3.実践授業の報告



3.2 上通小学校 実践授業

実践授業の概要:

実践校 新潟県・中之島町立上通小学校
担当 加藤 敏浩 教諭
単元 3年生 総合的な学習の時間
テーマ:1学期「地域の知恵を見つけよう」
    2学期「まわりの人を喜ばす知恵を見つけよう」
実践授業その1 日時:2002年11月5日(火)9:00〜16:00
場所:3年生教室,コンピュータ教室(20台)
   ビデオ,パソコン使用
出席者: 3年生37名
実践授業その2 日時:2002年11月13日(水)13:30〜14:15 公開授業
場所:多目的教室
   スクリーン,テレビ会議システム使用
出席者: 3年生37名
指導案 資料2参照

3.2.1 実践授業の位置付け

【1学期の活動】

 自分たちの住む地域の知恵を見つけることを目標に,地元のお年寄りに昔の遊びや知恵を取材するなど,地域について体験学習をした。また,ワールドスクールネットワークの環境特派員グレッグが,アメリカを旅した際に子ども知恵図鑑に報告したべ−グルサンドを自分たちで作ったり,ワールドスクールネットワークに参加するアメリカの教師が来校した時に地域の知恵をアピールする劇を行ったりするなど,体験を重視した学習を行った。

【2学期の活動】

 自分たちの持っている知恵を生かしてまわりの人を喜ばすことを目標に,実践,討論,テレビ会議などを活用して,2学期に学習を深めた。「下級生に遊びを教える」「うまく行ったかどうかふりかえる」「なぜうまくいかなかったのか討論し,もう一度チャレンジする」など,児童ひとりひとりの心が,楽しみながら成長するよう促す学習を展開した。

 上通小では,児童は1年生からパソコンに触れている。全員が自分専用のフロッピーディスクを持ち,フロッピーディスクに文章を保存している。当初,児童は作文用紙に文章を手書きし,教師の確認後にパソコンのキーボードで入力し,登録内容をフロッピーディスクに保存した後,それを教師が子ども知恵図鑑に登録していた。実践授業によって子ども知恵図鑑の登録方法を会得してからは,児童自らが直接,登録するようになっている。

 情報機器を効果的にとりいれ,表現力を身に付けさせるための手立てとして子ども知恵図鑑を利用した授業を目指した。
 子ども知恵図鑑の利用としては,1学期に自己紹介,アメリカへの質問,地域の遊びや知恵などの発見,報告などである。2学期には,活動宣言「知恵名人になる!」など,活動の経過報告,イスラエルへの質問・やりとり,自分たちの活動に対するアドバイス・意見の呼びかけなどを登録した。


3.2.2 実践授業その1

日時:
 2002年11月5日(火)9:00〜16:00(全日を通しての総合学習)

図1 子ども知恵図鑑の説明を受ける様子
図2 それぞれ書き込みをしている

概要:
 今回の実践授業は,友だちの問題の解決策を考える議論から始まった。児童たちは数日前に1年生に遊びを教えてあげたのだが,その時にうまく教えられなかったというある児童の悩みに対して,「事前に練習,準備をしておく」「相手の気持ちを聞く」などの解決策が出た。加藤教諭は児童の発言に任せて進行し,ポイントを板書し,児童はそれをノートに写していた。その後,議論でたくさん出た「人を喜ばす知恵」の担当を決め,児童たちは,自分の担当する知恵(「大きな声で話す」など)を使うとどう良かったのか,自分たちの経験と照らし合わせながら作文を書いた。教諭のチェックを受けた後,コンピュータ教室に移動して子ども知恵図鑑へ文章を書き込んだ。
 今までは児童がパソコンのキーボードから直接入力した文章をフロッピーディスクに保存し,加藤教諭が登録していた。今回は初めて児童たち自身が直接登録することになった。初めにワールドスクールネットワークスタッフが登録方法を説明し(図1),その後は各自が上通小専用のIDとパスワードを使って作文を登録画面に打ち込んだ(図2)。一度登録しておけば,自分たちが書き込んだ情報は,後で加筆訂正が可能である。途中からは,使いかたをマスターして早めに終わった児童が友だちに教える姿も見られた。


子ども知恵図鑑を利用した状況・場面:


 1. 自分たちの考えを子ども知恵図鑑に登録した。自分の考えを人に伝える力をつけるとともに,議論がクラス内だけで終わらないようにしている。(図3)

図3 登録した代表例





 2.今まで登録した自分たちの書き込みをプリントアウトして教室に展示している。(図4)

図4 教育の壁に展示されている模造紙


授業の詳細:

【1・2時間目:議論】
・テーマ「みんなで友だちの問題の解決策を考えよう」
 3年生は11月1日に,竹うま,こま,リサイクル工作などの遊びを1年生に教えた。その後ふりかえりシートに「うまく行かなかった」と書いたうちの4人に,前に出てどこがうまく行かなかったか発言してもらった。時間が足りなかった,話を聞いてもらえなかった,(竹うまで)体重が支えられなかったなどの問題点に対して,みんなでそれを解決するための意見を出し合った。「事前に練習,準備をしておく」「相手の気持ちを聞く」「人の助けをもらう」などの意見が出た。単に意見を言うだけではなく,反論もあり,だんだん考えが深まっていく様子が見られた。加藤教諭は児童の発言に任せて進行し,ポイントを板書し,児童は紙に写す。途中,実際に1年生に教えているシーンをビデオで流すなど,実践と議論とをうまくつなげる工夫があった。3人目まで解決策が出て,4人目の子のところで,1年生が他の遊びをやりたがった場合, 「違う方法を試してやる気にさせる」と「他のグループにいかせる」のふたつに意見が別れた。そこで13日にこの議題についてディスカッションすることになった。

【3・4時間目:振り返り・知恵担当決め・作文】
 友だちの解決策を考える活動についてのふりかえりシートにそれぞれ記入した。その後,いままで見つけた,人を喜ばす知恵と,今日見つけた知恵の計34個をひとりずつ希望をとって担当を決めた。「大きな声で話す」「休憩を入れながら」「自分なりに努力する」など知恵を一生懸命考える児童たちの姿はほほえましが,実はかなり深い話をしている。児童たちはクラスの人数と同じ37個まで考えたがっていたが,時間がなく34個で終了し,どの知恵について誰が担当するかを決めた。各自の担当決定後,グレッグが「みんなの知恵を図鑑に載せよう!」と呼び掛け,それぞれの知恵について,使うとどう良かったかという作文を書いた。先生のチェックを受け,OKが出た子から教室のすぐ前のコンピュータ教室(20台)へ移動し子ども知恵図鑑に文章を打ち込んだ。

【5・6時間目:子ども知恵図鑑登録】
 今まで上通小では児童がワープロソフトで打った文章をフロッピーに入れ,加藤教諭が子ども知恵図鑑に登録していた。子ども知恵図鑑に登録された児童たちの書き込みは,カラーコピーでプリントして教室に貼り,全員が読めるようにしている。今回は初めて児童たち自身が登録することになった。初めにワールドスクールネットワークスタッフのまわりに集まってもらい 子ども知恵図鑑の登録方法を説明した。その後は各自で上通小専用のIDとパスワードを入力し,作文を登録画面に打ち込んだ。



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