■e-黒板ニュース(第62号):ポスト2005年の指針「IT新改革戦略」の公開  ポスト2005年の指針となる「IT新改革戦略」が、首相官邸IT戦略本部のホーム ページに掲載されています。  1月25日には、今年度の学校企画参加校である栃木県佐野市立多田小学校の自主公開 授業がありました。金井信夫先生からご案内をいただき参加しましたのでその様子な どを報告します。 今号の目次: ============================= 1.国の施策:ポスト2005年の指針となる「IT新改革戦略」 2.実践授業参加報告:佐野市立多田小学校の自主公開授業 =============================  再配信または紹介は、ご自由にどうぞ。会員の皆様からの投稿もお待ちしています。 1.国の施策:ポスト2005年の指針となる「IT新改革戦略」  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  昨年12月8日に「IT新改革戦略」−ITによる日本の改革−(案)が公開され、 これに対するパブリックコメントが募集されていましたが、1月19日には(案)が 取れて「IT新改革戦略」として、首相官邸IT戦略本部のホームページに掲載され ています。 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/060119honbun.pdf 以下に「IT新改革戦略」本文の一部を抜粋してご紹介します。 =============== 「IT新改革戦略」 (抜粋) はじめに(抜粋) 新たな戦略の中で我々が取り組む課題は、こうしたITによる改革の仕上げのための 取り組みとそのための基盤整備にある。医療の構造改革をITにより推し進め効率的 な医療を国民に提供すること、小さくて効率的な官を実現するための規制緩和や手続 きの見直しを前提とした電子行政を実現すること、世界で一番安心して暮らしていけ る社会をITにより実現すること、世界最高の産業競争力実現のためにITを使いこ なすこと、そしてこうした改革を支えるネットワークインフラの整備や未来を支える 子ども達や技術への投資を行うことが、人口減少と高齢社会の日本が引き続き繁栄す るための唯一の方途である。 改革には抵抗が伴う。その抵抗にひるむことなく我が国の21世紀を切り開いていくこ とが必要である。ITによる改革を日本の総力を結集して押し進め、技術の進展が社 会の改革に直結する自律的なIT社会の実現を目指す。これこそがITによる日本の 改革の完成であり、それを担うIT戦略本部の役割である。 (省略) 2.IT基盤の整備 (省略) (3)人材育成・教育 ◇次世代を見据えた人的基盤つくり  −全ての教員へのIT機器の整備、IT活用による学力向上ー ○現状と課題(省略) ○目標 1.教員一人に一台のコンピュータ及びネットワーク環境の整備並びにIT基盤の  サポート体制の整備等を通じ、学校のIT化を行う。 2.教員のIT指導力の評価等により教員のIT活用能力を向上させる。 3.自ら学ぶ意欲に応えるような、ITを活用した学習機会を提供する。 4.教科指導におけるITの活用、小学校における情報モラル教育等を通じ、  児童生徒の情報モラルを含む情報活用能力を向上させる。 ○実現に向けた方策 1.2010年度までに全ての公立小中高等学校等の教員に一人一台のコンピュータを  配備し、学校と家庭や教育委員会との情報交換の手段としてのITの効果的な活用  その他様々な校務のIT化を積極的に推進する。また、校内LANや普通教室のコン  ピュータ等のIT環境整備について早急に計画を作成し、実施するとともに、  学校における光ファイバによる超高速インターネット接続等を実現する。 2.小中高等学校等において情報システム担当外部専門家(学校CIO)の設置を推進し、  2008年度までに各学校においてIT環境整備計画を作成するなど、IT化のサポート  を強化する。 3.2006年度までに教員のIT指導力の評価の基準の具体化・明確化を行い、それに  基づき、ITを活用した教育に関する指導的教員の配置や、教員のIT活用能力に  関する評価をその処遇へ反映すること等を促進することにより、全ての教員のIT  活用能力を向上させる。 4.2006年度までにITを活用した分かりやすい授業方法や、児童生徒の習熟度に応じ  た効果的な自習用コンテンツの開発・活用の推進等により、教科指導における学力の  向上等のためのITを活用した教育を充実させる。 5.IT社会で適正に行動するための基となる考え方と態度を育成するため、情報モラ  ル教育を積極的に推進するとともに、小学校段階からの情報モラル教育のあり方を  見直す。 ○評価指標 1.教員へのコンピュータ整備率 2.学校における超高速インターネット接続率、校内LAN整備率及びコンピュータ1台  あたりの児童生徒数 3.学校における学校CIO及びIT環境整備計画の有無 4.