奉仕作業

(1) 校内イントラネット環境の構築およびインターネット環境の整備

 本校の校内ネットワーク化は昨年度の実習設備導入をきっかけに始まった。学校の理解を得て幹線を延長し,さらに不足分については職員の自前工事で補い,主たる職員室をつないだ校内LANが構築された。
本事業の中で行なった環境整備は以下の内容である。

・ 有志による,理科準備室・保健室・進路指導室PCの校内LANへの接続作業
・ 本校ネットワークについてサーバ構成などの検討
・ 校内委員会へWebサーバ設置の提案
・ 教育情報部主任・情報技術科主任と校内LANのインターネットへの接続についての検討
・ 校内イントラネットWebサーバPCの納品と業者による設定。
・ インターネット環境及び校内メールサーバの業者による設定
  Proxy ServerとExchange Serverをインストールし,校内の各PCでインターネットが利用できる環境が整った。

研修会風景
図2 研修会風景
   

(2) 職員のホームページ作成研修

 職員対象ホームページ作成研修会を企画し,実施した。
  第1回研修会 ワープロによるホームページ作成 1)
  第2回研修会 ワープロによるホームページ作成 2)
                (テンプレートの利用)
  第3回研修会 ホームページ作成専用ソフトの利用
  第4回研修会 校内イントラネットの現状の紹介
         校内ホームページコンテストへの呼びかけ
         作品のWebサーバへの登録方法
 講師はいずれも本校理数工学科進藤教諭にお願いした。

(3) 校内ホームページコンテスト

 職員のホームページ作りのきっかけとして,職員対象校内ホームページコンテストを企画した。副賞等の協力を職員親睦会にお願いし,12月から1月を作成期間とした。

大気汚染測定調査
図3 大気汚染測定調査

(4) 課題研究授業における簡易大気汚染測定調査

 ザルツマン法による二酸化窒素簡易測定について,大分県立鶴崎工業高校の取り組みをインターネットで閲覧学習したのち,必要器具・薬品の準備,写真フィルムカプセルの収集,薬品調査,予備実験を行なった。
 測定作業は,カプセルの洗浄(右写真),吸収液の調製,吸収カプセルの作成と吸収地点の選定・設置,標準液・発色液の調製,発色操作,吸光光度計の操作(検量線の作成と試料の吸光度測定・右写真)の順に行なった。一斉測定は環境化学科3年生全員と教職員に協力依頼し,9月13日午後8時より24時間の測定を行なった。
 また,その結果を学園祭において展示発表した。

(5) 課題研究授業によるホームページ作成

 生徒のHP作成法の学習には,(2)で述べたホームページ作成研修会の内容を参考にして,次の順にすすめた。

・ワープロによるホームページ作成
・リンク
・テンプレートの利用
・イメージスキャナの利用と画像の貼り付け
 作成法の学習が終わったところで,小中学生を対象にした「やさしい環境のページ」を目標に,該当生徒に地球温暖化・オゾン層破壊・酸性雨・水質汚濁・大気汚染の各テーマを割り当て,作成に当たらせた。

3. 成果と課題

本校イントラネットホームペー
図4 本校イントラネットホームページ

(1) 校内イントラネット環境の構築

 管理職の理解と本校職員の奉仕的活動により,ほぼ実用となるよう校内のPCがネットワークでつながった。ファイルサーバとしての利用はもちろんだが,E-スクエアプロジェクトへの参加を機にイントラネット的利用も始まった。具体的には

・フリーウェアによる掲示板利用
・外部公開している本校ホームページの校内公開
・本日の予定
・月間予定
・教育課程改訂についての内容をダウンロードして校内公開
 等を利用している。メールサーバも設定され,校内のメール利用も始まった。

(2) 校内のインターネット利用環境の整備

 インターネットについては,図書室と一実習室でのみ利用できる環境であった。
 FireWallを経由してどの部屋でもインターネットにアクセスできる環境が実現した。
 現状のISDN回線では多くのユーザがアクセスすることの困難さや電話料金の問題もあり,インターネットへの接続はすべてのPCに許可せず原則として一室一台の限られたPCのみとする制約を設けている。

(3) 職員のホームページ作成研修およびホームページコンテスト

 この研修会には延べ20人程が参加,参加によりホームページが身近なものに。
 でき上がったホームページはイントラネットで公開,今後の広がりに期待。
 研修会は生徒にホームページ作成を教える上でも大いに役立った。

(4) 簡易大気汚染測定調査

 身近な環境のことであり,自宅の環境ということから関心も高く好評であった。
 この結果をイントラネットで公開すべくWebページを作成している。
 今後はこの測定を地域の小中学校にも広げて連携をはかり,より広範囲な地域の測定を目指していきたい。

(5) 課題研究授業によるホームページ作成

 限られた時間の中でワープロのホームページ作成機能の利用,テンプレートの利用,ホームページ作成専用ソフトの 利用などどれをどの程度まで教えたらよいのかは今後も検討を要する。
 ホームページ作成のためには,生徒自身が発信する内容について主体的に学習することが必要となる。
 生徒が作成したホームページを外部から閲覧できることは生徒の自信にもつながる。

(6) 大気汚染測定装置の利用

 大気汚染データベースをもとにした動的ホームページを計画。
 第一段階としてホームページ閲覧者が希望する日の大気汚染データを検索できるWebに取り組んでいる。
 今後も継続して取り組んでいく。

4. おわりに

 環境化学科職員のホームページ作成及び課題研究における生徒のホームページ作成は主に小中学生や本校一般生徒を対象にした「やさしい環境のページ」を開設すべくすすめてきた。ホームページコンテストが終わった段階で,作成したものをまとめて校内イントラネットで公開する予定である。さらに外部に向けての発信も期しているが,そのためにはWeb内容の再吟味や著作権関係の検討も加えていく必要がある。ネットワーク環境を整えながら情報発信もと欲張ってすすめてきたが,クリアすべきハードルも多く短い期間で十分な成果が得られたとは言えない。しかしこの企画への参加をきっかけに,本校のネットワーク環境の整備がすすみ,独自の情報発信に向けて踏み出すことができたものと考えている。