7.まとめ




 本プロジェクトの目標は、生徒が実習を通して自ら考え体験することにより理解を深めることができる授業の実現である。
 その具体的なアプローチとして、情報の基本的な概念を教えることを目指し、ロボット活用による情報の科学的理解をテーマとした。また、もう1つの大きな目標は、物に触れ目で見て体験する実習授業により感動の共有を実現することである。これにより好奇心を喚起し知識欲を目覚めさせ自ら学ぶ状況を作ることが出来ると考えている。いまや日本の先進技術であるロボットを活用することで、情報教育授業の効果が高まることを検証するプロジェクトである。

 この検証のために、実践授業を実現することが出来、そこからはとても多くの成果を得ることができた。前述の理解を深める目標の下位目標としての実習理解度、課題達成度は80%を超える結果を得た。このように授業に対する生徒の反応を定量的に分析できたことも大きな成果であり、今後の改良改善にとても役立つデータとなった。

 当初、実践授業は高等学校の情報科目を対象として設計したが、範囲を小学校、中学校まで拡大して教材ソフトや授業内容も再検討した。参加希望を頂いた学校側の設備や授業スケジュールなどの都合で全部の学校での実践は出来なかったが、継続して協力関係を持ち可能な範囲で推進してゆく予定である。

 小学校では生徒の興味を持続させる検討、中学校では論理的思考能力の生徒格差への対応、高等学校では新たな情報科目に対する戸惑いや普通科進学校における実習実験時間の確保など、それぞれの問題も見えてきたが、現場の先生との連携でより良い授業として拡大できることを願っている。

 この実践授業を行う中で、先生から多くの助言や応援をいただいた。論理的な思考を純粋に学べる教材であり正解が1つで無いことも評価できる、今後の新しい授業のひな形として可能性がある、など我々に共感していただき様々な議論も出来た。生徒達の興味関心は予想以上に大きなものであり、授業での表情や声で十分にその好奇心と意欲が伝わってきた。アンケートによる集計結果でも我々の期待を上回る好反応であり、このプロジェクトが意義のある研究であったことを確信した。

 感動の共有は、生徒達の間、生徒と先生の間、授業立ち会い者すべての間で実現されたことをご報告し、本報告書の結びとする。

以上



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