総合学習・教科学習において,個々の生徒の主題・意見・発想を全員が共有し,議論する事で再認識が行われ相乗効果を得るニーズは多くある。ビデオプロジェクターのような大画面で情報共有・整理し,ディスカッションやまとめをおこなう協業を支援するとともに,より児童生徒の課題発見や解決へ思考を導くツールの開発が必要とされている。
今回は「総合学習」の中で全国でも普遍的なテーマ「郷土取材」をテストモデルとし,普通教室において電子ボード(プロジェクタ投影白板)による情報集中型の環境下でグループディスカッションを支援するツールを用いる。調べる目的や必要性,どのようにまとめるかのディスカッションを重要視し,子ども達の目的達成への工夫 適切に意思を伝達できる表現ができているか等を全員で明確化する授業を行なう。
課題点抽出・改善検討し,総合学習,教科の中で効果の上がる授業モデルが開発され,普及されることを第一のねらいとする。
ミレニアムプロジェクトから始まった教育の情報化は現在「設備の配備」から「手法の質の深耕」へ第2フェーズを迎えていると考える。今後新たな課題として,
- 普通教室でも日常的にITを活用できること
→PC教室で一斉に操作リテラシー等を取得する段階から,もっと幅広い場面でIT活用が図られることが望まれる。
またIT活用のスタンダードな学習手法として定着した「調べ学習」についての今後の課題として
- 単に「面白かった」で終わっていないか
- それが具体的に子供の能力向上に結びついたか
- また優れた教員による"点"の事例開発に終わらせず,それを県下の教員全体で共有できる"面の展開"に結び付けられるか
等が挙げられると考える。
本プロジェクトは,総合学習で最もスタンダードといえる「郷土調べ学習」をベースに中間チェック工程を重要視し,目的・目標の明確化を図る学習手法,ITツールの開発・検討を行うものである。
普通教室にてPC画面と手書き文字を重ねて表示できる電子ボードにて情報集中型の環境を作り,調べ学習における中間チェック,グループディスカッション支援手法とそのツールの有効性を検証し,必要に応じ改善を行いながら,学習効果の上がる調べ学習の手法を検証し,その要件等を広く公開し普及可能な形とする。
- 調べ学習における各過程で生徒が目的や構成を整理し「考える」ことを促進させる。
- 簡便な操作で誰でも行えるツール及び指導要領を整備・公開することで,教師の負担を軽くし,上記授業を実施しやすく,普及可能な形にする。
- 教育的ねらい 調べ学習において,生徒の目標意識の明確化と情報収集・整理構築力の能力向上を図る。
計画・行動・まとめの各過程で子ども達に「考える」機会を与え,周りの意見とすり合わせを行うことで学習テーマへの意識付けを図るとともに情報を収集・整理構築・伝達する等の情報活用能力を高める。- 学習環境支援面でのねらい 2005年 普通教室にて集合形式でIT活用した授業を実施する場面を想定し,上記1.を実現する上で効果的なツールを開発する。またその活用にあたり必要要件や課題を抽出,効果的な活用法等をまとめ,公開することで普及を促進させる。
- 児童生徒が調べ学習において,各行程の目的や意義をより理解し行動できるようにすること。
- 児童生徒が調べ学習において,まとめ→成果物を作成する行程において情報を整理し構成する能力が上がること。
- 教員が調べ学習をより効果的にかつ効率よく推進できる支援となるツールとすること。
上記が実現されることによりテーマに対する関心やそれに対するアプローチ手法を自ら整理し考える力,また考えをまとめ伝える力(課題解決力)を向上させる。
また,「IT活用体験」的調べ学習から一歩踏み込み,テーマに対する考察のフェーズに重点を置くことによって今後調べ学習の質をよりあげて行くことが可能となると思われる。
また,その過程は「授業進行のノウハウ」であり,これを記録化することでより多くの教員の授業ノウハウとして事例共有化することができる。