4.実践授業等の実施内容



4.1 実践授業のIT環境(活用したハードウェア、ソフトウェア、コンテンツ等)

 実践授業は、3校で実施した。各学校ごとに、その環境に合わせてロボット活用教育環境を構築した。


(1)大分市立滝尾中学校

 コンピュータ教室の教室内LAN環境(10BASE−T)をそのまま使用した。先生機2台、生徒機40台を使用し、先生機は、生徒が作ったプログラムを読み込んでロボットをコントロールする専用機とし、生徒機は、各生徒がプログラム(フローチャート)のみを作成し、ファイルサーバの特定の場所に保存する運用方法を採用した。
 実習用ロボットは、AIBO2台を使用した。教室内LANに無線LANステーションを設置し、これを経由して先生機とAIBOの通信を行った。
 OSは、先生機、生徒機ともWindows98である。
 環境の様子を、図4.1.1に示す。

図4.1.1) 大分市立滝尾中学校での実践授業IT環境

(2)大分県立別府鶴見丘高等学校

 コンピュータ教室の教室内LAN環境(10BASE−T)をそのまま使用した。生徒機25台は、各生徒がプログラム(フローチャート)のみを作成し、ファイルサーバの特定の場所に保存するマシンとして使用した。
 プロジェクト側で用意した無線LANステーションを教室内LANに接続し、ロボットコントロール用ノートパソコン2台(無線LANカード付き)とAIBO2台を無線LANで接続した。ロボットコントロール用ノートパソコンで、ファイルサーバから生徒の作ったプログラムを読み込み、その先に無線LANで接続されたAIBO2台をコントロールした。
 OSは、生徒機がWindows95、プロジェクト側で用意したノートパソコンは、 Windows98およびWindows2000である。
 環境の様子を、図4.1.2に示す。

図4.1.2) 大分県立別府鶴見丘高等学校での実践授業IT環境

(3)大分県立大分雄城台高等学校

 既存IT環境のない視聴覚教室に、プロジェクト側で用意した機材を持ち込んで使用した。
 ロボットコントロール用ノートパソコン2台(無線LANカード付き)は、生徒がプログラム(フローチャート)を作るマシンと兼用して使用した。
 ノートパソコン、無線LANステーション、AIBO2台の構成を、すべて無線LANで接続した。
 OSは、プロジェクト側で用意したノートパソコンはそれぞれ、Windows98およびWindows2000である。
 環境の様子を、図4.1.3に示す。

図4.1.3) 大分県立大分雄城台高等学校での実践授業IT環境

4.2 実践授業の内容

(1) 大分市立滝尾中学校

実践授業は、以下の内容で実施した。

 通常のカリキュラムの、技術家庭科の授業の中で、コンピュータの実習として6クラスを1時限ずつ、計6時限の実践授業を実施した。
 実践授業の準備として、教材アプリケーションのみを使用したフローチャートの学習を、各クラス1時限ずつ実施し、実践授業での実習に備えた。

 実習内容は、中学生の学習能力に合わせて、先生が独自に課題を作成し、それをもとに1時限の中で実習に取り組んだ。
 各クラス生徒約40名に対し、実習用ロボットが2台であったため、先生が指名した生徒のプログラムを先生機で読み込み、代表としてロボットを動かして確認した。クラスの1/4程度の生徒のプログラムを実際に動かしてみた。

 マスコミ取材をはじめ、各方面からの見学も多く、たいへん活気のある実践授業となった。

 滝尾中学校での実践授業の光景を図4.2.1に示す。

図4.2.1) 大分市立滝尾中学校での実践授業光景

(2) 大分県立別府鶴見丘高等学校

実践授業は、以下の内容で実施した。

 通常のカリキュラムの、数学の授業の中で、コンピュータの実習として実施した。

 実習内容は、プロジェクト側で準備した、普通科高等学校の情報科の授業を想定した学習指導案例をもとに、先生が作成した課題も含めて実施し、2時限連続の授業の中で実習に取り組んだ。
 自然発生的なグループ単位で課題に取り組み、グループごとに2台のロボットを順に動かしてプログラムどおりに動くかを確認した。

 既に進路が決まった生徒が対象であったにもかかわらず、先生のタイミングの良い指導もあって、2時限連続を感じさせない内容で、非常に熱心に取り組んでいた。
 校長先生もご熱心に見学され、先生からは教材に対する建設的なご意見も賜り、来年度より始まる情報科の授業に向けて、学校をあげて準備に取り組まれているご様子がうかがえた。

 別府鶴見丘高等学校での実践授業の光景を図4.2.2に示す。

図4.2.2) 大分県立別府鶴見丘高等学校での実践授業光景

(3) 大分県立大分雄城台高等学校

実践授業は、以下の内容で実施した。

 先生が受け持たれている化学クラブの生徒を対象とし、課外授業の形で実施した。

 実習内容は、先生が独自に作成した、フローチャートの説明資料をもとに導入を行ない、プロジェクト側で準備した、普通科高等学校の情報科の授業を想定した学習指導案例をもとに実習に取り組んだ。

 ロボット1台あたり生徒2名という割り当ての実習であったため、各自がプログラムの動作確認をじっくりと行なうことができ、習熟度の高い授業となった。また、プロジェクトで想定していた割り当て配分に近い形での検証に大いに役立つ結果となった。

 他の先生方や生徒も、入れ替わり立ち代り授業の見学に来られ、注目度の高い実践授業となった。課外授業という形式から、授業が終わった後も、生徒が独自のプログラムを作ったりするなど、興味が尽きない様子であった。

 大分雄城台高等学校での実践授業の光景を図4.2.3に示す。

図4.2.3) 大分県立大分雄城台高等学校での実践授業光景

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