6.成果とその普及方法について




6.1 プロジェクトの成果について(教育用ITの要件・活用方法等)

(1)モバイル機器利用について

 総合的な学習で多く行われている環境調査活動の校外で行われる場面で情報をリアルタイムに発信、受信することにモバイル機器(PDA)を活用した。
 授業実践では、つくば市吾妻小学校 筑波実験植物園(6年生)つくば市並木小学校 花室川(6年生)牛久市中根小学校 小野川(5年生)牛久市岡田小学校 親水公園(5年)つくば市竹園東小学校 竹園クリーンセンター(5年)牛久市第三中学校 稲荷川(1年、2年)などで実施され、校外の場所から情報を博物館の学芸員や学校のグループウェア掲示板へ発信した。
 成果として、子供達が生き生きと活動していた。その場で疑問が解決できた。連携することで意欲的に取組んでいた。との報告があった。
 従来はデジカメで撮影後学校に持ち帰りグループウェアなどで纏めており調査活動の時間短縮にも繋がった。ただし、調査と通信(メールの交換)を両立することは子供たちの情報リテラシーの向上と技術的な支援が必要であるとの意見もあった。
 新しい活用として、牛久市中根小学校ではグループを現地調査と学校図書室に分け現地の質問を図書室で受け調べたことを返信するという取組みもあった。
 モバイル機器の特徴を生かし授業で活用することは、様々な場面であること。また機能についてもアンケートにより調査活動に必要な条件もかなり明確に把握することができた。
 予想外の成果としては、移動入力端末として生徒1人1台の環境を実現が可能な価格(ノートパソコン、デジカメの費用と比較して)に近いとの評価があった。理由として各学校単位での整備の必要がなく委員会の管理で使いまわしが可能であることなどがあげられる。
 ペン入力(手書き入力)、キーボードとも児童生徒は簡単にできるとのアンケート結果がでた。
 学習にかける時間の短縮が図れた。理由は画像をデジカメのメディアからコンピューターなどに取り込む作業は教師などが時間を要しており全体の時間の短縮につながることや、希望するアドレスへ画像、コメントを送付できること。慣れてくれば記録をメモするノート替わりとして活用する子どももおり転記する作業もなくなった。
 授業実践する学校での取り組みの中で、事前の操作説明、体験の時間は多い学校で3時間となっており少ない学校はいきなり校外での実践を行っており操作に関することでジ授業の障害になっていない。
 校外でありもっと先生方の負担があると予想したが、児童生徒のIT活用の能力は予想外の高いものであった。

(2)環境指標生物デジタルコンテンツについて

 環境調査での調べ学習の纏めに、Webから検索するのでは慣れていない子どもにとっては、目的の情報にたどりつくまでにかなりの時間を費やしている。そこでコンテンツ集として、CECの教育用画像素材集「環境指標生物」活用をつくば市(竹園東小、並木小)で実践した。
 CEC素材集は画像を利用するにとどまらず、図鑑として利用されており時間短縮に役立ち、またPDAから素材集を検索することで問題がその場で解決でき情報が新鮮なうちに話し合うことで教室の話し合いより活発な意見交換が行われた。
 画像素材集についても授業の中での活用例を広めることで様々な教科でつかえることがわかった。

(3)実践を行うための教職員研修について

 これまでの研修と違い、教育委員会の指導主事が学校を訪問しモバイル機器を使いながら研修を行うことと、学校をマネージメントする立場にある校長先生に対して学校IT(モバイル)教育研修を実施し、学校教育活動の改善のためIT活用を積極的に位置付けてもらうために行った。
 つくば市はこれまでコンピュータ研修は会場に教員を集めておこなっていたが、自分の学校設備と異なるのでうまく使えないという問題点があった。そこで各学校の設備を活用しモバイル機器を絡めてグループウェアなどの研修を市内24校でおこなった。
 日ごろ使い慣れているコンピュータ教室での実習とIT活用の講和や授業での利用計画の立案などすぐに役立つ内容であったため各学校で利用が増加した。
 校長研修では、学校運営計画に「学校IT教育の充実」を位置付けるために学校長に対して情報教育専門の大学教授の講演と授業実践の発表をおこなった。また別講座としてコースを選択できるプログラムを準備しコンピュータの活用スキルアップをはかった。
 機器の整備だけでなくそれを有効に活用するには技術的な支援も絶対必要な要件である。

(4)他の学校、博物館など地域との連携について

 他の学校、地域の博物館などとのネットワークを通した教育・学習に関する連携についてノウハウ、事例を収集した。
つくば市の実験植物園、自然博物館、昆虫館の職員の方、牛久市自然観察の森学芸員の方にご協力をいただき環境調査の授業を支援いただいた。
 環境調査については地域の人々の暮らしや文化と深い繋がりを持っており、各施設、地域の人々との連携は欠かせない。
 しかし、連携については何度も外部人材の方に学校に来ていただけないことや、調査後児童の疑問についても環境問題に見識を持った教員が少ないためすみやかに対応できないなど多くの問題がある。
 そこで、モバイル機器(デジタルカメラ、通信機能付きPDA)を活用しリアルタイムでの質問、指導のやりとりをおこなった。
 あらかじめ博物館、植物館の方と打合せを行い、子どもたちが質問の時間には事務所に待機してもらいリアルタイムで質問の返信をしていただいた。その内容も直接の回答ではなく次の活動を考えさせ、促すもであったため子どもたちは自分の活動を広げていくことが出来た。
 また、学芸員の方だけでなく学校の図書室に待機した子どもたちにもメールを送り質問のやりとりをし友達との調査活動を支える意欲的な取組みもあった。
 モバイル機器の使用で時間、距離、マンアパワーの問題が少しクリアされたことが子どもたちが生き生きと活動し各自の課題追及を深めることに結び付いた。
 モバイル機器が子どもたちと地域の方、他の学校との情報交換の道具となり、グループウェアとの連携で情報を記録する道具として連携を深めるなかで重要な役割を果たしている。


前のページへ 次のページへ