4.実践授業等の実施内容




4.2 実践授業の内容

計画の内容と実践内容を表5に示す。

表5 実践授業の計画および実践内容
授業日   学習活動 具体事項 小項目
認知 情意 技能
10/31 計画 1.福祉ってなんだろう (1H) 「福祉・まちづくり」というキーワードでホームページを見る。

葉山はじめ他の自治体で福祉活動はどのようなことをしているか調べる。

福祉についてのイメージを出し合う。葉山村に一番関係の深いのは・・・(この時点ではアトランダムで良い)テーマ設定ワークシートを渡し,次回までに調査項目をグループ毎に決めておく。
  「福祉・まちづくり」についての興味を喚起する HPでの調査
実施

評価
 
当該日は導入授業(ツール未使用)のため,授業評価対象外ではあるが 通常のインターネット検索にて「福祉・まちづくり」について調べ,郷土の福祉・まちづくりについて調べテーマをイメージしてもらう。
・ 事前に教科書(社会科) 福祉センターのできるまで を予習した。
・ キーワードは「葉山村」からはじめた生徒が殆ど →これで検索すると「葉山村ホームページ」がヒットし,更に「福祉」で見ると,「福祉センター」である「里楽」がヒットする。
・ 「里楽」は立地が葉山小学校に近く,以前に調べ学習で訪問したこともあり,「里楽」をテーマに挙げる班が殆どとなった。
11/12 計画 2.調べるテーマを決めよう
(2H)
班ごとに,それぞれの調べるテーマを「取材帖」に書き込み,発表する。
発表内容について 全員で意見を述べ合う。(テーマ名,テーマを決めた理由 そのどこが重点か)
重点ポイントの検討を全員でディスカッション。
調査法の検討:調査法→具体的にどんなことをどうやって誰に聞いたら良いと思うか(幾つかアトランダムに案だし)
テーマの重点や課題点の存在を認識する。 調査に関して意欲を持つ


他班の意見と比較して,自分たちのテーマに対する関心をより深める。
 
  評価

実施
   
  【3時間目】 :先回宿題の「テーマ設定」をグループ毎に先ず紙にまとめ, 
 1班:電子白版書き込みツール 
 2班:PowerPointに書き込み 電子白版に呼び出し 
 3班:     〃 
 (「紙に書いてスキャナ読み込み」を選択した班は無し) 
で実行。 
1班書き込み:  
・45分/2ページ書き込み。本日がはじめての書き込み
(予備練習無し)  
・操作自体はすぐ覚えた。しかし
・自分の想像する綺麗さで書けない(紙に書く自分の字と違う)ので何度も書き直し  
・自分がプロジェクタの影になるので書きにくい。
・白板付属の「電子ペン」が2本ある のに実際同時書き込みは1本(2本同時に使用すると2本間に線が引かれる(マウスエミュレートのため,2点間ポインティングと認識されるため)やり直し。
等でほぼ45分係った。
(子ども達の感想)面白い けれど 書きにくい。(影ができる)
    【4時間目】:書き込んだテーマを電子白板に投影し,班毎に発表
 1班 「葉山村の施設を使ってもらうには」
テーマ設定理由:葉山村を明るくしたいから。
内容:「里楽」などの村立福祉施設の利用状況を調べて,その利用率を日常的に上げるにはどうしたらよいかを調べる。村外者(外国人)などの利用なども調べたい。
 2班 「葉山村のむらおこし」
テーマ設定理由:施設が出来たわけなどをしらべる
内容:「村おこしをしようと努力した人」「そのきっかけ」「内容」「費用」「結果を村民はどう思っているか」を調べる。
 3班「葉山村の建物やイベント」
テーマ設定理由:町づくりのためにどのようなイベントが行われているか。村外交流などの実態を調べたい。
ディスカッション
 全班とも「里楽」がメインテーマになっているが,少しづつ観点が違うことを確認。具体的にどうやって調べる(里楽にヒアリング スーパーマーケットでアンケートをとる 役場にヒアリング 議員にヒアリング等)調べる内容が他班にも使える場合はその内容を教えてあげ,共同で作業を進める等,発表資料に先生が赤ペンでマークしながら授業を進めた。

授業終了後 検討会
本日のところは,効果というより「使ってどうか」という段階。
子ども達にとっては手書きよりMicrosoftPowerPoint(キーボード入力)のほうが早かった。(4年生の頃から使い慣れている)但し他校の場合等全てのケースに言えるとは限らない。
発表資料としては,手書きの方が(字が大きく)見やすかった。
手書きツールを使った1班としては出来栄え(PowerPointの班に比べ出来上がりが美しくない)事に多少満足が行かない様子であった。
書き込み字の大きさは45分間で大分変化した。書き込み当初は1文字30センチ角くらいなものが,授業終了時には15センチ角程度になった。この程度であれば,紙カードと同量程度の分量は書ける。(30センチだと3行/ページくらいになってしまい,当初設定したカードを1枚追加した。)
やはりプロジェクタの影は書き込みにくい。
 2本のペンを同時に使おうとするので,想定外の動作になった。(2点間を結ぶ直線がかけてしまう)

