1.プロジェクトの概要



1.1プロジェクトの概要

 平成14年度、15年度 Eスクエア・アドバンスの活動成果である、ロボットを活用した情報教育教材について、小学校での活用を想定した教材のあり方の調査研究を実施した。
 現状の教材は、高等学校、中学校での有効性が検証されているものの、小学校における活用方法が確立しておらず、それが導入を阻む原因となっていた。
ロボットをはじめとするITの概念を、親しみやすい形で小学校に展開するにあたり、段階的に調査研究を行い、活用方法を検証した。

(1)授業形態、授業内容の検討

 まず、ロボットを利用した授業について、教材開発メンバーからの実習課題提案を先生方に実施した。課題は、ロボットの特性を十分意識し、学校で容易に準備できる内容とした。具体的には、ペットボトルを障害物として、ロボットの走行手順を組み立てるスラローム課題や、ペットボトルをピンに見立て、ロボットを使って倒すボウリング競技などを提案した。課題を実際に行ってみた様子をビデオ撮影し、先生方にイメージをつかんでいただいた。それをもとに、現場の先生が授業時間の組み立て、指導案の作成を実施した。グループの割り振り、ロボットの必要台数、用具(ペットボトル)の収集方法、実習場所の検討を実施し、モデルとなる授業形態をまとめた。
 さらに、児童がより集中して取り組めるよう、曜日や時限数にも配慮した。
 教材ソフトウェアは、従来、高等学校向けであった課題画面を廃し、直接、ロボット動作命令を組み立てる画面を起動するよう改良した。

【スラローム課題のサンプル画像】
【ボウリング競技のサンプル画像】

(2)活用実践校への展開

 モデルとなる授業形態を活用実践校に展開し、実践授業を実施した。小学校における、ロボットを利用したIT教育教材の活用のあり方について、現場での検証を行った。
 各校では、実習場所やコンピュータ台数などの環境を考慮し、モデルをカスタマイズして指導計画を作成された。実習場所は、コンピュータルーム内が基本であったが、ロボットを動かす広い場所が必要なことから、ノートパソコンを体育館に設置しての実習や、廊下でロボットを動かす試みも見られた。対象学年やグループ編成も、各校の事情に合わせ、モデルの趣旨から逸脱しない範囲で、独自に検討された。
また、各校での実践授業実施結果から、細かい問題点や課題をモデルにフィードバックし、改善を行った。

図1 プロジェクト活動概要

1.2 対象となる校種・学年・教科

 本年度の実践授業の主体は、小学校の総合的な学習の時間における情報分野を対象とした。学年は、5年生以上の高学年を対象とし、上位の校種での活用実績をもとに、徐々に学年を下げる形で有効性の検証を行った。
 中学校での活用においては、技術家庭科のコンピュータによる計測と制御での実習を想定している。
高等学校での活用においては、特に普通科の情報Bのアルゴリズムの実習に最適であるが、情報科目全般での論理的思考力の育成、プログラミングの基礎の学習に導入可能である。また、工業系の基礎教材としても活用可能である。

校種
学年
教科
備考
小学校 高学年(5・6年生) 総合的な学習の時間 本年度調査研究の主体
中学校 1〜3年 技術家庭 導入活用済
高等学校 1〜3年 情報 導入活用済

 なおこの対象はあくまで目安であり、課題の設定方法によっては、他の学年、教科や養護教育、各種学校や一般施設(科学館等)への応用の可能性も考えられる。



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