5.調査・分析




5.4.3 分析結果

 テレビ品質を基準として映像、音声の品質を比較する質問した。MPEG2TSは86%、Polycomは78%がテレビの映像品質と比較しても同等以上であると回答であった。特にMPEG2TSについては、14%しかテレビの映像品質より劣っていると回答がなく、映像の品質の高さがうかがえる。音声についても同様に、MPEG2TS・MRATは82%、Polycomは75%がテレビの音声品質と同等以上であると回答であり、品質の高さが分かる。また、映像と音声の遅延については、MPEG2TS・MRATは77%、Polycomは86%という結果であった。特にMPEG2TS・MRATは映像、音声の単独の評価と比較すると劣っているが、十分利用可能である数値をだしている。
 遠隔授業・交流を行う上での大変であった点は、特に「音声が聞こえにくいこと」「補助者なしでは授業・交流ができないこと」「準備する時間が普通の授業より時間がかかったこと」の3点の回答が多かった。音声については一つの解決方法として機材の設置で解決ができる。準備の時間は事前の回線テスト、映像・音声テスト、機材の設置と本番当日もテストほどはないが事前テストと同様の作業が発生してしまう。また、この準備も含めた授業・交流をまだ技術サポートなしで実施することは難しい。また、少数意見としては交流相手との日程等の調整が大変であるという意見もある。
 遠隔授業・交流を行う時に、ゆっくり話し相手にも伝えやすくしたり、児童・生徒の反応をいつもよりうかがったりと工夫した点もある。また、円滑な進行のために事前の授業計画と打ち合せを密に行っている。
一方上記のような大変な点もあるが、インターネットを活用した遠隔授業・交流の必要性は、児童・生徒の刺激材料として位置付けたり、今後の新しい学習方法の1つとして効果を期待している教員が多い。また、異文化知識の習得の場や人対人の出会いの場であるいう結果も得られた。
 各交流・授業についての教員による評価は以下のようである。

<遠隔ディベート>
二つの学級の話し方、話す内容、雰囲気等の違いがあり、児童にとっても刺激的でとても楽しくできた。自分と違う相手の意見や質問に対して関心が高く、児童どうしで「こう言ったら相手に伝わるよね。」という会話がなされ、相手への表現方法や伝達するという意欲がうかがえた。相手に自分の考えを伝えるという目標は達成できた。
<高大連携遠隔授業>
理科の授業では、生徒は別会場の高校生を意識し、積極的な質疑応答ができた。そのため、専門家との会話が充実することができた。また、美術の授業でも高校ではなかなか教えることが難しい彫刻をリアルタイムで教わることができた、高校生にとって大学の先生の講義は好奇心を刺激し、また将来の進路の具体的に考える材料になった。しかし、テレビ会議では美術の作品過程の熱やにおいが伝えられないので、このテレビ会議が一つになる方法を考える必要もある。
<隣接学校間交流>
高校生は小学生の様子を確認しながら指導し、小学生は直接交流によりプレゼンテーションの資料を作成、発表することができた。隣接する学校間ならではの直接交流する良さとシステムを使った交流の便利さを体験することができた。
<国際遠隔交流・授業>
相手国に知り、自国を紹介するという交流ができた。海外との交流により旧交を温めることもでき、また、手紙等での交流を行うことの重要性も認識できた。また、遠隔地とのリアルタイムの交流により、児童にとっては時差やタイムラグを感じただけでなく、逆にこのタイムラグを感じさせない身近な相手と感じることができた。
<遠隔合唱>
児童が食い入るように他校の歌唱を聞き入っていたことから、異年齢、また他校の声や歌を知ることができた。また、歌を通してお互いの受容共感しあう体験ができ、また、他校に自分達の合唱を指摘してもらうことで自分達の合唱を見直す機会になった。
<遠隔金管合奏>
同じ目的を持つ集団どうしの交流であったので、音楽に対するお互いの意見を積極的に交換でき、演奏の発表だけでない成果をあげることができた。また、事後アンケートには小学生が高校生の演奏した楽器の音色について書いている児童もおり、演奏形態や楽器奏法等も学ぶことができた。


前のページへ 次のページへ