1枚の白板に1班〜3班までが順番に書き込んでゆくには時間が足りない。子供がグループ別に入力する場合は白板でなく,別の入力装置(タブレット,子機パソコンなど)で運用したほうが現実的である。
班毎に発表してゆくと,他の班の資料を参照する場面は出てくる。(たたき台代替ツールでは)1ファイルしか開けないので,開発ツールは,何らかの形で他の班のファイルもすぐに見ることができると良い。
   
11月12日の授業風景

グループ毎にテーマを決めます。

初の電子白板(影ができる)

電子白板に書き込み
(少し慣れてきました)

書き込んだ例(1班)
この日は1時間で2ページ
11/12〜
11/29
計画 3.テーマについて調べよう 調査計画に沿って調査。 調査活動により地域の努力や課題を発見する 福祉活動の実際やよりよい町作りに興味を持つ。また福祉の課題等に気づく 調査を通して対人コミュニケーション力を高める。的確な調査ができる
12/2 個人のメモをグループでまとめ,取材帖に書き込む
実施  
 
【主旨】 現地取材が開始され,電子白板の操作法(画像読込等)を子ども達に教え,
実際の取材データを記入してみる。またeスクエアアドバンス全体委員会で入力の比較対照をすると良いとのアドバイス実現のため,ペンタブレットを追加導入し,ペンタブレットからの入力も行ってみる。
 取材データの入力。
生徒が取材してきた元データ(メモ帳に書き留めたものを白板記入前にグループでまとめて手帳に書き抜いたもの)
白板から入力 :3班
ペンタブレットから入力 :2班
(1班は本授業では他の作業にまわり,後日白板から書き込み)
 作業の様子
「綺麗に書かなくても良いからどんどん書こう」と途中都度呼びかけを行いながら作業を進めたが,自分の想定した仕上がりになるまで納得が行かない模様で何度も書き直しが発生。数ページしか記入できず。
たたき台ツールには「キーボード入力」機能があるのを発見,キーボードからどんどん入力しはじめてしまった。
白板とタブレットでは「タブレットのほうが書き込み易い。」(2班)
書いた分量もペンタブレット班のほうが多かった。
   
12月2日の授業風景

本日は3班が白板から入力

ペンタブレットから入力(2班)

影ができるのがやはり気になります。

※11/21 eスクエア全体委員会での評価アドバイスによりペンタブレットを追加

12/5 計画 4.調査経過を発表 (2H) 取材帖を提示しながら 調査の経過を班ごとに発表する。(10分@班) 取材したことを自分なりに再整理しながら認識する。 他の人の発表も聞きながら自己のものと比べて,新たな課題に気づく 他の人にわかりやすいように発表ができる
実施   △〜○(整理しすぎた?) △〜○
5時間目に発表と質疑。6時間目に質疑に応じてカード化したデータを入れ替える作業を予定していたが,予想以上に調べた内容量・質疑数が多かったため,発表をメインにし,カードを入れ替える作業は次回に延期。6時間目終了前に,「カードの整理の仕方」を説明した。
作業の模様
完成された取材帖は「キーボード入力で綺麗に整理されていた。」
現クラスでは,4学年の頃から調べ学習にPowerPoint,Word,ホームページ作成ツールを使い慣れており,子供たちは本ツールもそのようなイメージで捉えたものと思われる。取材帖の各ページをカード化したものを画面に呼び出した時点で「PowerPointとはまた違うもの」という事を実感したように感じられた。(以降手書きが増えた)

 カードの整理について:
整理の目安としてのタイトルカードを数種類(目的 原因 課題 わかったこと どうしたい?5W1H(誰が 何を いつ どのように どうやって)用意したうち,
○感想・意見 (→ 授業実施時には未用意。あとで追加)
○わかったこと
○課題
○どうしたい
の3〜4種類程度が分類整理に適当と判断。この分類法で次回までに整理。
【授業終了後検討会】
・キーボード入力について: やはり白い全面画面を見ると (普段使っている)PowerPointライクに受け止めてしまうのか。入力方法も普段からキーボードに慣れているので2つあったらキーボードを使ってしまう。
・カードを呼びだし→ (たたき台ツールでは)複数カードが同一のところに完全に重なって呼び出されてくる。計何枚のカードがあるのか分かりにくい。(すこし位置をずらせた形で呼び出されてくると良い)
   
・分類について:
 授業主旨によっても,どこまで分類するかは変化すると思う。情報リテラシー取得がメインの場合は「目的 仮説 わかったこと 課題 原因 どうしたい」まで全工程分類するべきだろうし,本授業(まちづくりへの動機づけを図る調べ学習)ではやはり「最終的に自分たちはどうしたいのか」という部分にベクトルを集中したいので,(ディスカッションで出た)意見 わかったこと課題 どうしたい 程度が適切だと思われる。 
   
