1.プロジェクトの背景・目的




1.1 背景

 岐阜県内の自主研究グループ「楽しく学ぶ算数・数学プロジェクト」は,岐阜県教育委員会や岐阜大学教育学部附属カリキュラム開発研究センター等と連携して,児童・生徒が楽しく学ぶためのWeb教材等の作成を行っている。これまでに作成した算数の練習問題はA4版1,500枚以上(問題数 約10,000)である。作成した問題には教育情報データベースSIS-TEM IVの学習項目コードをつけている。作成した問題はWeb上で公開して,各学校で実践を行い,実践事例の収集と問題の改善を行っている。これらの成果は,Curriculum Research and Development Center Faculty of Education , Gifu University DATA REPORT No.326〜329で報告されている。「楽しく学ぶ算数・数学プロジェクト」(会長:服部晃 岐阜県教育委員会参与兼教育次長・総合教育センター長)は,中馬悟朗岐阜大学教授,総合教育センター指導主事,数学科の現場教師,企業から成る研究グループである。
 岐阜県では情報基盤整備が進められ,各学校からネットワーク等を快適に利用できる環境が整ってきた。また,Web上に多くのコンテンツが準備され,教育現場で利用されるようになってきた。しかし,教育現場の教育用コンテンツの活用は始まったばかりであり,指導事例や学習の効果を高めるためのノウハウ等の蓄積が少なく,これらの収集・提供が早急に求められている。
 そこで,小学校算数コンテンツ活用における指導事例や学習の効果を高めるためのノウハウ等の蓄積を行い,提供するために「岐阜県・算数コンテンツ活用法改善プロジェクト(以下,本プロジェクト)」を設立した。
 現在,岐阜県は,平成16年度には,全ての小学校が高速・安全・快適な環境でネットワークが活用できるように県内全ての学校を結ぶイントラネットの整備を進めている。また,岐阜県は教育用コンテンツの開発を計画的に進めている。一方,各小学校は校内LANやコンピュータ,プロジェクター等の整備を進めている。各小学校において情報環境の整備が進むにつれ,岐阜県内外の教育用コンテンツを活用する機会が増えてくる。
 そこで,本プロジェクトによる成果により,各小学校において,教育用コンテンツを積極的・効果的に活用することができると考えられる。

1.2 目的・狙い

 本プロジェクトは,岐阜県教育委員会,岐阜大学教育学部附属カリキュラム開発研究センター,企業等の協力を得ながら,「楽しく学ぶ算数・数学プロジェクト」で開発したコンテンツを活用して,授業におけるIT活用研究と実践事例の収集及びITを活用した教材の開発研究を行った。
 本プロジェクトは成果目標を次のものとした。

  1. 小学校算数の評価問題をWeb上に作成し,Web上で学習者の履歴を収集して,学習者への指示を表示するシステムの開発。
  2. 学習者を支援するテキストを作成する。
  3. 実践校での実証実験を通して,授業におけるIT活用を検討し,教育・学習の効果を高めるための工夫・ノウハウ・事例を収集する(指導案と実践事例集を含む)。
  4. ITを活用した教材・教具を授業の中で試用しながら有識者等の評価をもとにそれらを改良する。
  5. クラスの規模・LAN環境に応じた指導案を作成することにより,2005年に向けて教師が指導案を作成する場合に役立つ。

1.3 期待する教育効果

 本プロジェクトでは,2005年に実施される「普通教室にコンピュータ2台とプロジェクター1台」導入後のクラスを想定し,校内LAN環境やインターネット接続といった設備環境,クラスの規模に応じた学習指導案モデルを作成することにより,教師が自校の環境に最適な指導を行うことができる。



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