9. プロジェクトの普及について(広報活動)

9. プロジェクトの普及について(広報活動)

9.1 プロジェクトの普及に関する基本指針

 当プロジェクトの普及に関する基本指針は、当初から主に2つの段階に分けて推進できる体制を考えてきた。

 一段目は、開発と同期した授業実践の過程そのもの(平成16年10月〜平成17年2月)を地域のマスコミと連携した広報または宣伝活動等により、授業実践における総体的な活性化を動機付けると共に、授業実践校を取り巻く周辺地域への理解と協力(地域社会の連携)を促し得る教育情報環境の構造的整備を目指した。

 二段目は、プロジェクトの終了後(平成17年3月以降)、システム開発と授業実践の総体的評価分析をした上で、全国の小中学校(一部高等学校や大学も含む)への普及化を図ることを目指し、マスコミへの公式リリースを皮切りに、普及化を実現させるための個別(各学校または各教育委員会など)の対応施策をシステマチックに提供できる体制(問い合わせへの対応策/基準価格表の準備/携帯レンタル供与のシステム/活用講習会の実践など)を確保しつつ、各学校(学級)のニーズに則し、「授業モデルの提案(※8.1で詳述)」をベースとしたカリキュラム策定における支援体制の確保を目標に定める。この二段目の普及化指針には、上記した目標以外にも、各種研究会、展示会、セミナー、学会、地域シンポジウムなどの機会を借りた当プロジェクトの事例発表と授業実践に協力頂いた各学校における平成17年度版実践継続(追試から発展的活用へ)なども視野に入れた普及化を目指している。

9.1.1 第一段普及化基本指針の成果について

 地域マスコミ(新聞社や放送局)に対し、非公式に当プロジェクト実施をリリースし、結果数件の記事掲載となった。(※9.2の「掲載メディア」を参照)この結果、以下に掲げた主要な成果を上げることができた。

以上の成果を総合的に分析すると、次年度(平成17年度)への授業実践継続を通し、実践校を中心とした地道な普及化の芽を育てる地域的理解基盤が築かれたと判断する。

9.1.2 第二段普及化基本指針について

 第二段普及化指針は前々項でも触れたように、大きく三つのアプローチ方法を選出し、1.マスコミへの公式リリースによる普及化促進のきっかけ作り、2.各種イベントを通じたシステム活用と連携した「授業モデル」の提案・発表、3.平成17年度への授業実践継続を通した周辺地域(地域内外の他校との共同学習など)への実践拡張的普及化を予定している。

9.1.3 マスコミへの公式リリースによる普及化促進のきっかけ作りについて

9.1.4 各種イベントを通じたシステム活用と連携した「授業モデル」の提案・発表について

【当プロジェクトの発表を核として既に行ったイベント】

■尼崎(立花小学校)の授業実践(地域への発表・普及)

発表タイトル: 「けんこう・さんぽ・べんりマップを作ろう」
開催期日: 平成17年3月15日
会  場: 尼崎市立老人福祉センター「福喜園」
対  象: 「福喜園」に所属する地域の高齢者
内  容: プロジェクターとスクリーンでの発表となった。生徒数16名で実施。
成  果: 児童と地域社会との関係が深まった。携帯電話を利用した情報教育への理解が深まった。

■熊野川町地域交流会

発表タイトル: 「プロジェクトS」
開催期日: 平成17年2月17日
会  場: 熊野川小学校体育館
対  象: 保護者+地域の方々(約100名)
内  容: 実際に使用した携帯電話を会場にて使用しながら発表した。
成  果: 児童と地域社会との関係が深まった。学校教育への地域理解が深まった。

【今後予定される当プロジェクト参加(発表)イベント】

■2005年度日本シミュレーション&ゲーミング学会全国大会

開催タイトル: 授業と教材の研究部会「事例研究発表会」
開催期日: 平成17年11月中(予定)
会  場: 熊本大学
対  象: 学会員/教育関係者/教員

■先進IT活用教育シンポジウム in 京都(仮称)

開催期日: 平成17年10月29日(予定)
会  場: 龍谷大学
対  象: 教育関係者

■氷上情報教育研究会研究発表会

開催期日: 平成17年10月22日〜23日(予定)
会  場: 奈良教育大学(予定)
対  象: 会員/教育関係者/教員

■全日本教育工学研究協議会全国大会

開催期日: 平成17年11月11日〜12日
会  場: 長野県県民文化会館(長野市)ほか
対  象: 学会員/教育関係者/教員

【当プロジェクトの事例研究を発表する論文集などの予定】

■兵庫県立人と自然の博物館『人と自然の博物館の紀要』

タイトル: 「(仮)プレ調査の結果」
研究者 : 嶽山・松尾・山下・藤崎

■環境情報科学論文集

タイトル: 「(仮)第一分科会、進修小学校でのバリアフリー調査」
研究者 : 嶽山・松尾・山下・藤崎

■都市計画学会論文集

タイトル: 「(仮)第三分科会、遊び調査」
研究者 : 嶽山・岸田・山中・甲斐・石倉・山中・山下・藤崎

9.1.5 平成17年度への授業実践継続を通した周辺地域への実践拡張的普及化について

 今回授業実践に参加協力頂いた全国11校の中には、情報教育や教科指導における先導的立場を有する先生方も多数いらっしゃり、全国規模の模範事例として普及化に拍車をかける影響力を有していると判断する。当プロジェクトを通じた授業実践の経験知をもって、次年度も継続的に授業展開を図って行きたいとの希望や決意が多々寄せられている。この継続的授業実践における緩やかで着実な足場固めを行いつつ、全国的な普及化を意識した啓発活動を図ってゆく。その一例を以下に記述する。

