4.使用した教材環境(開発)



4.1 教材ソフトウェアの仕様

教材の基本仕様は、平成14年度、15年度に開発した成果物と同等である。従来、高等学校の情報の授業に即した形の課題画面を盛り込んでおり、中学校での利用においては、課題一覧の中から「自由課題」を選択し、高等学校用の課題画面を経由しない方法を採用していた。
小学校での実践に向けては、この高等学校用課題画面そのものを省略した改造を行い、操作をより簡略化した。

(1)トップ画面  
  ロボットを直接コントロールするか、プログラム(フローチャート)作成専用として使用するかを選択する。

ロボットの種類を選択(画像をクリック)し、教材をスタートする。
     
  (2)フローチャート作成画面  
  課題を実行するプログラムを、フローチャートを用いて作成する。

選択した処理の部品を、ドラッグ&ドロップ操作で、フローチャート上の任意の場所に置いて作成することができる。

作成したプログラムを、その場でロボットに送信し、動作を確認することができる。
     
  (3)キャリブレーション画面  
  フローチャート作成画面からウィンドウ形式で呼び出すことができる。

ロボットの動作箇所の微調整を行い、設定をプリセットすることで、実習環境に応じた動作を実現する。

 処理の部品は、ロボットを動かすための命令で構成されている。フローチャートで作成したプログラムは、ケーブル接続の赤外線通信でSpyboticsに転送する。プログラム転送が完了したら、Spybotics側のケーブルを外し、Spyboticsの実行ボタンを押下することで動きを実現する。

 フローチャートの保存・読み込み機能も従来どおり搭載している。これにより、パソコンとロボットを1対1で使用する環境のみならず、1台のパソコンをロボットコントロール用にして、他の複数台のパソコンはプログラミング用のみとして使用し、ロボットを動かすときだけファイルを受け渡して実行することも可能である。
教室内LAN環境があれば、LAN経由で保存ファイルの受け渡しも可能である。
授業の形態や児童・生徒の人数に応じて、最適な実習環境を構築することができる。

 

4.2 教材構成、授業内容モデル

教材は、前述のハードウェア、ソフトウェアで構成される。導入手順のマニュアルも作成し、現場の先生が容易に導入できる構成となっている。
教材の導入から実践までの流れは、図4のとおりとなる。

図4 教材構成整備から実践授業までの流れ

 授業内容は、教材開発メンバーが課題案を作成し、指導主事の先生のレビューを実施したのち、現場の先生が実際の授業に展開するための指導案を作成された。
 小学校への展開へ向けて特に意識した点は、アルゴリズムそのものの学習よりも、ロボットの動きを調整しながら、より理想の動きに近づけていく、試行錯誤や創意工夫の過程を重視することである。また、競技性を持たせることにより、目標が明確となり、楽しみながら自然と物を考え、コミュニケーションを図りながら課題を解決することを主体的に経験できるよう意図した。
 まずはモデルとなる授業構成を作成し、実践を行い、その結果をもとに、地域を分けて他校への展開を実施した。各校では、モデルをもとに、その学校の特性や、授業を実施する学年などを考慮し、カスタマイズした形で授業を構成され、実施された。
 この展開の結果から、ローカルモデルとならないようにすることを意識し、モデルの有効性を再検証した。最終的に、別紙「授業実践事例報告書」にまとめ、あらゆる学校がすぐに実践できるよう整備した。下記に、その概略を記載する。

単元名 ロボットと仲良くなろう
単元目標
  • コンピュータを活用して、ロボットを制御することができる。
  • 課題を解決するために、繰り返し活動に取り組みことができる。
  • ロボットの動きを研究しながら、みんなで協力し教えあうことができる。
第1・2時 ロボットの制御になれる。(ソフトの入力など)
第3・4時

目標:ロボットを操作することを通して、簡単な論理的思考ができるようになる。

(障害物走)

  • 1本のペットボトルを回って戻ってくる動きを作る。
  • グループごとにタイムを競う。・ 感想を発表する。
第5・6時

目標:友達と協力しながら、ロボットの操作方法について考えることができるようになる。

(ボウリング大会)

  • 6本のペットボトルを、ロボットの動きで倒す。
  • グループごとにスコアを競う。・感想を発表する。

 



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