■e-黒板ニュース(第56号):陰山英男校長「解決!学力低下問題」  8月20日・21日に実施された2005両毛教育祭「第7回でき学セミナーinぐんま」に 参加しました。陰山英男校長の講演「解決!学力低下問題」をレポートします。  また、先日(8月14日)には、NHK教育TVの「わくわく授業」 自然に力がつく “音読パワー” 〜藤井弘之先生の英語〜がオンエアーされていました。陰山校長の 尾道市立土堂小学校の授業でした。この授業では、しっかりe-黒板(電子黒板)が 活用されていました。 今号の目次: ===================================== 1.講演メモ:陰山英男校長「解決!学力低下問題」 2.雑感:「わくわく授業」でe-黒板活用 =====================================  お友達への再配信またはご紹介は、ご自由にどうぞ。会員の皆様からの投稿もお待 ちしています。  現在募集中のテーマは、「私の実践授業」「イベントのお知らせ」「e-黒板を普及 させるアイデア」等です。  e-黒板研究会のホームページ http://www.cec.or.jp/e2a/ekokuban をご参照ください。e-黒板ニュースのバックナンバー等もご覧いただけます。 1.講演メモ:陰山英男校長「解決!学力低下問題」  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  群馬の塚田先生からご案内いただいた、2005両毛教育祭【第7回でき学セミナー inぐんま】に参加してきました。会場の太田市民会館に着いたのは9時過ぎ、すでに 多くの先生方が来られていました。400名〜500名の参加だったでしょうか。 約7割が女性の先生です。みなさん、研究熱心ですね。(^_^)  100マス計算で有名な陰山英男校長や『NHKスペシャル』「涙と笑いのハッピークラ ス」で有名な金沢市立西南部小学校の金森俊朗先生ほか、久埜百合氏(NHK「えいご リアン」制作企画委員)、坪田耕三氏(筑波大学付属小学校・副校長)、星野富弘氏 (詩画作家)、坂本正幸氏(勢多郡東村・村長、富弘美術館長代理)、野口芳宏氏 (日本教育技術学会・名誉会長)、横山験也氏(日本基礎学習ゲーム研究会・会長) という超豪華な講師陣です。  陰山英男校長の講演「解決!学力低下問題」をレポートします。 ・日時:2005年8月20日14:10〜15:15 ・場所:群馬県太田市民会館 ・講師:陰山英男氏(尾道市立土堂小学校校長、中央教育審議会義務教育特別部会臨  時委員)  「間違いだらけの学力向上」「落ちているのは学力だけではない」「社会の夜型化 が最大の原因」。その解決策は「早寝・早起き・朝ごはん、家族の対話」「読み書き 計算、音読」。そして、『学力テストの成績を上げるために学校でもできる裏わざ・ 力わざ』公開。 ◆「間違いだらけの学力向上」 今言われている学力低下問題で、正しいのはどれでしょう。 ・日本の子どもの学力低下は深刻だ ・東大は裕福層でないと合格するのは難しい ・ゆとり教育で、学力は低下した ・夜遅くまで受験勉強しないと学力は向上しない ・子どもの知能はそう簡単に伸びない ・昔の子どもはゆとりがあった   ・・・ 実は、これらはすべてウソ(間違い)です。考え方がトンチンカンなんです。 たとえば、最近では東大合格者は、地方出身者が増加しており、低所得層の家庭から の合格者が急増している。 【東大HP・広報・新入生のアンケート結果 家庭の状況:参照】 http://www.u-tokyo.ac.jp/gen03/kouhou/1302/07.html ◆「落ちているのは学力だけではない」  2003年の調査結果を国は「もはや世界のトップではない」と表現している。 「家庭の教育力(家庭での学習時間)」や「TVの視聴時間」が世界最低水準であり、 「子どものお手伝い」世界平均の半分以下であることを考慮すると、この学力は深刻 ではない。「崖に落ちていく一歩手前」といえる。 落ちているのは学力だけではない。50m走は、20年前に比べて、10年前は受験 時(15歳・18歳)で落ちていても19歳で回復していたが、現在は、落ちたまま で回復しないまま大人になっている。体力も落ちているし、心もすさんでおり気力も 落ちている。 (詳しいデータは、9月17日号の文藝春秋に掲載されるそうだ)  学力低下よりも12万にとも言われている不登校の急増が深刻な問題。昭和41年 から10倍に増えている。校内暴力も平成7〜8年から急増している。 ◆「社会の夜型化が最大の原因」  昭和60年から問題は始まった。社会的背景として、「昭和57年:ファミコン」 「昭和63年:ドラクエ発売」等があり、子どもたちの睡眠不足の進行が始まった。 ◆「早寝・早起き・朝ごはん、家庭の協力」  「寝る子は育つ」と言われるが、平均睡眠時間と国語・算数の点数の相関関係の調 査がある。27,000人を対象に実施された調査である。 睡眠 4 5 6 7  8 9 10時間〜 ーーーーーーーーーーーーー 国語 52 62 66 70 71 70 65 算数 53 64 70 74 74 74 68  朝食で「ご飯食」「パン食」「たべない」という子どもの成績との相関関係を調べ た調査もある。「朝御飯」を食べている子どもの成績が有意に高いこともわかってき ている。一食あたりの摂取食品量が学習成績および教科学力テスト偏差値に関係して いるようだ。  「学力向上とは、子どもを元気にすること」と考え土堂小学校の挑戦が始まった。 家庭の協力も得て、「早寝・早起き・朝ごはん」を実践し、基礎学力向上においても 具体的な成果が得られてた。「基礎学力向上は一年で十分」である。「改革はスピー ドが命」 成功の要因は、朝型に切り替えることである。朝が早いと夜も早い。 朝食は御飯が多い。家族に対話がある。「読み書き計算」「音読」が脳を活性化する。 ◆『裏わざ・力わざ』  学力テストの成績を上げるために学校でできる『裏わざ・力わざ』(ノウハウ)を 公開する。 ◎モジュール授業の実践  ⇒宿題はプリントで出す ◎ペーパーテストの学力低下  ⇒忘れさせないための宿題 ◎子どもは忘れる天才  ⇒漢字力は学力 漢字の前倒し学習 ◎つまずきを見抜く眼力  ⇒徹底した個別指導 ◎テストを受ける技術指導  ⇒受験テクニックも生きる力。小学校段階でも指導すべき 2.雑感:「わくわく授業」でe-黒板活用  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  先日、NHK教育TVの「わくわく授業」 自然に力がつく“音読パワー” 〜藤井弘之 先生の英語〜を見ました。あの陰山校長のいらっしゃる尾道市立土堂小学校の藤井弘 之先生は、「音読」による英語教育に取り組んでいます。声に出し英文を丁寧に読む ことを繰り返して、英語を音から学んでいこうという取り組みでした。  この授業では、しっかりe-黒板(電子黒板)が活用されていました。音読する単語 や語句を示したり、ネイティブスピーカーの音声出力を指示するなどの場面で、e-黒 板はとても効果的でした。  e-黒板の普及には、このように教具が前面にでないで、さりげない裏方に徹した方 がいいですね。きっと。  このようにして、活用が広がっていくといいですね。                                以上 ========================== 編集:e-黒板研究会 関 幸一 発行:財団法人コンピュータ教育開発センター 荒木 豊 e-黒板研究会 ホームページ:  http://www.cec.or.jp/e2a/ekokuban/ ==========================