3.使用したソフトウェア教材(開発)




3.1 教材の仕様


 基本仕様は、高等学校普通教科「情報」を履修する生徒を対象とした、実習形式の授業を実現できるものとした。
 高等学校学習指導要領 情報の「情報B」に記載されている内容を学習範囲とし、それをロボットならではの機能を生かして、効果的に学習する実習を用意した。5つの大きな単元から構成され、各単元には、学習の進行に応じてレベルアップする実習課題を複数含めた。


*a〜d)今回、教材アプリケーションとして機能を実現した仕様。
No 単元名 学習内容
1 アルゴリズム
Step1「アルゴリズムの基本構造を理解する」*a
Step2「アルゴリズムを作成する」*b
Step3「アルゴリズムを工夫する」
2 モデル化とシミュレーション
Step1「モデルを作成する」
Step2「シミュレーションする」
3 コンピュータによる計測と制御
Step1「モーター制御のしくみを理解する」*c
Step2「光センサーによる計測のしくみを理解する」
Step3「音声認識による制御のしくみを理解する」
Step4「画像認識による制御のしくみを理解する」
4 ネットワーク通信のしくみ
Step1「LANのしくみを理解する」
Step2「インターネットのしくみを理解する」
5 プレゼンテーションによる情報発信
Step1「こころを伝えるプログラムを作成する」
Step2「情報発信する」*d

 一部内容については、小学校の総合的な学習の時間での活用、中学校の技術・家庭「情報とコンピュータ」での活用も可能である。


3.2 教材の概要(画面イメージ、実施環境等)


 教材の全体像は、トップ画面、メニュー画面、課題説明画面、フローチャート作成画面で構成されている。
 トップ画面でロボットの種類を選択し、メニュー画面で実習課題を選択する。次に課題説明画面で課題の内容を把握する。そしてフローチャート作成画面で、課題を実行するプログラムを作成し、課題どおりにロボットが動くかを、その場で実行して確認する流れになっている。


(1)トップ画面


 ロボットを直接コントロールするか、プログラム(フローチャート)作成専用として使用するかを選択する。
 ロボットの種類を選択(画像をクリック)し、教材をスタートする。




(2)メニュー画面


 学習レベルに応じた課題を、一覧の中からクリックして選択する。




(3)課題説明画面


 課題の内容を、説明文と画像を見て把握する。
 課題内容に応じて、アニメーションで確認できたり、用語の解説画面を開いて理解度を深めたりできる。




(4)フローチャート作成画面


 課題を実行するプログラムを、フローチャートを用いて作成する。
 選択した処理の部品を、ドラッグ&ドロップ操作で、フローチャート上の任意の場所に置いて作成することができる。
 作成したプログラムを、その場でロボットに送信し、動作を確認することができる。





 処理の部品は、ロボットを動かすための命令で構成されており、フローチャートで作成したプログラムは、無線LANまたは赤外線通信を用いてロボットに送信され、その場で実行される。
 フローチャートの保存・読み込み機能も搭載している。これにより、パソコンとロボットを1対1で使用する環境のみならず、1台のパソコンをロボットコントロール用にして、他の複数台のパソコンはプログラミング用のみとして使用し、ロボットを動かすときだけファイルを受け渡して実行することも可能である。
 教室内LAN環境があれば、LAN経由で保存ファイルの受け渡しも可能である。
 授業の形態や生徒の人数に応じて、最適な実習環境を構築することができる。

 フローチャートで直接プログラムを作成することにより、言語によるプログラミングにありがちな、シンタックスエラーやタイプミス等の細かいエラーを排除することができ、ロジックの思考に集中することができる。また、特定の言語に依存しない、共通的なプログラミングの考え方を効果的に学習することができる。
 さらに、プログラミングの結果が、ロボットの動きとして、その場で、目で見て確認できるため、パソコン単体での学習とは比較にならないほど高い興味や理解を得ることができる。



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