6.実証授業




6.2.3 指導主事藤本義博のコンテンツ

 国の特別天然記念物オオサンショウウオの生態と生息環境の映像を中心とした指導主事藤本義博のコンテンツは,小学校第6学年理科「生き物のくらしと環境」の単元で実施した。

1.指導要領での位置付け

2.単元計画

第1次 生き物とかんきょう                    7時間

第2次 オオサンショウウオとかんきょう             2時間
2-1.オオサンショウウオのくらしとまわりのかんきょうとのつながりをしらべよう    1時間
2-2.オオサンショウウオ研究家の気持ちを考えよう                    1時間

第2次 オオサンショウウオとかんきょう
単元名:2-1.オオサンショウウオのくらしとまわりのかんきょうとのつながりをしらべよう(1時間)

学習目標

主な学習活動と児童の反応

 児童一人に一台のコンピュータで,オオサンショウウオのコンテンツを視聴し,気づいたことをワークシートに熱心にメモをしていた。指導主事藤本が児童に語りかける場面では,気持ちを受け止めた様子で繰り返し視聴して理解を深めていた。

実証授業の効果

 オオサンショウウオのコンテンツを視聴して,オオサンショウウオの暮らしと環境には密接な関係があることに気づく。
 さらに,人とオオサンショウウオが共存することの大切さを学んでいく。単に,自然を大切にしなければならないというような段階にとどまるのではなく,どうすれば人とオオサンショウウオが一緒に暮らしていけるのかを児童一人一人に考えさせる実証授業であった。研究家が語りかけ,ナレーターが問いかける。児童にとって暮らしと環境との問題点をより身近に感じさせる効果があった。また,オオサンショウウオが保護活動によって支えられていることを知り,自然や自然に生きる生物たちの生活の裏には,人の暮らしとの強い関係があることにも接することができる。


実施日:平成14年12月12日 学年学級:第6学年
場所:岡山市立西大寺南小学校視聴覚教室 授業者:藤原教諭
単元名:生き物のくらしとかんきょう−2-1.オオサンショウウオのくらしとまわりのかんきょうとのつながりをしらべよう(1時間 第1時)
教科の目標:オオサンショウウオのディジタルコンテンツをコンピュータで視聴して,その生き物のくらしやまわりの環境とのつながりについて指摘できる。オオサンショウウオをとりまく環境のようすと人のくらしとの関係について感想を説明できる。
情報教育の目標:集めた情報を分析し,傾向や規則性を見つける。
準備:電子ホワイトボード,コンピュータ,ワークシート,コンテンツ,地図

まず,オオサンショウウオについて知っていることを発表する。オオサンショウウオは生きた化石で,今は中国と日本の一部にしか生息しておらず,メダカと同じように絶滅の危機に瀕していること,特別天然記念物に指定されていること等を説明。岡山県北に生息していることを地図と共に確認する。
コンテンツをクリックするとWindowsMediaPlayerが起動し,ナレーションが響き渡る教室。細かく分かれているコンテンツを自由に視聴し,ワークシートに感想を書いていく。各コンテンツ(27項目)について印象に残った場面・感想を記入。加えて,"きょうの学習でわかったことおもったこと"を記入。項目数が多いので,視聴しては記入を忙しく繰り返す。コンテンツは約30秒程度のものが多い。その短い時間内に,オオサンショウウオの映像と共に大切なことがぎっしり詰まったナレーションが流れる。落差工等,難しい言葉も出てくるが,分かり易い説明になっている。生徒は気になった場面を繰り返し再生していた。
感想を発表する様子。オオサンショウウオの暮らしと環境について,生き物は互いに関わり合って生きていることを理解する。「コンクリートで住みにくくなっている。」「川に草が広がって住みにくくなったということが分かった。このままだと絶滅するんだなあ。」


第2次 オオサンショウウオとかんきょう
単元名:2-2.オオサンショウウオ研究家の気持ちを考えよう(1時間)

学習目標

主な学習活動と児童の反応

 「川や用水路を三面コンクリートで固めると何かいいことあるかな。人間ってなんて自己中心的なんだろう。自分がそんなに大事?」「今は絶滅の危機になっているけど昔はいろんなところにいた。人間たちがオオサンショウウオのすみかを増やしてほしい。人間がオオサンショウウオになった気持ちで住みやすい川にしてほしい。」と感想を紹介しあった。その後,オオサンショウウオ研究家の指導主事藤本が登場し,河川工事で保護せざるをえなくなったオオサンショウウオの話をすると,真剣なまなざしで聞いていた。

実証授業の効果

 "オオサンショウウオになって人間に話そう"というテーマであったが,ディジタルコンテンツの内容が大きなヒントになった。決して,身近な存在であるとは言えないオオサンショウウオがきっかけとなり,人と自然とのつながりまで掘り下げた学習の内容を展開できたのは,ディジタルコンテンツの素材としての質の高さに負うところが大きいと感じる。
 また,ワークシートに気持ちを書き込みながらも,オオサンショウウオの立場と人間の立場との心の葛藤があったと推測される。
 さらに,授業の後半,オオサンショウウオ研究家との直接交流により,人間のくらしとオオサンショウウオへの影響についての考えを深めることができたと児童の真剣な表情から読み取れた。


実施日:平成14年12月17日 学年学級:6年A組
場所:岡山市立西大寺南小学校視聴覚教室 授業者:藤原教諭
単元名:生き物のくらしとかんきょう−2-2.オオサンショウウオ研究家の気持ちを考えよう(1時間 第1時)
教科の目標:オオサンショウウオの立場で人と自然とのつながりについて例をあげて説明できる。
情報教育の目標:集めた情報を分析し,傾向や規則性を見つける。
準備:電子ホワイトボード,コンピュータ,コンテンツ,ワークシート,

前回の授業で各コンテンツを視聴した。今日は"オオサンショウウオになって人間に話そう!"というテーマで,ワークシートにオオサンショウウオの気持ちを書いていく。
「川や用水路を三面コンクリートで固めるとなんかいいことあるかな。人間ってなんて自己中心的なんだろう。自分がそんなに大事?」「今は絶滅の危機になっているけど昔はいろんなところにもいた。人間たちがオオサンショウウオのすみかを増やしてほしい。人間がオオサンショウウオになった気持ちで住みやすい川にしてほしい。」
オオサンショウウオ研究家である指導主事藤本が授業参画。岡山県北の四つの町村は,オオサンショウウオの保護地域として指定されている全国でも数少ない地域であるという話は興味深い。
学生時代から研究を続け,教員として教壇にも立つ指導主事藤本の熱弁に児童たちも引き込まれる。人間にとって住みやすい環境を作ったことにより,オオサンショウウオの生息に少なからず影響を与えていることを力説。


6年生 生き物のくらしとかんきょう

図67 オオサンショウオのコンテンツを見る 図68 「オオサンショウウオってどんな生き物かな?」
   
図70 「どんなところにすんでいるのかな」
 
 
 
図69 「藤本先生の考えをまとめよう」
 
図71 「どんな生き物なんだろう?」 図72 藤本先生の登場!



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