第5学年 世界は友達,こんにちは中国

指導者 木内 順子


1.テーマについて

 今年は日中国交正常化30周年の節目の年であり,2002年を「日本年」「中国 年」と定め,日中両国において,記念行事や交流活動を実施していくことが話し合われている。そして,日本と中国の各地で,日中の友好と平和を願う様々な祭典が繰り広げられている。平和への第一歩は,異なる言語,文化,風習を相互に理解し合うことから始まるという。未来を担う児童にとって,世界に目を向けることは,明るい未来を築く上で,重要な意味を持っていると考える。
 本校においては,昨年秋から今年の6月まで6年生がアメリカ,ニューヨークの小学校との交流を行っており,5年生児童も先輩達の学習する様子を見たり聞いたりし,「次は自分たちの番だ。」と,楽しみにしていた。児童にとって中国は,隣国である だけでなく,古くから栄え,日本に多くの学問や文化をもたらした国,日本と大変つながりの深い国,というイメージが強いようであり,中国に対する興味・関心は高い。しかし,学習がスタートする前に,「中国について知っていること,イメージしたことを書いてみよう。」と投げかけたところ,児童から出てきた言葉は,料理の名前,片言の挨拶程度であった。このことに対して,児童からは「隣の国なのに,自分たちは何も知らないんだ。」という驚きの声があがるとともに,「もっと中国のことを知りたい。」という意見も出された。そして,この記念すべき年に中国の小学生と仲良くできたら,友達になれたら,どんなにすばらしいだろうと,中国との交流学習に対する思いを膨らませてきた。
 5年生の児童は,これまでに,教科の調べ学習やまとめ,1学期から始まった英語 教室で覚えた英語を使って英語名前の名詞を作るなど,数多くの学習でコンピュータ を使ってきている。しかしながら,まだ,自分の名前すらローマ字で入力できない児童もおり,個人差は大きい。また,他校と交流した経験もなく,今回,言葉の通じない,外国の学校との交流ということもあって,不安や緊張も少なくない。交流学習の初めの段階として,まだ不慣れなEメールの交換の仕方や,インターネットを使った翻訳の仕方等を覚えることから学習が始まった。翻訳機能のあるネット上の掲示板「BBS」を利用し,グループごとに自己紹介をすることから交流が始まっている。日中国際交流は,まだ始まったばかりであるが,今後の交流学習で,児童の興味・関心が 中国に向けられるばかりでなく,中国に対して,日本のことを知ってもらいたいという願いから,日本国内にも児童の目が向けられ,日本のことをより深く理解する,という方向にも向いていくように支援していきたい。
〔仮説との関連〕
 仮説1との関連としては,インターネットやネットミーティング等を活用し,隣国である中国と交流学習を進めていく中で,発表力や表現力等のコミュニケーション能力を育てていきたいと考える。また,調べたことをまとめたり発表したりする方法としてもコンピュータを活用することにより,情報関連機器の活用能力を高めていきたい。
 仮説2との関連としては,ネットミーティングの際に,通訳ボランティアとして,市内在住の中学生をお願いし,支援していただくことにより,リアルタイムの学習がスムーズに進むよう,十分な計画・準備をしていきたい。評価の手だてとして,ポートフォリオによる振り返りを行い,学習内容を自ら確認したり,次回に向けての見通しを持ったりすることができるように支援していきたい。


2.学習の目標

○中国と日本の国や学校の特徴,文化の違いなどに興味を持ち,コンピュータを使 って進んで交流しようとする。(課題設定の能力)
○グループで決めたいろいろな課題をいろいろな方法で調べ,わかりやすくまとめ,相手に伝えることができる。 (問題解決の力)
○グループのメンバーと話し合い,協力しながら活動を進めることができる。(学習への主体的・創造的な能力)
○中国との交流を通して,相手をよく理解しようとするとともに自分たちの国や生活についても見直すことができる。(自己の生き方)