12月5日の授業風景
電子白板で,調べた概要を発表
皆でディスカッション
かなり意見がたくさんでます。
書き込んだ例
キーボードで見事に清書しなおしてしまいました。
12/9 計画 5.調査したことを整理しよう(1H) 調べたことを編集シートに並べかえ、ディスカッションで出た意見や質問等と合わせて、何が重要ポイントか、それを踏まえ最終的にどうしたいのか等を考え討議する。
テーマについて発展的に考えられる課題点なども抽出してみる。
更に調査することがあればその要件出しをしておく
ディスカッションを通じて新たな課題を発見する(テーマについて。情報の整理の仕方について) ディスカッションによって新たな地域への課題意識をもつ 調査した情報をうまく相手に伝わるように構成する能力を高める。
実施  
   

本日は,本授業(5時間目)前の午前中にグループ毎に,カード化された取材帖データ,先回のディスカッションで出た意見 課題 最終的にどうしたいのか を編集シートにまとめる作業を先行して行っていた。本事業は編集シートを元に各班ごとに発表。最終的にどうしたいのか(=どうまとめる?)のかを討議した。

作業の模様
 ディスカッションで新たに出た意見を白板上に書き込み,書き込み矢印などで関連づけながら討議を行った。
授業終了後 検討会
本日はかなり書きこんで、考えた。午前中もこれまでに調べたことと質問事項などの関連づけを子ども達自身でいろいろ考え討議した。
子ども達が分類整理をするのに「色」を効果的に使うのが印象的であった。特に教えた訳でないのに、類似したポイント等は同じ色で分けて記入していた。
本日の授業で大分全体像が見えてきたのではないか。
   
12月9日の授業風景

1班の発表とディスカッション

1班の編集会議シート

2班の発表とディスカッション

2班の編集会議シート

3班の発表とディスカッション

3班の編集会議シート
12/20 計画 8.成果物発表(2H) 班ごとに作成した成果物を発表。ワークシート等を使いお互いに講評する。     相手に上手くプレゼンテーションする。
       
    生徒によるこれまでの調べ学習の成果発表会。
 班毎に,白板を使って発表。発表ツールは 手書きツール,MicrosoftPowerPoint MicrosoftWORD WEB(子供たちの作成による)
終了後全体検討・評価会(近隣関係教育事務所 小学校 中学校等15名)
授業でのツール評価
・ 取材帖に書き込むところまではPowerPointなどと同じように進んだ。
・ 整理分類するところから,従来のツールとは違うと実感した。子供たちが子供たちなりに一生懸命考えをまとめているので,(普段だと最終まとめは教師側でもある意味到着点のイメージがあってヒントを出してそれに近いところにもってゆくのだが)今回は子ども達自身のまとめを尊重した。プレゼンテクニック的な観点で見れば(多少準備時間も不足した等もあり)必ずしも上手い発表という印象ではなかったかもしれないが,ちゃんと子供なりの結論は出しているところまで持ってこれた。
 
 意見交換・質疑応答
・元々持っているベースの力(リテラシーや調べ学習の経験等)も影響する と思う。(葉山小の場合,双方恵まれた環境条件ではあった。)
・「紙のポストイット」とはどう違うか?
さんざん変化させてもきれいに使える。
色分けができる。(子供たちは色を効果的に使うことがわかる)
考えた経過が保存できる。
紙 と 本ツール(PC)では文字数の違いやレイアウト色などがやはり違う。
(我が学校でも調べ学習は注力してやっているが,大量の模造紙が出,経年とともにゴミになってしまう。本ツールでは「思考の流れ」が保存できるので,紙とは違う導入効果はあると思った。機能については思い切ってシンプルにしたほうが「普及」という面では良いと思う。)
   
・データの入力の仕方
やはり「白板」 → 発表や全体討議に
データ入力 → 端末から という流れにすると全体的に効率が良くなる。
教室・授業形態によっても 集合学習・プレゼン→プロジェクタ
HPのように詳細に見る → 手元のPC等同一ツールでも使い方は環境によって変わる。
・授業の途中過程が残せるので,保護者通信にも使えそう。(デジタル参観)
→ 子供たちのアンケートには,ネット会議をして討論したら という意見もあった。
→ 先ず,画像を貼り付けて学級通信にする というところなら現在でもできそう。
・プラズマディスプレイには出来ないのか?(電子白板では影ができる問題)
→ 影ができるのは,このシステムの大きなウィークポイント。(慣れると書くのも早くなってはくるが)
→ プラズマディスプレイのほうが運用的には好ましいのは確実に言える。しかし現在価格が7〜80万程度(42")まだ簡単に導入という価格ではない。しかし一昨年度は50"が200万超えていたのが 昨年度は130万代まで一気に下がった。コストダウン技術も目覚しいので,インチあたり1万円(=50インチ50万)になる日も遠くないのではと言われている。
→ 電子白板の価格は?:今回使用したモデルで定価30万円代。

12/20日の授業風景および評価会風景

子ども達の発表

評価会



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