教員のIT活用能力の評価や指導的教員の配置等、IT活用能力を反映した教員の  処遇を行っている自治体数 5.ITを活用して授業が行える教員数 (以下省略) 2.実践授業参加報告:佐野市立多田小学校の自主公開授業  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 金井信夫先生からご案内をいただき、佐野市立多田小学校の公開授業に参加しました。 1月19日当日は、青森県や石川県をはじめ各地から70名程の方が参観されました。 多田小学校は、今年度のCEC事業Eスクエア・エボリューションの「学校企画」 http://www.cec.or.jp/e2e/gk/index.html に参加されています。 金井信夫先生の精力的な活動により、 ブログ「Eスクエア・エボリューション 多田小学校学校企画」 http://blogs.yahoo.co.jp/interactiveboard も、実践報告だけでなく、ハード、ソフト、周辺機器の活用方法の紹介から評価まで、 とても充実しています。 ------------------------------------------------ ◇研究内容:e-黒板を「いい黒板」にするための活用法の研究 ○公開授業(すべての授業で電子情報ボードを使用していました) ・1年 英語 「ものの名前」英語活動用の自作コンテンツを使ってALTの代わりに  電子情報ボード上でネイティブの発音を聞かせることにより発音指導を行った。  英語での電子情報ボードの活用は、「ネイティブの発音を、インタラクティブに、  繰り返し何度でも聞かせることができる」 というところにメリット、学習効果が  あるようだ。 ・4年 算数 「面積」児童の考えが記入された学習プリントをその場で「dbook」  を使って教材化。HTML形式の自作教材の提示。  子どもたちが矩形の面積の求め方を考え、紙に書いて、スキャナーで取り込んみ、  電子情報ボードを使って説明をする。3種類の説明方法が出てきて、それぞれ立派  に説明されたことはとても興味深かった。 ・6年 国語 「漢字の筆順」電子情報ボードを使って自作した筆順のデジタル教材と  「EduClick」を組み合わせたクイズ形式の学習。  子どもたちはクイズ感覚で、楽しみながら授業に参加していた。 ・3年 算数 「重さ」Flash形式の自作教材の提示と、自作プログラミングによる  ゲーム形式のドリル学習。 ・4年 社会 「わたしたちの栃木県」「dbook」を使って教科書をデジタル教材化し  たものを電子情報ボードに提示しながら授業を行った。 ・5年 道徳 「あなただって そうだったでしょう」  自作資料を「再現構成法」的な手法を用いて、場面の挿絵を電子情報ボードで提示  しながら授業を行った。  画面の挿絵は、絵の上手い卒業生3人が描いたとか。ありものの素材を使わず  ストーリーもオリジナルで、著作権にも配慮して公開授業をしたところがよかった  と思う。 ・2年 国語 「何に見えるかな」紙をちぎってできた形を「dbook」を使って教材化  した。その教材を提示しながら児童にその形が何に見えるかを考えさせて発表させた。 ・5年 体育 「跳び箱運動」電子情報ボードを使って模範演技を提示した。グループ  毎に動画撮影用のデジタルカメラを持たせ自分たちの演技を撮影し振り返るととも  に場合によっては電子情報ボードに提示して全体に紹介した。 ○ワークショップ  デジタル教材作成ソフト「dbook」を使った教材の作り方を、金井先生が実演を交  えながら解説した。  主に、スキャナで取り込んだデータを簡単に教材化する方法を金井先生が説明した。  その中でも、すでに印刷された自作のプリントや児童が書き込みを行った後の学習  プリントを授業時間中にスキャナで取り込み瞬時に教材化する方法は、事前にまっ  たく準備がいらない驚くべき活用法である。 ○全体会とその印象  宇都宮大学の渡辺浩行教授から実践者の先生方に、「コンピュータを活用した授業  の実践によって、子どもたちが、そして先生自身に、どのような変容があったか」  という質問があった。  全員の先生方が回答されたが、金井先生が、「ある児童が、『先生がコンピュータを  使った授業をしてくれたので、今まで嫌いだった算数が好きになりました』と答え  てくれ、本当に算数の授業に熱心に取り組んでくれるようになったことがうれし  かった」とおっしゃられていたのがとても印象的だった。                          (報告者:関 幸一) ========================== 発行:財団法人コンピュータ教育開発センター 荒木 豊 編集:e-黒板研究会 関 幸一 e-黒板研究会 ホームページ:  http://www.cec.or.jp/e2a/ekokuban/ e-黒板ニュースのバックナンバー等もご覧いただけます。 ==========================