3.指導計画(予定総時数 32時間扱い)

学習課程 児童の思い 児童の主な活動 主な評価観点
導 入
「中国はどんなところ だろう。」

「日本といろいろな所を比べたいな。」
「中国の小学生と交流  するには,どんなことが必要だろう。」
「Eメールを使えるようになりたい。」
○中国について知っていることを話し合おう。
○交流していく中で,やってみたいことを話し合おう。
○興味・関心別にグループを作り,グ ループの名前を考える。
○Eメールの使い方を覚え,友達同士で交換の練習をす  る。
○中国について興味を持つことができたか。(課題設定の能力)
○相手のことを考えて名前を決めるこ  とができたか。(自己の生き方)
展 開
25
(本時)
25/32

60分
[掲示板を使ってみよう。」

「自己紹介をしてみよう。」

「交流のテーマを決めよう。」


「ネットミーティングをしてみよう。」
(前半1回・後半1回)
○掲示板の存在を知り,使い方を覚える。
○自己紹介の方法などを考え,掲示板にのせてみる。
○教え合いたいことの中から交流のテーマを決め,グループや個人で調べ学習を進める。
○調べてきたことをもとに,プレゼンテーション用のカードを作成し,ネットミーティングで発表する。
○意欲的に活動に参加しているか。(学習への主体的・創造的な能力)

○調べる方法を考え学習計画を立てることができたか。(問題解決の力)
○集めた情報の中から,必要なものを使って,まとめることができているか。(問題解決の力)
終 末
「中国と日本はいろいろ違う所があったなあ。」
「中国の小学生と友達になれてよかった。」
「これからも,ずっと友達でいたいな。」
○中国との交流でわかったこと,感じたことをグループごとにまとめ,発表会をする。

○これからの交流方法を話し合い,今後の活動の見通しを立てる。
○発表を通して,日本のよさに気づき, 相手をよく理解しようとしているか。(自己の生き方)

○今後の活動に意欲を持つことができたか。(課題設定の能力)

4.本時の活動

(1)目標
 ○ネットミーティングに関心を持ち,交流を通して相手を進んで知ろうとする。(学習への主体的・創造的な能力)
 ○発表を通して自分なりの考えを持ち,これからの交流について積極的に考えようとすることができる。(自己の生き方)

(2)展開
学習活動と内容 教師の働きかけ 備  考
1.本字の学習内容を確認する。 ・中国の小学校とのネットミーティングでお互いを知り合うことを確 認する。





通訳さん
プログラム






あいさつカード
コンピュータソフト
スーパーYUKI
インターネッ ト掲示板
「BBS」






振り返りカー ド
中国の小学校と,ネットミーティングで交流をしよう。
2.ネットミーティングでお互いの学校を紹介し合う
(1)始めの言葉

(2)学校紹介
 ・琴田小
 ・花家地小
(3)自国の紹介・No.1紹介
 ・琴田小
 ・花家地小
(4)自国の紹介・衣・食・住
 ・琴田小  
 ・花家地小
(5)質問タイム ・琴田小から   ・花家地小から
(6)終わりの言葉

3.交流を通して感じたことを発表する。
・児童の司会進行により会を進め,自分たちが交流するのだという意識を高める。
・声の大きさや速さなどに気をつけて,わかりやすく発表できるように支援する。
・初めの簡単なあいさつは,親しみを込めて中国語で行うが,そのほかの内容についてはボランティアの方に通訳していただきながら,会を進める。
・言葉だけでなく,発表用のカードを使いながら発表をする。
・発表を聞きながら気付いたことはメモするよう言葉かけをする。
・場に応じた対応ができるように支援する。
◇言葉の違いを乗り越えて,相手のことをよく知ろうとしているか。
(観察)
・感想だけでなく,今後の交流学習をよりよく進めていくための方法等についても話し合わせたい。
◇自分なりの考えを持ち,これからの交流について積極的に考えることができたか。