■和歌山県熊野川町立熊野川小学校での授業継続予定-1

テーマ : 修学旅行先での地域調査学習と他校との共同学習
担当教員: 山中昭岳
対象地区: 神奈川県横浜市みなと未来21地区
期  間: 平成17年5月下旬(予定)
内  容: 数グループに分かれ、本町小学校(対象地区の学校)の子どもたちに地域を案内してもらう際に、写真を撮り、旅行終了後地図を編集・作成する。

■和歌山県熊野川町立熊野川小学校での授業継続予定-2

テーマ : 総合的学習の時間に組み入れた年間を通じたテーマ授業での利用
担当教員: 山中昭岳
対象地区: 校区(熊野川町全域)
期  間: 平成17年度(予定)
内  容: 地域をとらえる視点を育む上で自然(生物調べ)などをテーマに授業を実践予定。周辺校区の学校との連携(共同学習)も図りたい。

■東京都墨田区竪川中学校での授業(社会科/特活/放送部活動)継続

テーマ : 「ロケ地マップを作ろう」から「物語を作ろう!」へ移行中
担当教員: 三橋秋彦
対象地区: 校区
期  間: 平成17年度(終了期日は未定)
内  容: 平成16年度12月にスタートしたテーマ学習は、平成17年2月の時点で終了しておらず、継続的に授業実践を進めている。平成16年12月〜1月は、調査活動と地図編集に加え、共同テーマ推進校である栃木県足利市立北中学校との共同学習を進めたが平成17年2月以降は、完成したロケ地マップを基に、映画のシノプシスとなる物語の作成に入っている。

■兵庫県立人と自然の博物館が関与する授業継続予定

テーマ : 「防災」
指  導: 嶽山洋司+対象学校の教員を予定
対象学校: 兵庫県但馬地域の小学校
期  間: 未定
内  容: 継続的な実践授業に加え、防災をテーマにした授業での取り組みなど、新たな実践授業を行う。

■兵庫県立人と自然の博物館が主体となる調査研究への展開予定

テーマ : 自然科学全般(自主研究分野含む)
研究員 : 嶽山洋司+博物館研究員
期  間: 平成17年度
内  容: 他の自然系研究員にも当システムを活用してもらい、研究活動の一助としてゆきたいと考える。

 以上、5つの課題目標を掲げ、普及化の基盤構築を進めながら、啓発活動に繋げて行く。

9.1.6 普及化に弾みをつける「システムを活用した授業モデルの提案」について

 本報告書の前章(8.1「まとめ」)で記述した「システムを活用した授業モデルの提案」をモデルにした研究事例として、先述した「普及化への三つのアプローチ方法」の具体的展開時に、随時解説や発表の内容に盛り込みつつ、対象層(教員や研究者)への理解や共感、実用イメージの伝達に努めて行きたいと考える。

 また、普及化を図る上で最重要となる課題としては、広く対象層に公告(広報・宣伝含む)することが望まれるが、次に重要な課題は、1.実際にシステムを体験していただく事と2.システムを利用する授業展開のイメージを判りやすく理解して頂くことが上げられる。前者に関しては、既に(9.1.3)で説明したが、後者に関しては、研究成果をコンパクトにまとめた文書の配布が効果的であると判断した。そこで、当プロジェクトでは、自主的に「実践事例報告書」(132頁冊子/100部)を作成し、当プロジェクトへの関心層に対し配布する事で、普及化の一助となるよう努力を続けている。状況変化によっては、冊子の刷り増しも考慮する。

9.1.7 その他の普及化計画

【既に寄せられているシステム起用のニーズについて】

 平成17年3月4日〜5日に行われた「平成16年度CEC成果発表会」の展示ブースに来場された教育関係者から以下のシステム起用などの要望が寄せられている。

 これらの課題に対し、ひとつひとつ丁寧に対応し、ニーズを拾い上げて行くことにより、普及化に弾みをつけ、全国展開して行きたいと考える。

【今後の戦略的普及化における取り組みについて】 

 当プロジェクト推進時からの協力企業である「NTTドコモ社」や「フジテレコムズ」「ジオサイエンス社」との業務提携を前提とした、教育ビジネスアライアンスチームを編成し、各業態特性に合わせた、「システム」の拡張開発及び営業開拓を行う計画を進めている。さらに、大手広告代理店、放送局、新聞社、出版社、旅行代理店、生命保険会社、警備保障会社、地域行政や自治体と連携した「当システムの拡張性」を視野に入れたビジネスモデル化の推進を計画している。