3.実践授業の報告



3.4 樫邑小学校 実践授業

実践授業の概要:

実践校 岡山県・久世町立樫邑小学校
担当 片山 一生 教頭,池田 教諭
単元 5・6年生 総合的な学習の時間・理科
テーマ:総合的な学習の時間「米作り」
    理科「人と生活環境」
実践授業その1 日時:2002年12月4日 (水)10:45〜12:15
場所:パソコン教室(理科室),5・6年生教室
   パソコン,プロジェクター,スクリーン使用出席者:5・6年生11名
実践授業その2 日時:2003年1月16日 (木)13:15〜15:35
場所:パソコン教室(理科室),5・6年教室
   パソコン,プロジェクター,スクリーン使用
出席者:5・6年生11名
指導案 資料4参照

3.4.1 実践授業の位置付け


【総合的な学習の時間】
 「米作り」をテーマにした総合的な学習の時間では,米の種類,歴史,外国米,輸入や減反や消費量減少の現状など,さまざまな角度で調べ学習を行った。
 テーマごとに模造紙にまとめたものを教室や廊下に写真をつけて貼っている。学校に田んぼを作り,自分たちでキヌヒカリや古代米を育てた。子どもたちは刈り取った稲を昔ながらのやりかたで白米にしようと,地域の協力を得て千歯こきや足踏み脱殼機を試したり,ソフトボールでもみすり,一升瓶に入れた玄米を棒で突いて精米するなど,工夫をしながら意欲的に取り組んできた。
 3学期には,収穫祭をやり,家族と一緒に食べようと張り切っている。

【理科の授業】
 理科の授業では,総合的な学習の時間の「米作り」の学習を受けて,「人と生活環境」をテーマにしている。生活基盤として「田んぼ」を,自然環境のひとつの要素として捉えさせ,地球上の水の循環の一部に「田んぼ」があることを意識させながら,人と自然環境との関わりを全体的な視野で捉えさせることをねらいとしている。

 樫邑小学校では,年間を通して行ってきた調べ学習や,体験学習によって蓄積された成果を子ども知恵図鑑に登録し,学習の振り返りや整理,ポートフォリオとして活用することを目指した。また,自分たちの学習成果を,同じテーマで活動している他の地域の児童に情報提供することで,学習の価値の高さを再認識し,学習意欲の促進に役立たせた。

 子ども知恵図鑑の利用としては,1 学期に活動紹介,2学期に学校紹介,米作り報告,アメリカへワイルドライスの食べ方質問,川クリーン作戦報告,米について他団体の質問への返答などを登録した。


3.4.2 実践授業その1

日時: 2002年12月4日 (水)10:45〜12:15(池田教諭も交えて実施)
概要:  実践授業は,ワールドスクールネットワークのスタッフから,子ども知恵図鑑で一緒に活動していく仲間たちの紹介から始まった(図1)。その後,インターネットの検索で見つからなかったアメリカの米の食べ方を子ども知恵図鑑で調べ,アメリカの仲間へ向けて質問を登録した。

 子ども知恵図鑑のメンバー紹介コーナー「メンバー図鑑」で,相手の顔を見,親しみを持てたようだ。パソコンに慣れている児童たちは,子ども知恵図鑑の操作にとまどうことなく,蓄積されている多くの情報から自分たちの地元の話を発見するなど,積極的に使いこなしていた(図2)。

 米作りを実体験し,多くのことを学んでいる樫邑小学校の児童は,自分の知らない情報を探すだけではなく,これから自分たちの知っていること,学んだことを発信していこう,という気持ちが出たようだ。

図1 子ども知恵図鑑を見る児童たち 図2 情報を検索する児童たち

子ども知恵図鑑を利用した状況・場面:

 1.インターネットの検索サイトで見つからなかったアメリカのワイルドライスの食べ方をワールドスクールネットワークのスタッフである米国人青年グレッグに質問し,返事を読んだ(図3)。

図3 ワイルドライスの食べ方について質問し,返事をもらった。

 2.スシライスの食べ方をアメリカの参加団体に質問した(図4)。

図4 スシライスの食べ方を質問した。

授業の詳細

【調べる】
 授業では,始めにいくつかの種類の米の食べ方を,インターネットの検索サイトを使って調べた。調べたテーマは,自分たちで作った「古代米(ムラサキイネ)」と,アメリカで食べられているという「ワイルドライスとスシライスの食べ方」である。
 「世界の米といろいろな調理の仕方」「古代米」などで検索したサイトを見て,参考になる事柄をノートに写したり,印刷したりした。しかし,ワイルドライスやスシライスについての情報はみつからなかった。

【子ども知恵図鑑】
 パソコンルームから教室に移動し,ワールドスクールネットワークのスタッフから,プロジェクターを使って子ども知恵図鑑の使い方や,一緒に活動していく各地の仲間たちの紹介を行った。
 樫邑小学校の児童は,紙に書いた文章を教師が子ども知恵図鑑に登録していたため,使い方など詳しい説明を聞くのは初めてだった。スタッフは子ども知恵図鑑で話題になっているイスラエルの食べ物デーツ(ナツメヤシの実)と死海の水を持参した。恐る恐る試した児童たちからは,「デーツは日本の干し柿に似ている」「死海の水は舐めると痛い」など新鮮な反応があった。

 子ども知恵図鑑の使い方を理解し,各児童は調べたいことを検索した。「ワイルドライスの食べ方」について,樫邑小学校から事前に質問を登録してたので,ワールドスクールネットワークの環境特派員グレッグ・マイケルから写真付きで調理方法を説明した返事が子ども知恵図鑑に届いていた。しかし,同じくアメリカのスシライスについての返事がなかったので,スシライスの食べ方,アメリカではどれくらい寿司を食べるのかなど,アメリカの児童たちに向けて以下のような質問メッセージを作った。



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