■e-黒板ニュース(第57号):e-黒板活用研修会と実践授業(墨田区立鐘淵中学校)  8月30日に墨田区立鐘淵中学校で、e-黒板活用研修会と実践授業がありました。 渡部昭校長からご案内がありましたので参加しました。報告します。  また、渡部校長にはお忙しい中お時間をいただき、インタビューをさせていただき ました。テーマは、「教育改革とIT活用」です。日夜奮闘されている渡部校長の ”熱き思い”とは、そのエネルギーの源泉にも迫ってみました。 今号の目次: ===================================== 1.報告:e-黒板活用研修会と実践授業(墨田区立鐘淵中学校) 2.インタビュー:「教育改革とIT活用」(墨田区立鐘淵中学校渡部昭校長) =====================================  お友達への再配信またはご紹介は、ご自由にどうぞ。会員の皆様からの投稿もお待 ちしています。(投稿は、このメールに返信してください。)  e-黒板研究会のホームページ http://www.cec.or.jp/e2a/ekokuban をご参照ください。e-黒板ニュースのバックナンバー等もご覧いただけます。 1.報告:e-黒板活用研修会と実践授業(墨田区立鐘淵中学校)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  今日は、渡部校長にお招きいただき、鐘淵中学校の校内研修会に参加しています。 鐘淵中学校は墨田区の「IT活用と情報モラル教育」の指定校となったので、10月 16日の発表会を目指して、教員全員がe-黒板が活用できるようになるために、校内 研修を進めています。5名の先生がインストラクターとなって、それぞれ4〜5名の 先生方を「マンツーマン研修」「グループ研修」で教えるという仕組みだそうです。  夏季校内研修として、夏休み最後の前日の8月30日が充てられました。(鐘淵中 学校は二学期制ですので、8月31日から授業が始まります)23名の先生方と IT関連企業の人も私を含めて6名と区内の中学校の先生2名が参加しました。そし て、講師は都立江東商業高校の榎本竜二先生です。9時から12時まで、途中、お茶 の休憩時間を含めて、とても楽しく和やかな雰囲気のうちに、しかも先生方にとって は収穫の大きい研修会であったと思います。  最初に3つの指導案の発表があり、そのあと榎本先生の講評と「情報モラル」の授 業がありました。いずれも「e-黒板」がうまく活用されていました。 (1)指導案の発表 ○美術科学習指導案 「鑑賞:ミロのビーナス」  「キーワードをあらかじめ隠しておいて、問題を出してからその覆いをとりながら  印象付ける」とか「DVDを一部早送りしながら鑑賞する」など、興味深くかつ工  夫を凝らした指導案であった。また、電子機器だけにたよらず、ボードなども補助  教材として用意していた点も講師から誉められた。 ○家庭科指導略案 「住まいの役割と和式洋式の特徴」  e-黒板の大画面を使って、「様々な住まい(集合住宅と一戸建)」「住まいの役割」  「和式、洋式の特徴」を静止画で提示した。途中、説明のために以前の画面にも  どったりするなど、インタラクティブな画面提示が効果的であった。 ○保健体育科学習指導略案 「器械体操(マット運動)の種目別練習」  e-黒板を使うために、球技ではない「マット運動」を選んだ。  先生一人では指導が難しいので、一年生2クラスの男女合同授業とし、二人の先生  が役割分担し、全体指導と機器操作・個別指導を行う。  e-黒板のタイプによっては、体育館に設置し、球技でも使えるようになる可能性が  あるとの講評での指摘があった。 (2)講評と質疑  講評の要点は前述のとおり。次の2つの質問とその回答は、本日の研修会の大きな 収穫であった。  Q1.教材コンテンツの探し方  A1.代表的なサイトはNICER(教育情報ナショナルセンター)   http://www.nicer.go.jp/  Q2.「マット運動の動画コンテンツ」が欲しい  A2.岡山県情報教育センターのホームページ   http://www.jyose.pref.okayama.jp/  が内容豊富で教師の視点でDB化している。  体育で使えるコンテンツに「マット運動の動画」があった。いずれも無料でダウン  ロードできる。   