本プロジェクトでは調べ学習を支援する下記2種のツールおよびその活用マニュアルを開発する。
- 「取材帖」 : テーマの設定理由,調べる項目内容(何を誰にどうやって),取材したデータ,感想や疑問点などを手書き可能な電子ワークシートを使って整理するツールを開発
調査するテーマについて,目的や計画,調査したデータ感想や疑問点などを手書きや画像の貼りこみで記録してゆくツール。調べ学習に必要な要件や調査過程等を書き出せ,生徒が予め紙ベースで考えたものを教員&全員で討議しながら完成させてゆく。
=調査の過程データベース となってゆく。
- 「編集会議シート」 : 調べ→まとめの過程で,まとめるストーリ構成をPC画面上で入れ替え可能な電子カードに書き出し発表,及び全員のディスカッションにて目標が達成できているか,伝えたいことが伝達できているか等を検討できるツール
計画の立案時やコンテンツの作成時にカードに見出しや要点を書きこみ,それを入れ替えながら全体の論旨の構成を鳥瞰できるツール。
=発表成果物作成にあたっての構成力をつける。考え方データベースとなる。
尚上記については授業準備・授業初期において,たたき台となるソフトを使用し,授業における活用要件等を抽出・分析,当該ツールに必要な要件を検討しながら開発を行う。
上記 1. 2.は記録,保存可能とする。また,取材帖にあるデータを編集会議シートで効率良く活用する要件や手法を抽出分析するものとする。
- 「活用マニュアル」 : 上記を使う上でのヒント集,また使用した結果のノウハウを公開Web上に蓄積。
上記ツールを使用するにあたっての留意点やヒント集,また逐次使用した意見や事例を収集し,当プロジェクトHP上で蓄積して配信できるようにする。
上記の構成を図1に示す。
生徒が実際に書き込んだり,発表して自分以外の意見とすりあわせを行ったりすることで調べる目的や手段,まとめ内容等をより明確化し,考えさせ,意識付けすることができる。
本ツールは主として調べ学習の行程を支援することを主眼とするが,「情報収集」→「構成」→「発表物作成」の行程が生じる授業で幅広く活用できる。
(活用例)
小学校高学年〜中学校 総合学習(調べ学習)における計画立案 中間発表,成果発表(普通教室)
(例 郷土学習 共同作成プロジェクト(○○を作ろう) ホームページ作成時等のリテラシー学習)
その他全員で計画立案,遂行 ディスカッションの生ずる教科全般
(例 小学校高学年〜高校 国語(文章章立て展開の分析 作文支援)社会(地域の調査(地域,日本 世界)
英語(文章章立て展開の分析 英作文スピーチ論旨作成支援)
高校 情報A(情報伝達の工夫 情報収集と発信)
高知県葉山村立葉山小学校6年生「総合的な学習の時間」において郷土調べ学習を実施する際に,当該ツールを用い,要所で全員ディスカッションによる検討チェックを行いながら進める。
( 印はツールを使った全体授業)
1回目 導入授業(1コマ) :インターネットを検索し,「福祉」や「まちづくり」について自分達の村や近隣自治体がどのような取り込みを行っているか調べる。
2回目 調べるテーマを決めよう:(2コマ)
班毎に調べるテーマを設定し,「取材帖」を使って発表し,テーマを決めた理由,調べたいポイント等について皆で意見を述べ合う。
3回目 〜 (2コマ以上) テーマについて調べよう
実際の調査作業
4回目 調べた事を書き込もう(1コマ以上)
調査した結果を「取材帖」に書き込んでみよう。
〜以下 調査に従い漸次書き込み。
5回目 調べたことを発表しよう(2コマ)
「取材帖」に書き込んだことを発表。皆でディスカッションを行い,課題点や更に調べるべき点などを検討する。結果に従い,調査すべきことがあれば追加で調査する。
6回目 調査したことを整理しよう(1コマ以上)
「取材帖」のデータをカード化し,「編集会議シート」で並べてまとめのストーリーを検討,発表する。皆でディスカッションしてまとめの姿を検討する。
7回目 発表資料を作ろう(1コマ以上)
ディスカッションの結果により,パワーポイントやホームページ作成ツールで発表資料を作成する。
8回目 成果発表
作成した発表資料で成果発表。