http://www.jyose.pref.okayama.jp/hotai2/index.html (3)「情報モラル」の授業  前日も都内の小学校で「情報モラルの授業」をしてきたとおっしゃる講師の都立 江東商業高校教諭榎本竜二先生は、Flashで作った驚きの教材で先生方を引き付けた あと、豊富な経験と巧みな話術で先生方を爆笑させながら納得させていく。 「危険なページの例」「個人情報」「危ないWebメーラ」「終わらなくなるページ」 などの具体的な事例を手作りの教材で紹介してく。  「学校現場における著作権」についての解説。そして「情報モラルの授業」は、 中学校レベルでは、「他人(ひと)に迷惑をかけないこと」「自分の身を守ること」 が目的で、高校レベルになると、「依存症などの悪影響」「セキュリティ」「根拠と な法律」についても触れる必要がある、とまとめられた。 2.インタビュー:渡部昭校長に聞く「教育改革とIT活用」  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  東京都墨田区立鐘淵中学校の渡部校長は、東京都視聴覚教育研究会の副会長をされ たり、国際交流活動にも生徒と一緒に参加されるなど、精力的に対外活動もされてい ます。  写真の腕もプロ級で、廊下の壁や校長室には、校長先生が写した写真がたくさん掲 示されています。今回は夏休み期間中でしたが、普段の日は生徒たちに「あれはどう なった?」などと、気楽に話し掛けられている姿をよく目にします。  今年度は、墨田区の「IT活用」と「情報モラル教育」のモデル校にも選定され、 10月16日(日)の発表会に向けて、準備をされているところです。e-黒板活用研 修会と実践授業でお忙しい時間の合間にお時間をいただき、校長先生の「学校改革」 にかける熱き思いをお伺いしました。 Q1.渡部校長とe-黒板との出会いは? A1.平成15年度のCEC(財団法人コンピュータ教育開発センター)の成果発表会で、  米国カリフォルニア州のホイットニー高等学校から招聘されたゼウカウスキー先生  の模擬授業を見たのがきっかけです。 「圧倒された!」「これは、入れるしかない!」と思い、その年の5月には1台導入  しました。 Q2.予算等お金の面で問題点はありませんか? A2.予算は、思いのほかいろいろなところから集められるものです。「だめなか?」  と思っても提案してみると予算がついたりします。 Q3.教員研修の進め方、考え方について教えてください。 A3.動き出した(使い始めた)のは昨年9月。今年度は墨田区の研究指定校にもなっ  たので、研究発表会までに全教科で研究授業を実施することを決めました。  そして、夏季休業中には、5人の先生にインストラクターになってもらい、マン  ツーマン研修或いはグループ研修グルーフを行いました。今まで使ったことの無い  先生も教わりながらインストラクターになって3〜4人の先生を教えています。  全員が使えるようになるためには良い方法だと思います。  事務や栄養士の人も研修に参加しています。  「教員がお互いにやりがいや感動を共有すること」が大切だと考えています。 Q4.校長先生の教育改革の「信条」は?そして、IT活用を推進されている目的は? A4.「体験に勝るものなし」というのが信条です。「一年生は、職場体験」「二年生  は、高校の授業体験」「三年生は、福祉体験」をします。地域と合体した教育を  目指しています。  IT活用に関しては、たとえばe-黒板は学習意欲を向上させることができる道具  です。e−黒板を活用し、「授業の中身」を変えていきたい。そして生徒の「学力  向上」につなげていきたいと考えています。  こんな素晴らしい道具を使わないわけにはいきません。 ーーー 注(※):ゼウカウスキー先生の模擬授業(高校物理)  平成15年度の成果報告CD-ROM「電子情報ボードを活用した授業実践事例集」に ビデオ画像等が収録されている。 e-黒板研究会のホームページ http://www.cec.or.jp/e2a/ekokuban/index.html 参照                         以上 ========================== 編集:e-黒板研究会 関 幸一 発行:財団法人コンピュータ教育開発センター 荒木 豊 e-黒板研究会 ホームページ:  http://www.cec.or.jp/e2a/ekokuban/ ==========================